企業向けで注目集める因果関係AI開発Causely、880万米ドルをシード調達——コンテナ管理基盤K8s向け製品をローンチ

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Image credit: Causely

創業者兼 CEO Ellen Rubin 氏が率いる AI スタートアップ Causely  は6月29日、企業データ向けの Causal AI(因果関係 AI= 因果推論を活用し、解釈可能性と説明可能性を付与した AI。企業向けで関心を集めている)プラットフォームの限定の早期アクセスをローンチしたことを発表した。同社は、Causal AI 技術を利用して、企業が運用上の問題をトラブルシューティングし、アプリケーションのパフォーマンスを管理する方法に革命を起こそうとしている。

Ellen Rubin 氏

また同社は6月29日、645 Ventures がリードし、880万米ドルのシード資金を調達したことを発表した。既存投資家の Amity Ventures が参加し、新規で GlassWing Ventures と Tau Ventures が参加した。今回の資金調達により、Causely は IT 向けの Causal AI プラットフォームを構築し、より幅広い IT 問題やシナリオへの提供を拡大することができる。また、2022年の創業以来、同社の累積調達額は1,100万米ドルを超えた。

VentureBeat の独占インタビューで、Rubin 氏は次のように語った。

異なるマイクロサービスとテクノロジースタックの異なるコンポーネントの間には、非常に多くの相互関係があります。そのため、さまざまな人々やチーム間で混乱や痛みを伴うトラブルシューティングが発生する可能性があるのです。

IT 運用のための因果関係 AI

Causely は、DataDogNew RelicSplunk など、クラウドネイティブアプリケーション向けの観測・監視ツールがひしめく市場に参入する。しかし、Causely は、相関関係ではなく因果関係に焦点を当て、それを自動化された方法でソフトウェアに取り込むことで、独自の価値を提案し、差別化を図っていると主張している。

Causely の初期サービスの早期アクセスプログラムは、Kubernetes でアプリを構築・サポートしている DevOps と SRE のユーザ限定で公開される。このプログラムでは、Causely のプラットフォームを自身の環境で試すことができ、同社が最小実行可能製品(minimum viable product)とローンチに向けて前進する中で、フィードバックとイテレーションを提供することができる。

我々は因果関係の問題に焦点を当て、その核心に迫っている最初のチームです。因果関係のあるAIという考え方は、AIの世界ではまだ新しい分野ですが、私たちは他に類を見ないほど、この分野に注力しています。(Rubin 氏)

Rubin氏はまた、Causely のプラットフォームは Kubernetes 環境に限定されるものではなく、自動検出と修復を必要とする他の多くの IT 問題やシナリオに適用できると述べた。

事業継続の課題、セキュリティの課題、エッジ・コンピューティング、IoT など、広く分散しているものを含む多くの分野にチャンスがあると考えています。これらはすべて、同じコア・テクノロジーで同じように対処できると感じている問題領域です。(Rubin 氏)

より良いクラウドアプリケーション管理

今回のシードラウンドは、AI を応用して IT オペレーションを改善するスタートアップへの関心の高まりと、この種のプラットフォームの市場機会を浮き彫りにしている。リード投資家である 645 Ventures の共同設立者兼マネージングパートナー Aaron Holiday 氏によると、Causley は Causal AI によって新しいカテゴリを創造しようとしている。

Causley は、この種のAIと組み合わせることで、データ観測可能性の新時代、あるいは次世代をもたらす可能性を秘めています。(Holiday 氏)

最初の資金調達と経験豊富なチームによって、Causley は牽引力を得るための十分なポジションにあるように見えるが、製品市場適合性の発見や初期の顧客採用など、初期段階のスタートアップによくあるリスクに直面している。今後1年間の同社の進展は、同社の Causal AI アプローチが最新のクラウドアプリケーション管理の複雑な課題を解決し、企業顧客を獲得できるかどうかを示すだろう。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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