Adobe元CTO率いるTypeface、1億米ドルを調達——企業のコンテンツ制作を支援するジェネレーティブAI開発

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Image credit: Typeface

間違ってはいけない:ジェネレーティブ AI の土地争奪戦には、多くの誇大広告と多額の資金が動いている。

サンフランシスコを拠点とするスタートアップ Typeface は6月29日、企業向けのジェネレーティブ AI コンテンツサービスを構築するための市場開拓活動を拡大するため、新たに1億米ドルを資金調達したと発表した。同社は2月に6,500万米ドルの調達とともにステルス状態を脱したばかりであるため、億台の資金調達は特に注目に値する。

Typeface は6月初め、Google Cloudとの提携により、カスタマイズされたジェネレーティブ AI のアプローチを拡大した。同社はまた、ここ数週間で Microsoft や Salesforce とのパートナーシップを追加し、その範囲をさらに拡大している。

Abhay Parasnis 氏

元 Adobe CTO のAbhay Parasnis 氏が率いるこのスタートアップは、ジェネレーティブ AI の力で多様な業界の著名ブランドを支援することを目指している。Typeface は、企業のコンテンツに合わせてカスタマイズされた機械学習(ML)トレーニングにより、AI が生成したテキストや画像を使用し、企業が大規模にコンテンツを作成するのを支援する。一般化された大規模言語モデル(LLM)が特定のブランドの要件を満たすには限界があることを認識し、同社はそのギャップを埋めることを目指している。

Typeface の創業者兼 CEO Parasnis 氏は、VentureBeat に対し、次のように語った。

Typeface の観点からすると、今回の資金調達のニュースは、ジェネレーティブ AI が企業顧客にとって注目されるようになるという、より広範なトレンドを強調するものだ。企業は、(ジェネレーティブ AI を)単にデモのあるクールな技術としてではなく、実際にビジネスを大きく変え、ワークフローを変革する方法について考え始めている。

企業向けジェネレーティブ AI はワークフローがすべて

ジェネレーティブ AI はまだ黎明期ではあるが、Parasnis 氏によると、Typeface はすでに商業契約を結ぶ顧客や収益が大きく伸びているという。 同社は新たな資金調達により、マルチモーダルジェネレーティブパイプライン、マーケティング、人事、カスタマーサポートなどの分野における企業ワークフローの再構築をめぐる製品イノベーションを加速させる計画だ。

ジェネレーティブ AI の革新は、プラットフォームの革新からワークフローの革新に切り替わると思う。(Parasnis 氏)

そのため、企業がジェネレーティブ AI をコンテンツを生成する汎用的なツールとして考えるのではなく、Typeface は特定のワークフローを持つ企業がビジネスプロセスを最適化できるよう支援することに重点を置いている。Parasnis 氏によると、例えば Typeface の顧客の1社は、従業員とのコミュニケーション方法を完全に再構築するためにこのテクノロジーを利用している。これには、LinkedIn の求人情報、従業員とのコミュニケーション、さらには給与報告書を作成するワークフローも含まれる。

ジェネレーティブ AI がどのような変革をもたらすかについて、6ヶ月前には考えられなかったことだが、多くの企業のワークフローを変革することになるだろう。(Parasnis 氏)

AI 成熟度モデルを理解する

ジェネレーティブ AI の盛り上がりには事欠かないが、Parasnis 氏は、すべての企業がその流れに乗っているわけではないと強調した。

Parasnis 氏は、企業 IT の世界やテクノロジーの採用のされ方を知らないわけではない。彼は、クラウドコンピューティングへの移行が10年前から進んでいるとはいえ、企業のすべてのワークロードがクラウドに移行したわけではないと指摘する。実際、多くのワークロードはオンプレミスに留まっている。彼は、ジェネレーティブ AI への移行も同様のパターンをたどり、業界によって採用するステージが異なると予想している。

企業がジェネレーティブ AI をどのように採用できるかを理解するために、Typeface は独自のジェネレーティブ AI 成熟度モデルを開発した。このモデルの背景にある考え方は、企業の IT リーダーが AI を理解し、特にジェネレーティブ AI がワークフローをどのように変えることができるかを理解するのに役立つコンサルティング的アプローチを取ることだ。

Typeface のようなジェネレーティブ AI ソリューションを使えば、企業はブランドの声とパーソナライゼーションを維持したまま、より多くのコンテンツを制作することができる。

Typeface が「10x content factory」と呼ぶものについて、Parasnis 氏は次のように説明した。

我々は、ジェネレーティブ AI への投資について、お客にとって非常に具体的な指標を定義し、より多くのコンテンツが制作され、それがブランドとして維持されることを通して、それをどのように評価するかを定義している。

Parasnis 氏は、企業にとってジェネレーティブ AI の採用はテクノロジーだけの問題ではないとコメントした。むしろ、新しいテクノロジーの採用は、テクノロジーと組み合わされなければならないプロセス、文化、組織の変革であると強調した。

シリコンバレーにいると、我々はこのような移行が実際よりもずっと早く起こると考える傾向がある。(Parasnis 氏)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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