Kaifu Lee(李開復)氏、AIスタートアップ「01.AI(零一万物)」を設立——「LLMは中国にとって歴史的チャンス」と強調

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Kaifu Lee(李開復)氏
Image credit: 01.AI(零一万物)

著名なコンピューター科学者でベンチャーキャピタリストの Kaifu Lee(李開復)氏は3日、新しい AI(人工知能)スタートアップ 01.AI(零一万物)を発表し、「AI 2.0 プラットフォームとアプリケーションの構築」計画について待望の詳細を明らかにした。Lee 氏 の VC である Sinovation Ventures(創新工場)の WeChat(微信)アカウントで共有された公式声明の中で、北京に拠点を置く同社は、独自の大規模言語モデル(LLM)を開発するという「最も困難な道」を選んだと述べた。

重要視すべき理由:Lee 氏は長文の公式投稿の中で、AI を搭載した LLM は中国が見逃すことのできない「歴史的なチャンス」だと信じていると書いている。Lee 氏は、01.AI が OpenAI の「ChatGPT」と同様の製品を生産できる国産モデルを開発することを望んでいる。

  • Sinovation Ventures は、Lee 氏の言葉を引用し、「中国がモバイルインターネットの時代のように、真にネイティブで高品質な LLM を持つようになれば、様々な高品質で創造的なアプリケーションが登場するだろう」と述べた。

詳細:01.AI は、事前トレーニング、事後トレーニング、AI インフラストラクチャー、マルチモーダル技術など、7つの主要モジュールでモデルトレーニング戦略を詳述している。同社は、各モジュールに一流の技術専門家を配置し、より高い能力を持つ LLM を構築したいと考えている。

  • 同社は3ヶ月以内に、すでに数百億パラメータのモデルテストを達成し、現在は300億から700億パラメータまで拡大する過程にある。3月に登場した競合 Baidu(百度)の「ERNIE Bot(文心一言)」は2,600億パラメータを記録している。

現在中国にあるオープンソースのモデルの多くは、ChatGPT と同様の機能を持つと主張しているが、簡単な会話に限られている。彼らは複雑なタスクで苦労する傾向がある。(01.AI の WeChat 投稿)

  • Lee 氏は、この分野で競争力を維持するためには、中国語の言語データを幅広く取り入れることによって、国産の LLM を開発する必要性があると強調した。
  • 企業データベース「Qichacha(企査査)」によると、01.AI は5月16日に正式に設立され、Baidu のメタバース部門の元責任者 Ma Jie(馬杰)氏が99%、Sinovation が残りの1%を出資している。

背景:OpenAI の ChatGPT が大成功を収めたことで、中国のテック大手、スタートアップ、研究機関が同様のものを作ろうと競争に参加するようになった。中国政府が支援する科学機関のデータによると、5月下旬の時点で、中国には少なくとも79の LLM があり、パラメータは10億を超えている。

  • Kaifu Lee 氏が AI スタートアップの設立計画を発表した月より1カ月前の2月、Meituan(美団)共同創業者 Wang Huiwen(王慧文)氏は意外にも市場に参入し、中国版 OpenAI を構築する意向を表明した。しかし、6月末、Meituan は、Wang 氏が「個人的な健康上の理由」で Meituan の取締役を退任した直後、現金2億3,400万米ドル(約338億円)と債務引受3億6,700万人民元(約73.1億円)で、Wang 氏の設立間もない AI 企業 Light Year(光年之外)の買収を発表した。

【via TechNode】 @technodechina

【原文】

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