通行人に撮影をお願いする必要なし、台湾全土をカバーするカメラマンマッチングサービス「JoyShot」

Image credit: JoyShot

以前、子供たちを連れて日本に行ったが、写真がうまく撮れていなかったので、帰国後、アップロードしても、誰も写真をクリックしてくれなかった。(Joyshot 共同創業者 Naiwen Zhang=張乃文氏)

旅行はかけがえのない思い出だが、思い出に残る最高の写真が撮れるとは限らない。

旅行中の写真撮影をプロのカメラマンに頼めないだろうか? そんな発想から生まれたのが、カメラマンとのマッチングプラットフォーム「JoyShot」だ。

JoyShot は、観光客が観光地近くのカメラマンを事前に予約できるようにするもので、ユーザはカメラマンを同行させることができ、旅行参加者全員をカメラに収められるだけでなく、プロが旅行の最も本物の瞬間を捉える手伝いをしてくれるのだ。現在、JoyShot プラットフォームには、サービス開始から3ヶ月足らずで、158人のカメラマンが集まり、117人のユーザにサービスを提供している。

旅先で、たったの4ステップで予約可能

楽しい旅行では、誰も写真に入り込む機会を失うべきではない。

JoyShot ブランドマネージャーの Jialing Liu(劉嘉玲)氏は、娘の写真を撮るために、自分が娘と同じフレームに入ることができなかったと話した。

通りがかりの人に撮影を手伝ってもらうことができても、ほとんどの場合、定位置でポーズを決めるため、ランダムショットのような自然感やコンテクストは得られないし、撮影された写真の品質は言うまでもなく、うっかり目を閉じてしまうというジレンマも生じる。

全員がフレーム内におさまる自然な写真は、旅行中に多くの人にとって理想的な撮影シチュエーションであるため、プロのカメラマンの同行が必要だ。JoyShot はカメラマンマッチングプラットフォームとして、たったの4ステップで、簡単に旅先で同行してくれるカメラマンの予約をすることができる。

  1. 条件検索:ニーズに応じて撮影カテゴリ、日付、場所、時間、人数を選択する。
  2. カメラマンを選ぶ: JoyShot プラットフォームには、ユーザがお気に入りのカメラマンを選択できるように、カメラマンの紹介、ポートフォリオ、撮影カテゴリ、専門分野、撮影機材などが表示される。
  3. 料金決済
  4. 予約情報の確認
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ユーザは、料金決済後24時間以内にカメラマンからの最終詳細を確認する電話を待つだけで予約が完了する。これにより、両者間のコミュニケーションコストが大幅に削減されるだけでなく、観光客は撮影の際にプロのカメラマンを簡単に同行させることができるわけだ。

一方、JoyShot は旅行写真以外にも、結婚式写真、イベント写真、週末記録などの撮影タイプも受け付けることができる。Liu 氏は、現在プラットフォーム上のユーザの約80%が旅行写真を撮影するためにカメラマンを雇っており、残りの20%はイベントタイプの撮影であると述べた。

JoyShot がユーザのために、指定されたエリアの近くにのみカメラマンを手配することは注目に値する。例えば、観光客が台北101の観光と写真撮影ツアーを手配したい場合、JoyShot では双北エリア(台北市+新北市)のカメラマンのみを選択できるため、移動の制約やカメラマンの交通費などの手間が軽減される。離島を含む台湾の各都市には、すでに協力してくれるカメラマンがいる。

現在、JoyShot プラットフォームはユーザに1時間あたり1,288ニュー台湾ドル(約6,000円)の撮影料金を請求し、カメラマンには出来高払で仕事を発注している。正式リリースから約3ヶ月、累計撮影時間は281時間となり、月間収益成長率は160%、リピート率は30%に達した。

オペレーションが肝

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Zhang 氏は、見栄えの良い記念写真を撮りたいという観光客の悩みの種を解決するだけでなく、実際には JoyShot の肝はカメラマンの営業前の課題の解決支援にもあると語った。

一人で案件を引き受けるカメラマンの場合、受けた案件数や顧客の流入経路を気にするだけでなく、時間、価格、場所などの情報を得るためにユーザとの連絡に多くの時間を費やす必要がある。カメラマンが単独で直接案件を引き受ける場合、JoyShot よりも高い価格で交渉することはできるが、カメラマンは時間と手間を節約できるため、JoyShot に協力することに前向きだ。(Naiwen 氏)

さらに、Naiwen 氏は写真家が遭遇するもう一つの問題——写真業界における情報の閉鎖性を指摘した。ほとんどの写真家は一人で仕事をしていて、独自に顧客を開拓しており、お金の支払いや、写真機材のモデルなどの基本的な情報さえも把握できないという問題に遭遇する可能性があり、写真家同士のコミュニケーションがあまり得意ではないことを発見した。撮影機材の型番などの基本的な情報さえもカメラマン間で交換されることはあまりなく、撮影機材を販売するショップが情報を共有しているのが現状だという。

カメラマン自身が業界について語りたがらないということよりも、その手段が無いという問題が大きい。(Naiwen 氏)

Naiwen 氏は、JoyShot がカメラマンのこうした課題を理解していたので、多くのカメラマンにメリットを提供できるようになったという。

業界情報や互いの考えなどを話す機会を提供しているが、今後は、行き場のないカメラマンの方々をサポートし、Joyshot のサービスに付加価値をつけられるような研修セミナーを開催していきたいと思っている。(Naiwen 氏)

シンガポールに進出へ

Image credit: JoyShot

JoyShot は既存市場に参入するものではない。固定ポーズと完璧な写真レタッチを提供するプロのスタジオ撮影とは異なる。ユーザは、旅行中にプロによる自然な写真を望んでいる。そこで、レタッチなしで24時間以内にオリジナル写真を提供するという新しいモデルに注力している。

JoyShot のような新しいタイプの写真サービスを作りたかった理由について、Naiwen 氏は、共同創業者の Yuzhu Chen(陳雨珠)氏も自分と同じく、「昔はいつも自分がみんなのために写真を撮る立場だった」ことが背景にあると語った。家族と一緒に旅に行くと同じフレームに入ることができず、家族が満足する構図を撮ることができなかったのだ。

そこで Chen 氏は、デジタルマーケティングにおける過去の経験と、かつての共同研究者 Lieu 氏や Naiwen 氏と力を合わせ、外出先で写真を撮れるメディアプラットフォーム「JoyShot」を立ち上げた。

JoyShot は今年8月、海外市場進出の第一歩として、まずシンガポール市場をターゲットにする予定だ。

シンガポールは当社にとってコスパが高い。小さな国であるためカメラマンを多数見つける必要がなく、それでいて、毎年2,000万人の観光客がいる。

Naiwen 氏によれば、シンガポールの観光客は台湾の2倍で、欧米からの観光客が大半を占めている。シンガポールはまさに、台湾にとって、北東アジアの観光市場を補完する存在なのだ。

【via Meet Global by Business Next(数位時代) 】 @meet_startup

【原文】

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