草むしりからお家売却まで「21世紀の三河屋」の仕組みとは/KDDI ∞ Labo8月全体会レポ

MIKAWAYA21代表取締役の青木慶哉さん

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」掲載された記事からの転載

シニア向けサポートを手掛けるのがMIKAWAYA21です。フランチャイズとして展開する「まごころサポート」は地域サポーターなどと連携し、シニアが抱える日常生活や趣味などに関する様々な依頼に応えています。また、こういったアナログなサービスの他、自分や家族の安否確認や健康管理ができるIoTデバイスなどのデジタルデバイスの開発なども手掛けています。

創業した青木慶哉さんは元々、新聞の販売会社とソフトバンクのショップ事業をやっていた人物です。新聞と携帯電話販売を手掛ける中、やってくるシニア層の方々に対し「まごころサポート」というサービスを地域に提供したところこれがヒット。結果として「新聞は日本一、iPhoneは販売台数日本一を3回とれるぐらいおじいちゃん、おばあちゃんに支えてもらった」(青木さん)のだそうです。

そこでこのシニア向け事業に注目した青木さんは2020年、サザエさんに出てくる「三河屋のサブちゃん」をモチーフにしたMIKAWAYA21を立ち上げます。特徴はサービスの展開をフランチャイズにした点です。

「今まで65万件ぐらいサポートをやってきたんですが、これは私たちが全国に行ってサポートするわけではなく、北海道から沖縄まで、210ほどのパートナーのみなさんがいて、まごころサポートを新規事業でやろうじゃないかと。大手企業のみなさんも事業を応援しようということで、Googleさんとは去年から全国9カ所で、おじいちゃん・おばあちゃん向けのスマホ教室を一緒にやりました。1年だけのプロジェクトだったんですけど、実は途中から米国本社に(Pixelシリーズの体験)レポートが上がるようになりました」(青木さん)。

まごころサポートを通じてうまれたシニアの繋がり

まごころサポートは「法律に抵触しないことだったら何でも」対象になっていて、青木さんによると、電球交換から草むしり、リフォーム、お家の売却などあらゆるサポートを実施しているそうです。当然ながら、こういった仕事を正規雇用した従業員に対して手掛けてもらうことは収支の面でも難しく、まごころサポートではこの対応を地域のサポーターと一緒になって取り組んでいるとのことでした。

「これを時給を払うスタッフにやってもらいますと採算が合いません。そこで私たちは地域からコンシェルジュと呼ばれる人たちを募集しています。大学生の方や主婦の方、定年退職した方。今、2000数百名の方が登録してくださって、お給料が発生する方だけで1000数百名おられます。業務委託契約で時給も交通費も出ません。でも、地域のおじいちゃん・おばあちゃんたち一緒に支えましょう、そういう温かい想いを持った方たちが来てくれます」(青木さん)。

青木さんによると、こういった方々のお手伝いは無償ではなく、料金が発生するため、平均すると週一回のお手伝いで月に3万円程度の収入が発生するそうです。また、土地の売却など複雑な仕事については専門知識も必要で、80万円以上稼ぐようなコンシェルジュの方もいるのだとか。同社もまた、関係性ができた後の不動産相続など金融資産のサポートを大きなマネタイズポイントにしていると明かしてくれました。

2025年には最も人口の多い団塊の世代が後期高齢者になる「2025年問題」がやってきます。青木さんは会場に集まった企業担当者に向け「この今の時期に危機感を持って一緒に対応していただける方とタッグを組みたい」と共創の可能性ある企業への呼びかけをしていました。

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