日欧向けファンド「NEXTBLUE」、50億円規模の2号ファンドを組成——女性のウェルビーイングに特化

SHARE:
NEXTBLUE 代表パートナーの3人。左から:Vincent Tan 氏、井上加奈子氏、郡裕一氏
Image credit: Nextblue

※この記事は英語で書かれた記事を日本語訳したものです。英語版の記事はコチラから

東京に拠点を置くベンチャーキャピタル NEXTBLUE は26日、2号ファンドを組成したことを明らかにした。2号ファンドは最終クローズを迎えていないが、最終的には50億円規模を目指す。また、DEIB(Diversity Equity Inclusion and Belonging=多様性、公平性、包括、帰属)の実現を通じて、日本全体の女性のウェルビーイング向上に向けた社会的インパクトの創出を目指すとしている。

2号ファンドには、東京電力ホールディングス(東証:9501)と中部電力(東証:9502)が折半出資する発電会社 JERA と PR 大手のサニーサイドアップグループ(東証:2180)を含め、事業会社3社と匿名の個人投資家複数が LP として参加する。こうした LP は、日本やヨーロッパの投資先に対し、女性のウェルビーイングに関する事業の PoC の場として環境を提供するという。

LP のうち JERA は、大手電力会社の合弁会社で、現在、全国に26ヶ所の火力発電所を擁している。同社では、水素を天然ガスに混ぜた火力発電、水素やアンモニアを燃料として使った火力発電によるゼロエミッション火力や、再生可能エネルギーの導入により、2050年のゼロエミッション発電の実現を目標に掲げている。

NEXTBLUE パートナーの井上加奈子氏によれば、今回の JERA の LP 参加には、エネルギー業界において新しい試みに取り組んできた同社が、会社の中から世の中を変えていこうというメッセージが込められているという。NEXTBLUE は2号ファンドの最終クローズへ向け、引き続き、ファンドのビジョンに賛同を得られる LP から資金調達を進める計画だ。

1号ファンドからは39社に出資、4社がイグジット

NEXTBLUE の1号ファンドは2020年4月に組成を開始し、2021年3月にファーストクローズを迎えた。その時点でのファンド規模は30億円とされていた。井上氏によれば、1号ファンドからは39社に投資が実行され、うち、約半分が日本のスタートアップ、残りの半分がヨーロッパのスタートアップだったという。

業種で見てみると、日本の投資先は業界トレンドにならって SaaS が多かったが、ヨーロッパの投資先はヘルスケアとフードに絡んだものが多かったという。これは、DTx(Digital Therapeutics=デジタル治療)のスタートアップなどが頭角を表す一方で、慢性疾患などには効果が出にくいことがあり、むしろ、直接身体に摂取するヘルスケア×フードに注目が集まったからだそうだ。

1号ファンドでは、ヨーロッパのスタートアップにとって、日本の VC の存在価値があること、また、ヨーロッパのスタートアップを日本に連れてくることができることが証明したかった。

コロナ禍、投資先の中には欧米での調達に苦しんだところもあったが、彼らも比較的、日本では資金にアクセスすることができた。コロナ禍でも日本の市場は、欧米ほどは悪化しなかったからだ。Cap Table を多様化することの重要性を証明できたと思う。(井上氏)

1号ファンドの投資先からは、モバイルバッテリシェアリングサービス「ChargeSPOT」運営の INFORICH(東証:9338)が IPO し、プロセスマイニングの Lana Lab(ドイツ)、薬のクイックコマースを提供する First A(ドイツ)、複数のリンクを1つのリンクに集約して伝えられる Bento(スイス)がそれぞれ M&A される形でイグジットを果たしている。

Members

BRIDGEの会員制度「Members」に登録いただくと無料で会員限定の記事が毎月10本までお読みいただけます。また、有料の「Members Plus」の方は記事が全て読めるほか、BRIDGE HOT 100などのコンテンツや会員限定のオンラインイベントにご参加いただけます。
無料で登録する