欧州5都市で電動自転車をレンタルサブスク、ドイツDanceが19億円調達——ローンチ3年半で会員1万人突破

e-bike に何が待ち受けているのか？

オランダの有名な e-bike スタートアップ Vanmoof が2023年7月に破産を宣言し、多くの e-bike パーツサプライヤーに影響を与え、市場の先行きが心配されている。

最近、ドイツの e-bike レンタルスタートアップ Dance が公式サイトで朗報を発表した。アクティブ有料顧客数が1万人を超え、1,200万ユーロ（約19億円）の資本注入を受けた。Dance と VanMoof の最大の違いは、販売ではなくサブスクモデルを採用していることだ。Dance は同業他社にありがちな高い生産コストとメンテナンスコストのバランスを取り、業界有名企業からの投資を呼び込むことに成功している。

人中心の都市環境を促進

ドイツのスタートアップ Dance の共同創業者 Eric Quidenus-Wahlforss 氏は、Dance は環境と交通をより良いものにし、さらに住みやすい都市を創造する目的で設立されたと語った。

しかし、電動モビリティ機器（e スクーター、自転車など）の修理には価格とコストがかかるため、人々は電動モビリティの導入に踏み切れないでいた。この問題に着目した Dance のチームは2020年1月、都市の混雑と汚染を緩和すべく、電動モビリティのサブスクサービスを開始した。

Quidenus-Wahlforss 氏は、現段階では、都市におけるモビリティシェアリングは、その収益性を維持するために政府の補助金に頼らざるを得ないが、Dance は、軽量な電動モビリティのレンタルと包括的なアフターサービスを組み合わせたサブスクサービスをを選択し、お金をかけずに電動モビリティを利用できるようにすることで、人々の利用意欲を高めると主張している。

ヨーロッパ5都市に進出、B2B と B2C を同時展開

1年間の研究開発を経て、Dance チームは2021年、同ブランドの e-bike と電動バイクを正式ローンチした。Dance は保証や盗難防止対策もサービスに組み込んでおり、ユーザは公式アプリで修理を申し込むと、1日以内にユーザが指定した場所にチームが駆けつけ、修理を実施する。

ヨーロッパで多発する自転車の盗難問題を受け、Dance チームは開発時に分解に特殊な工具が必要なパーツを取り付けたり、アラームシステムや GPS による位置追跡を自転車に取り付けたりした。これには、盗難に遭う可能性を少しでも減らしたいという思いが込められている。

現在、Dance のサービスはベルリンやパリなど主要5都市でのみ利用可能で、加入料は地域によって若干異なり、年間加入料は59ユーロ〜79ユーロ（約9,300〜12,400円）。アクティブユーザが1万人を超えた今、Dance は少なくとも約9,300万円の年間収入が得られることになる。これには企業提携による収入は含まれていない。

Dance の企業連携プログラムは「Dance For Business」というもので、Google などパートナー企業が、従業員福利厚生のために電動モビリティを提供する契約を Dance と結ぶことができる。