Onlabが第27期デモデイを開催、木材事業者と設計者のマッチング「eTREE」の森未来が最優秀賞を獲得

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Image credit: Masaru Ikeda

Open Network Lab は20日、Seed Accelerator Program 第27期のスタートアップを披露するデモデイを開催した。

採択された5チームがデモデイでピッチし、デモデイの最後には、主要メンターやデモデイに参加した聴衆らによる審査投票の結果によりチームを表彰した。

審査員は次の方々。

  • 林郁氏(デジタルガレージ代表取締役 兼 社長執行役員グループ CEO)
  • 伊藤穰一氏(デジタルガレージ 取締役 兼 専務執行役員 Chief Architect)
  • 畑彰之介氏(カカクコム 代表取締役社長執行役員)
  • 村上敦浩氏(カカクコム 取締役副社長執行役員)
  • 佐々木智也氏(デジタルガレージ オープンネットワークラボ推進部共同部長)
  • 宇佐美克明氏(デジタルガレージ オープンネットワークラボ推進部共同部長)

【Best Team Award】【Audience Award】eTREE by 森未来

日本に森林は多いが、木材の国産自給率は低く海外からの輸入に頼っている。これはかつて、国産材のサプライチェーンが一度途絶えてしまったためだ。しかし、今日、国産材を利用しようとする需要が高まっており、その需要に応えるにはサプライチェーンを再構築する必要がある。この問題を解決するため、森未来(しんみらい)は木材事業者と設計者のマッチングプラットフォーム「eTREE(イーツリー)」を開発した。

建築業界や住宅業界は木材使用をターゲットに据えており、各所で木造ビルの建築計画が進行中だ。法改正により、公共建築においても国産材の使用が奨励され、多くの企業が国産材を積極的に採用している。一方で環境に対する意識が高まり、カーボンクレジット市場の成長が期待されている。森未来では、森林業界と IT 業界の専門家が協力し、サステナビリティのミッションに取り組んでいる。

【Special Award】EARTHSTORY by Linkhola

世界的には、脱炭素プロジェクトビジネスが急速に成長しており、2030年までには炭素クレジット市場だけで25兆円成長する見込みだ。しかし、日本企業は現在、3つの主要な手段に頼って脱炭素対策を進めており、これでは目標達成が難しい状況だ。Linkhola の「EARTHSTORY(アースストーリー)」は、高速かつ効率的なクレジット発行を実現する。

このプラットフォームには、個人の移動に焦点を当てた脱炭素アプリも含まれており、個人の CO2排出の可視化と削減が可能となる。同社では、クレジットの創出速度の向上、2026年に向けたクレジット需要の増加への対応、そして創業者のチームの経験と能力をテコに、カーボンオフセットの普及と実質的な脱炭素を進める世界を構築することを目指す。

tukumo by AmaterZ

AmaterZ の「tukumo(ツクモ)」は、現場の情報と行動のきっかけを通知する超小型 IoT センサーシステムだ。発電機能とセンサー通信モジュールを搭載し、周囲のエネルギーで発電、情報を収集して無線で通知する能力を持つ。一次産業の DX 化、設備管理など15種以上の現場・用途で培った実用性に加え、働く環境改善や生産性向上で、変わろうとしている現場を支援する。

例えば、養鶏業では国際競争力強化の観点から、鶏の健康管理を徹底することが求められるが、養鶏農家がつきっきりで鶏の面倒を見ることは現実的ではない。tukumo では約8,000個のセンサーを鶏舎に設置することで、温度、湿度、アンモニア濃度などが送信されるため、農家は鶏の状態を遠隔で管理できる。tukumo の特長の1つは、中継器を使用してデータの途切れを防ぐことができることだ。これにより精緻な分析が可能になる。

3D.ai by bestat

bestat は、3D × AI の専門家集団で構成されるスタートアップで、デジタルコンテンツを最先端の AI で半自動制作できるクラウドサービス「3D.ai(スリーディードットエーアイ)」を開発した。多くのプラットフォームと連携しているため、一気通貫で3D が手に入り、誰もが簡単に3D を制作できる世界を実現する。

3D コンテンツは販促活動などで広く使用されており、大手プラットフォームでも 3D 機能が提供されている。しかし、3D コンテンツの制作には多くのプロセスと高いコストがかかっていた。3D.ai はこの問題に取り組み、スマホで360°の動画を撮影し、クラウドにアップロードするだけで、AI が 3D モデルを生成し、必要に応じて人の手で補正を行い、簡単に AR コンテンツを作成できる。

Cayzen by エイトス

エイトスは愛知・豊田の拠点を置くスタートアップで、製造業の改善提案制度に特化した SaaS「Cayzen(カイゼン)」を提供している。工場の改善提案活動による業務改善効果の最大化に加え、改善アイデアによる CO2削減や省エネ効果を算出し、カーボンニュートラルに向けた継続的な削減施策の実行を支援する。

Cayzen では、各工場と設備の電力使用と排出情報を取り込み、アイデアの登録を簡略化することで、省エネと CO2削減の効果を自動的に算出する仕組みを提供する。さらに、AI を活用して現場間のフィードバックを自動化し効果的な改善を支援する。未来の改善効果を理論値として算出し、過去や現在の実績を管理するための見える化ソリューションとして機能する。


デジタルガレージ オープンネットワークラボ推進部共同部長の宇佐美克明氏によれば、今回の第27期の修了を受け、Open Network Lab は通算で150組のスタートアップを輩出したことになる。また、前回第26期までの輩出スタートアップの、次期資金調達達成率は61.2%、イグジット率は12.7%に達しているとのことだ。

第27期デモデイの開催とともに、第28期への応募受付が開始された。第28期への申込締切は、10月31日の正午となっている。

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