共に挑む仲間/世界に挑むスタートアップたち(4)小林清剛 × ACV 林智彦【ACVポッドキャスト】


本稿はアクセンチュア・ベンチャーズが配信するポッドキャストからの転載。音声内容をテキストにまとめて掲載いたします

アクセンチュア・ベンチャーズ (ACV)がスタートアップと手を取り合い、これまでにないオープンイノベーションのヒントを探るポッドキャスト・シリーズです。旬のスタートアップをゲストにお招きし、カジュアルなトークから未来を一緒に発見する場を創っていきます。

スタートアップの言葉すらまだ一般的でなかった2010年代前半、起業家として事業を大手通信会社に売却し、その後渡米。個人投資家として、また連続起業家として活動しつつ、日本人起業家コミュニティを積み上げたのが小林清剛さんです。本稿では前回のパートに引き続き、アクセンチュアの林智彦が小林さんのこれまでの活動をお聞きします。ポッドキャストの内容を一部編集してテキストでもお送りします。なお、一部敬称については略させていただきました。

ポッドキャストで語られたこと

共に米国で挑戦する日本人起業家グループ。小林さんを中心にコミュニティが作られた

小林さんの米国での挑戦を語る上で欠かせないのが「起業家ファミリー」の存在です。彼を慕って後に続いた起業家たちを中心に、共に受け入れ、共に学び、共に事業を創っていった仲間たちのことです。シェアハウス「テックハウス」には多くの起業家たちが訪れ、ここまで話に挙がったビザや言語の問題、プロダクト開発におけるノウハウを共有しあいました。

二人の会話はコミュニティで交わされる日常へと入っていきます。

林:(中略)例えばブロックチェーンがインフラになってくるという話があったときに、そのインフラになった先に、どういう社会変化が起こるのか。(中略)そんなことを思い巡らせて、将来の(中略)変化を想像するのはのはすごく大事なことですし、楽しいことでもあると思うんですよね、

小林:例えばOpenAIでも(中略)コピーライティングとか簡単なフリーランスの仕事が大量に減っているっていう話があって(中略)本当に自分たちが企業としてコピーライティングを発注するときに、自分たちでChatGPTを使ってコピーライティングをして、それで広告に出そうと思うのかとか。

思わないですよね。どういう人の仕事が残るのかとか、仕事が残る人たちの価値は上がるわけじゃないですか。どういう変化が起きるのかをイメージすることが大事だと思ってます(中略)。

林:そういうアドバイスは普段、起業家の方にもされるアドバイスの一つでもあるんでしょうか?

小林:そうですね、僕たちのコミュニティといってもレイヤーがあるんですけど、特に僕の身近な起業家が、10〜20人ぐらいいて、彼らとは多分月に1回とか2週間に1回とか会って(中略)流行ってるニュースとかを共有したりする中で、自分が将来に対してこう思うとか。あとはZypsy(ジプシー)というデザインスタジオをやってる玉井さん(和佐氏)は同じアパートに住んでいて、ワンフロアが違うぐらいなんで、週に3回とか4回とか一緒にご飯を食べて話をしたりとか。

林:ディスカッションがやっぱり大事ですよね。

小林:あと週末一緒にみんなでトレイル行ったりとか。日報みたいな仕組みにやっていて。まだシード期にあってこれから資金調達する起業家とかは1人大体1個とか2個とか3個とかの日報グループに入って、本当に希望者だけで強制じゃないんですけど、その起業家が毎日どんなことをしたとか、こういう質問があるのに対して、一言コメントしたりとかを毎日フィードバックをしていく(中略)。

あとはアメリカで勝負している日系の創業者のグループもあって、そこでも最近こんなことを探してるとか、困ってるっていうのをやり取りしてみんなで助け合ったりとか、質問しあったりなどもしています。

林:ものすごく興味深いですね。日報もすごく大事で、特に人間、自分だけの視点だとどうしても視野が狭まってしまいますし、それこそキヨさんの言う「非効率」が起きてしまい、自分自身で気づくまでの時間がもったいないというのはあると思うんですよね。

アクセンチュアでも、チームメンバー間が「トークストレート(Talk straight)」でフィードバックしあうことを大事にしています。コンサル同士がコンサルしている状況に近いですね(笑。気づいたとき、プロジェクトが終わったときに、こうだったよとみんなストレートに返し合う仕組みがあることで、実力が伸びていくようになっています。このストレートさは、気持ち的にきつい部分もありますが、グローバル企業のいいところだと思います。日系企業だと、言いづらいものは言いづらいまま、ちょっと言ってくれれば修正できるのに、生涯気づかないまま過ぎていく人がいるかもしれません。

小林:あとは何を質問していいかわからないと、質問もできないんですよね。日々何をしたかっていう中で、これをした方がいいんじゃないかとか、これがよくないよとか、そういうのをやっぱりアドバイスしたりします。

あとは行動ベースだけじゃなくて、こっちで勝負をするってことはそれなりにつらいときもあるので、精神面でも助け合ったりもできるのかなと思ってます。

林:日報の話をもっと聞きたいのですが、フォーマットというのは何か作られてますか?それとも数行のやり取りですか。

小林:人によって違うんですけど、大体今日やったことと質問ぐらいですね

林:ツールとしてはチャットだったりとかかですか?

小林:そうですね。資金調達のときはもうちょっと細かくやったりしますけど。

林:今までここで育っていった起業家の方にも、日報ベースのアドバイスをされてた訳ですね。

小林:そうですね、僕がしてる人としてない人もいます。あともう一つ実施しているのは、ちょっと青臭い話なんですが、毎年年の初めに、各自の志みたいなものを確認する時間を設けています。質問を何個か用意して、なんで起業してるの?とかそういう内容なんですけど、それをお互いに発表し合って、お互いにフィードバックをするみたいな会を、何回か設けています。

それでも、その内容がすごい大事で。意外とみんな自分の中で、思っていても言語化することってないじゃないですか。みんなに発表してそれにフィードバックを受けることによって自分のものになりますし、最初着慣れない服を着てるみたいな感じでちょっと背伸びしてみんな言うんですけど、それをちゃんとピッチしているときに言ったりとか、ブログに書いたりとか、みんな発表するときに言ったりしていると、だんだん自分の服になってくるんですよね。

なぜ起業をするのか?なぜアメリカでやるのか?みたいなところがやっぱすごい大事で。

日本でやることに比べて、英語が母国語じゃない人はすごく大変だと思うんですよ。なので辛いこともたくさんあるんで、そういう精神性というか、メンタル面もすごく一緒に高めていくことを大事にしてます。

次回:アメリカで勝負する理由

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