「HOKKAIDO INNOVATION WEEK」3日目、極寒に身を投じピッチする「Polar Bear Pitching」が登場

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グリーンのセッションでは、気候変動や自然保全の分野で活躍するスタートアップへの投資について、アイスランドを拠点とするクライメートテック投資家 Rünno Allikivi 氏(中央)、JERA Ventures パートナー Tim Romero 氏(右)らが議論した。 Image credit: Masaru Ikeda

本稿は、1月29日〜2月2日に開催されている「HOKKAIDO INNOVATION WEEK 2024」の取材の一部。

札幌などを中心に今回初となる HOKKAIDO INNOVATION WEEK が開幕したのは既報の通りだ。このイベントウィークの折り返し地点となる3日目は、さっぽろテレビ塔でデンマーク・コペンハーゲンのスタートアップイベント「TechBBQ」の日本版という位置付けで、複数のファイヤーサイドチャットが展開された。

HOKKAIDO INNOVATION WEEK の主催者 STARTUP HOKKAIDO は、北海道の特徴的なスタートアップが利用可能なアセットになぞらえ、一次産業と食、宇宙、環境とエネルギーの3つのカテゴリに集中してスタートアップを支援することを謳っており、ファイヤーサイドチャットでも、アグリテック、GX(グリーントランスフォーメーション)、トラベルテックなどが集中的に取り上げられた。

アグリテックのセッションでは、富良野で2018年に新規就農した西尾奈緒氏(左から2人目)は、地方で農業を営む上での課題などについて語った。
Image credit: Masaru Ikeda

最近の海外スタートアップカンファレンスの例にならって、あるいは、本家の TechBBQ のフォーマットなのかもしれないが、ファイヤーサイドが終わるたび、登壇したパネリストは近隣の別会場に移動し、そこでオーディエンスも交えたワークショップを展開していた。チャット中の会場 Q&A のみならず、ワークショップがあることでオーディエンスも気軽に議論に参加できるわけだ。

Image credit: Masaru Ikeda

陽が落ちた夕方5時からは、テレビ塔の玄関付近の特設エリアで「Polar Bear Pitching(北極熊ピッチ)」の北海道版が開催された。Polar Bear Pitching とは、以前にも書いたがフィンランドのオウルで毎年開催されるピッチイベントだ。オウルの海岸沖に広がる凍ったバルト海に穴を開け、起業家が海水に身をつけ凍えながら投資家にピッチする。

余談ではあるが、筆者も現地オウルで体験させてもらったことがあるのだが(出場者としてではない)、短時間であれば、気絶するほど冷たいというものでもない。時間が長ければ低体温症など身の危険を伴う可能性もあるが、この時期のバルト海の水温が0〜4℃だから、少々冷やしたグルシン(サウナ界のスラングで摂氏一桁度を表す)の水風呂だと思えば、ピッチする時間程度は耐えられそうだ。

日本人として初めて、本家オウルの Polar Bear Pitching に出場したことがある青木雄太氏(Funky Jump CEO)が冒頭挨拶。
Image credit: Masaru Ikeda

札幌市内には海や湖はないので、北海道大学有志の協力により氷水風呂が用意された。会場脇には札幌のサウナ施設としては有名なガーデンズキャビンがトレーラーサウナを提供し、ピッチ後に冷え切った身体をサウナで温められるよう配慮されていた。Polar Bear Pitching には海外から4名、地元から3名の起業家が参加した。地元勝者にはオウル本戦への参加権、海外勝者には北海道での事業支援を受けられる権利が贈られた。

GOVA の共同創業者 Adam Silfvander 氏
Image credit: Masaru Ikeda

海外参加組で優勝したのは、人工甘味料を開発する GOVA の共同創業者 Adam Silfvander 氏だ。GOVA は、フィンランドやデンマークを拠点に、食品産業向けに天然由来の甘味料を開発している。既存の甘味料は、砂糖の代替品として糖分を抑えられているものの、カロリー高、血糖値上昇や消化器系問題の誘発など副作用のリスクが高い。同社では安全な完全自然由来の甘味料開発に取り組む。

Floatmeal の共同創業者兼 CTO Sajjad Kamal Shuvr 氏
Image credit: Masaru Ikeda

地元参加組で優勝したのは、タンパク質浮き草の養殖システムを開発する Floatmeal の共同創業者兼 CTO Sajjad Kamal Shuvr 氏だ。Floatmeal は北海道大学発のフードテックスタートアップで、大豆と比べて10倍以上の収穫量と11倍のタンパク質を含む水生植物ミジンコウキクサ(duckweed wolffia)の養殖システムや栄養食品の研究開発に取り組んでいる。

Image credit: Masaru Ikeda

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