患者状態悪化予測AIのAITRICSが30億円、二次電池材料開発Solivisが22億円調達など——韓国スタートアップシーン週間振り返り(3月18~22日)

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Image credit: AITRICS, Solivis

3月18日~3月22日に公開された韓国スタートアップの調達のうち、調達金額を開示したのは10件で、資金総額は1,022億ウォン(約115億円)に達した。

企業名 産業分野 調達額 ラウンド 投資家
Terracle
(테라클)
プラスチック廃棄物処理 105億ウォン(約12億円) シリーズA Envisioning Partners、DSC Investment、ヒョンデ ZERO ONE ファンド、KDB韓国産業銀行、Schmidt
Dataknows
(데이터노우즈)
不動産プラットフォーム 非公開 Hi Investment Partners
Mimetics
(미메틱스)
美容医療ソリューション 非公開 シード Future Play、MeshUp Ventures
NBNB
(내방니방)
不動産 非公開 プレシリーズA New Paradigm Investment
Blind Reason
(블라인드리즌)
ファッションレーベル 非公開 M&A Jente
Solivis
(솔리비스)
二次電池材料 200億ウォン(約22億円) シリーズB
OffLight
(오프라이트)
デイリープランニングツール 非公開 シード Mashup Ventures、Base Investment、The Ventures
Incera Solution
(인세라솔루션)
高性能FSM製作 3億ウォン(3,300万円) シード JB Ventures
Coffeeting
(커피팅)
デートアプリ 非公開 シード Primer
Six Shop
(식스샵)
オンラインショッピングモールソリューション 非公開 M&A Sellerhub
Jeongyookgak
(정육각、精肉角)
フードテック 100億ウォン(約11億円) NH投資証券、Atinum Investment、Capstone Partners
NeuroVenti
(뉴로벤티)
脳疾患 10億ウォン(約1.1億円) HLB Group
CELLKEY
(셀키)
糖タンパク質分析 非公開 シリーズA Dt&CRO
AITRICS
(에이아이트릭스)
医療AI 271億ウォン(約30億円) シリーズB Boneum Investment、DS投資証券、Ulmus Investment、HB Investment、シニョン証券、HRZ
Preneu
(프리뉴)
無人機の設計と製造 150億ウォン(約17億円) シリーズB T Investment、BNK投資証券、ヒョンデ技術投資、韓国投資証券、New Main Capital、Stick Ventures
AIZ Entertainment
(아이즈엔터테인먼트)
AIを使ったエンタメコンテンツ 100億ウォン(約11億円) シード BonAngels Venture Partners
SoftBerry
(소프트베리)
EV 48億ウォン(約5.3億円) シリーズAブリッジ Partners Investment、Friend Investment Partners、NHベンチャー投資、NH投資証券、韓国技術保証基金、中小ベンチャー振興公団
AIO Farm
(에이오팜)
農食品 35億ウォン(約3.9億円) シリーズA NBH Capital、Cape投資証券、Blue Corner、NH投資証券、NH農協銀行
VA Games
(브이에이게임즈)
モバイルゲーム開発 非公開 Atinum Investment、K-Net Investment Partners
Bloomsbury Education
(블룸스버리에듀케이션)
IB(国際バカロレア)教育 非公開 M&A Glorang
Mocking Bird
(모킹버드)
社会人向けAI模擬試験 非公開 シード KAIST青年創業投資持株、韓国投資アクセラレータ、銀行圏青年創業財団(D.CAMP)
WinCL
(윈클)
炭素排出権取引ソリューション 非公開 シード 500 Global
NEEDS
(니즈)
フランチャイズ食材自動在庫管理 非公開 ブリッジ Newkids Investment

主なスタートアップ投資

  • 医療 AI 企業の AITRICS(에이아이트릭스)が271億ウォン(約30億円)を調達した。病院の入院患者の状態をリアルタイムでモニタリングし、敗血症、死亡、心停止などの状態悪化を早期に予測するバイタルケアを開発している。調達した資金は、アメリカ FDA の承認などに使用する予定だ。
  • 廃プラスチック再生スタートアップの Terracle(테라클)が105億ウォン(約12億円)を調達した。プラスチックや衣類の廃棄物などを化学的に再生して、テレフタル酸やエチレングリコールなどの再生原料を生産している。
  • ドローン設計製造企業の Preneu(프리뉴)が150億ウォン(約17億円)を調達した。ドローン機体の設計・製造、主要部品開発、管制システム分野で、さまざまな国産化開発事業を実施している。
  • AIベースのエンターテインメントコンテンツを開発する AIZ Entertainment(아이즈엔터테인먼트)が100億ウォン(約11億円)を調達した。ユーザの関心事に合わせてコンテンツを紹介し、ファンダムを形成し、様々な相互作用が可能なエンターテインメントコンテンツを提供する予定だ。
  • フードテック企業の Jeongyookgak(정육각、精肉角)が100億ウォン(約10億円)を調達した。調達した資金は、子会社の chorocmaeul(초록마을、緑の村)を含む両社の運営資金として活用し、黒字体質の完成に注力する計画だ。

トレンド分析

レストランサービスロボットの未来は?

レストランでのサービスロボット導入が増加している。人手不足と人件費上昇で、レストランがロボットを導入せざるを得ない要因となっている。このような時代の要求に応えて、給仕ロボットを始めとしてコーヒー、チキン、ハンバーガーなどの飲食物を直接調理したり準備作業をしたるする厨房ロボットの開発スタートアップが国内外で増加傾向にある。サービスロボットの成長が本格化すると見られ、投資家も投資に乗り出している。

国内ではサービングロボットソリューションが中心で、2022年から関連企業への投資が増加している。最近ではサービングロボボットを提供する Bear Robotics(베어로보틱스) が LG 電子から800億ウォン(約88億円)の大規模投資を受けたほか、ハンバーガーを自動調理する Aniai(에니아이)も今年初めに157億ウォン(約18億円)の投資を受けた。

市場規模が拡大するに伴い、グローバル市場に挑戦する国内ロボットスタートアップも増えている。シリコンバレーで設立された Bear Robotics を始め、 Aniai もニューヨークに本社を設立。チキンロボットの Robert Kitchen(롸버트치킨)はニューヨークに、自動調理ロボットの Shin Starr Presents(신스타프리젠츠)はシリコンバレーにそれぞれチキン店と韓食レストランのオープンを予告している。また、ロボットでピザを作る Go Pizza(고피자)はシンガポールやインドなど7カ国に進出している。

投資家が注目する市場だが、成功が保証されているわけではない。ソフトバンクから投資を受け、一時5億米ドルの企業価値があったピザスタートアップの Zume(줌)は倒産した。同社はフードトラックのコンセプトでピザの生産と配達の自動化を推進したが、ビジネスモデルの失敗で閉鎖に追い込まれた。ロボットが人力を置き換えるのは難しく、補完的に活用されるとの意見も多くある。しかし、コロナ禍で一時的に起きた人手不足がエンデミック(感染状況の落ち着き)後も解消されないため、サービスロボットの需要はさらに増加すると予想される。

韓国政府は今年、人手を代替する先端ロボット産業の育成のために2030年まで3兆ウォン(約3,300億円)を投資する計画を明らかにし、ロボット産業の育成に向けた青写真を発表したため、市場は成長を維持すると見られている。

【via StartupRecipe】 @startuprecipe2

【原文】

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