韓国版メルカリ「ポンゲ・ジャント(雷市場)」が評価額570億円、ゲーム開発のSHIFT UPが上場——韓国スタートアップシーン週間振り返り(7月8~14日)

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Image credit: ポンゲ・ジャント(번개장터)

7月8日~7月14日に公開された韓国スタートアップの調達のうち、調達金額を開示したのは16件で、資金総額は1,622億ウォン(約185億円)に達した。

企業名 産業分野 調達額 ラウンド 投資家
JLT
(제이엘티)
工場自動化設備 51億ウォン(約5.9億円) シリーズA Stone Bridge Ventures、韓国信用保証基金、Alumni Partners
LTIS
(엘티아이에스)
流体映像細胞計数機 非公開 シード ソウル大学技術持株
Casting N
(캐스팅엔)
B2Bスタートアップ 52億ウォン(約6億円) シリーズB Magna Investment、PKSHA Capital、HGI Initiative、Pathfinder H、Smilegate Investment、TT Venture Investment、Envisioning Partners
Tooning
(툰잉)
ウェブトゥーンローカライゼーションサービス 13億ウォン(約1.5億円) Capstone Partners
Lemontree
(레몬트리)
お小遣い管理サービス 23億ウォン(約2.6億円) プレシリーズA Kakao Investment、MMS Ventures
Innohas
(이노하스)
代替肉 非公開 シリーズA-3 VinaCapital Ventures
Poen
(포엔)
EV廃電池再生 390億ウォン(約45億円) シリーズB DSC Investment·Schmidt、現代自動車証券、SJ Investment Partners、L&S Venture Capital、K2 Investment Partners、E&Venture Partners、KDB韓国産業銀行、新韓ベンチャー投資、SV Investment、KDB Capital、現代海上火災保険、Lotte Rental (Lotte Ventures)
Weavel
(위블)
データ分析プラットフォーム 非公開 シード Crew Capital、Y Combinator
Neweye
(뉴아이)
資産関連税ソリューション 3億ウォン(約3,500万円) シード Series Ventures
This Is
(디스이즈)
明太子ブランド 10億ウォン(約1.1億円) プレシリーズA 中小ベンチャー企業振興公団
Global Technologies
(글로벌테크놀로지)
半導体ファブレス 130億ウォン(約15億円) シリーズA Hana Ventures、Cape投資証券、Now IB Capital、興国証券、新韓キャピタル、DS Investment Partners、NH農業銀行、NBH Capital
Milepost
(마일포스트)
麻の種子を食用化 5億ウォン(約5,800万円) シード BHI Investment
Ziovision
(지오비전)
ビジネスインテリジェンス 非公開 助成金 スケールアップTIPS
ReFeed
(리피드)
廃食用油データソリューション 非公開 助成金 TIPS
21世紀電波商
(21세기전파상)
電子機器リコーマスプラットフォーム 非公開 ブリッジ POSTECH Holdings
Albus
(알버스)
ハイパーカジュアルゲーム開発 5億ウォン(約5800万円) シード Kakao Ventures
Snaptag
(스냅태그)
非可視性透かし技術 非公開 シリーズB Kiwoom Investment、Kakao Investment、Stonebridge Ventures
Rowain
(로웨인)
ロボット垂直農場システム 非公開 シードブリッジ CNT Tech
LN Robotics
(엘엔로보틱스)
医療ロボット 200億ウォン(約23億円) シリーズB LB Investment、KDB Korea Development Bank、KB Investment、Mirae Asset Venture Investment、Stick Ventures
Mandro
(만드로)
ロボット義手 15億ウォン(約1.7億円) プレシリーズA Doosan Investment、BA Partners、Capstone Partners、Meliora Partners
Barabio
(바라바이오)
慢性代謝疾患管理 非公開 M&A HLB Group
ポンゲ・ジャント
(번개장터、略してポンジャン、英語名は Quicket)
中古取引 400億ウォン(約46億円) シリーズE ハナ代替投資資産運用
Floatic
(플로틱)
物流ロボット 非公開 プレシリーズA ブリッジ ヒョンデ自動車グループ「ZERO ONE」
Time Percent
(타임퍼센트)
デジタル資産自動投資サービス 非公開 助成金 TIPS(政府スタートアップ支援事業)
Bibl
(비블)
AI 仮想スタジオプラットフォーム 65億ウォン(約7.5億円) シード Basis Set Ventures、Pica Ventures
Shift Up
(시프트업)
ゲーム 非公開 IPO KOSPI
Orange Square
(오렌지스퀘어)
外国人向け外貨両替サービス 非公開 JYP Entertainment
Lenged
(렌지드)
バーチャルアバター 非公開 シード The Ventures
Dadadoc Healthcare
(다다닥헬스케어)
小児科遠隔診療 非公開 助成金 TIPS(政府スタートアップ支援事業)
Noct Research
(녹트리서치)
睡眠健康サプリメント 非公開 Delight Room
BioPOA
(바이오포아)
バイオ 非公開 プレIPO Meta Investment、L&S Venture Capital
Omotion
(오모션)
バーチャルヒューマン 非公開 プレシリーズAブリッジ The Invention Lab
G2GBio
(지투지바이오)
薬効持続プラットフォーム 50億ウォン(約5.8億円) プレIPOブリッジ
Black Anchor
(블랙앵커)
ゲーム開発 10億ウォン(約1.2億円) Webzen
Cloocus
(클루커스)
クラウド管理サービス 200億ウォン(約23億円) シリーズB StoneBridge、Helios PE
The EN
(더이엔)
グリーン水素 非公開 助成金 ディープテックTIPS
sPresto
(에스프레스토)
情報保護新技術開発 非公開 助成金 ディープテックTIPS
Awesomenics
(아썸닉스)
半導体部品 非公開 助成金 ディープテックTIPS

スタートアップ投資

  • ポンゲ・ジャント(번개장터、略してポンジャン、英語名は Quicket)が400億ウォン(約46億円)を調達し、時価総額は5,000億ウォン(約570億円)に達した。便利なサービスやユーザ層の拡大などで成長可能性を認められた。昨年のプラットフォームベースの売上は前年比50%上昇。今年初めて黒字転換することが期待される。
  • 電気自動車廃電池再製造の Poen(포엔)が390億ウォン(約45億円)を調達し、累積調達額は467億ウォン(約53億円)に達した。廃電池中の再利用可能な電池を選別する技術を開発しており、今回調達した資金で、バッテリモジュールパックの開発と商用化などサービスの高度化を推進する。
  • LN Robotics(엘엔로보틱스)が200億ウォン(約23億円)を調達した。昨年、冠動脈バイパス手術ロボット、食品医薬品安全処(アメリカの FDA や日本の PMDA に相当)の製造認証、手術ロボット分野保健新技術認証を取得した。今後3年以内にアメリカ、日本、ヨーロッパの許可を獲得し、市場進出を通じてグローバル血管医療ロボット企業に成長することが期待される。
  • クラウドコンサルティング/マネジメント企業 Cloocus(클루커스)が200億ウォン(約23億円)を調達した。最新の生成 AI プラットフォーム構築需要に対応するため、GenAI 専任チームを新設。Krafton、Pearl Abyss、Net Marble、Samsung Engineering、サムスン物産など、500社を顧客に獲得している。

トレンド

初期からグローバル VC から資金調達するスタートアップの特徴4つ

最近、国内スタートアップエコシステムで注目すべきトレンドが現れている。それは、設立初期からグローバル VC から投資を誘致する企業が増えているという点だ。過去には国内市場で圧倒的なシェアを確保した成長段階のスタートアップが主に海外有名 VC から投資を受けていた。

また、初期にグローバル投資を受ける場合でも、主に国内に常駐する海外 VC や韓国人 VC からの投資に限られていた。しかし最近は、現地の有名 VC から投資を受ける初期段階のスタートアップが注目されている。このようなスタートアップに見られるいくつかの明確な特徴を挙げてみた。

  1. グローバル市場を狙ったポジショニング …… 過去には国内市場で成功を収めてから海外に進出するのが一般的だった。しかし、最近のスタートアップは、最初からグローバル市場を狙い、現地企業として成長するための戦略を初期段階から立てている。
  2. シリコンバレーを中心とした事業基盤 …… グローバルを狙うほど、シリコンバレーを中心に事業を展開している。これは、グローバル投資家からの関心を得ることはもちろん、世界レベルの技術とアイデアに触れることができるという点で有利だ。
  3. 海外有名大学出身の共同創業者 …… グローバルVC投資を受けるスタートアップの創業者は、主に国内外の名門大学出身者を含む。国内外の有名大学出身の人材が主導しており、分野の専門性を持つ2人以上の共同創業者がいることも特徴だ。
  4. ドメイン専門性とスタートアップ経験 …… 創業者は各分野で十分な経験と専門性を有しており、以前のスタートアップでの経験に基づいて新たな挑戦をしている。そのため、投資家から信頼を得ている。

このような特徴を持って最近グローバル投資を誘致したのは、Endo Health(엔도헬스)、Weavel(위블)Paywatch(페이워치)Twelve Labs(트웰브랩스)などがある。これらはそれぞれシリコンバレーの有名 VC の a16z、Y Combinator、Index Ventures、NVIDIA などから初期投資を誘致し、グローバル市場で成長中だ。このようなトレンドは、投資市場が鈍い状況でも韓国のスタートアップエコシステムがよりグローバル化されていることを示す兆候であり、エコシステムの質的成長がなされているという点で肯定的だ。

<主なスタートアップの特徴>

  • Endo Health(엔도헬스)…… AIベースのオーダーメード型デジタルヘルスケアソリューションを提供。シリコンバレーを拠点とし、医師出身の創業者と多様なスタートアップ経験を持つ共同創業者で構成。a16z や 23andMe 代表から資金調達した。
  • Weavel(위블)…… LLM ベースのプロダクトに特化したデータ分析プラットフォーム。Y Combinator 2024冬期バッチに選出。ソウル大学と UC バークレー出身の共同創業者たちで構成。
  • Paywatch(페이워치) …… 給与前払いプラットフォーム。銀行役員出身の財務専門家が設立。シードからシリーズ A までThird Prime、ヴァンダービルト大学などグローバル投資会社から資金調達した。フィリピン、マレーシアなど東南アジア市場に初期進出して運営している。
  • Twelve Labs(트웰브랩스)…… マルチモーダル AI 企業。Index Ventures、NVIDIA から投資誘致。シリコンバレーを拠点とし、UC バークレー出身の代表と AI 専門家の共同創業者たちで構成。

【via StartupRecipe】 @startuprecipe2

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