「RED(小紅書)」が評価額170億米ドル、中国のAIモデルは4年間で5〜10個に集約か——中国スタートアップシーン週間振り返り(7月8~14日)

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Image credit: RED(Xiaohongshu=小紅書)

本稿は、Technode(動点科技)が、7月8日~7月14日に配信した「News Feed」記事の中から主要ニュースを翻訳したものです。

欧米での EV 追加関税にもかかわらず、世界を支配つつある中国自動車メーカー(7月12日)

AlixPartners は11日にレポートを発表し、欧米が電気自動車に追加関税を課しているにもかかわらず、中国の自動車メーカーはやがて世界的に支配的な存在になるだろうと述べ、中国の自動車メーカーが2030年までに世界市場の30%以上を占める勢いであることを強調した。

ヨーロッパにおける中国ブランドの市場シェアは、1年前に予想された2030年までに15%に達する可能性は低く、代わりに6%から12%に倍増するが、他の地域ではより強力な成長が予想される。中国ブランドは、10年後までに東南アジアとラテンアメリカでそれぞれ31%と28%の市場シェアを獲得する可能性がある。

多くの中国自動車大手はここ数カ月、EU 以外の海外市場に軸足を移し、例えば東南アジアや中東では規制障壁が少ないという利点を活かしている。Geely(吉利汽車)の子会社 Zeekr(極氪)は、ヨーロッパに対する「非常に大きな野心」を維持しながらも、今年末までに世界市場を25から50以上に拡大する計画であると、幹部は先月投資家たちに語った。GWM(長城汽車)はドイツのミュンヘンにあるヨーロッパ本部を閉鎖するが、同地域に工場を設立する計画はまだあるという。動点科技

「RED(Xiaohongshu=小紅書)」、元 Facebook 投資家の DST Global から資金調達(7月12日)

中国のソーシャルプラットフォームで、若い世代に好まれるリアルタイム検索エンジンとして注目されつつある「RED(Xiaohongshu=小紅書)」は、ベンチャーキャピタルの DST Global から、現在および新規の投資家に対する既存株の売却で資金注入を受けた。Financial Times が11日に最初に報じたところによると、この取引による RED の評価額は170億米ドル。

Hongshan(旧Sequoia China=紅杉資本)、Hillhouse(高瓴資本)、Boyu(博裕資本)、Citic Capital(中信資本)など、すでに同社に出資していた投資家も新たな資金調達ラウンドに参加した。e コマースと広告事業の成長に後押しされ、RED は昨年、売上高は37億米ドル、純利益は5億米ドルに達したと報じられている。Financial Times

Kuaishou(快手)の動画生成 AI「Kling(可霊)」、短編動画生成機能を導入(7月9日)

TikTok の兄弟会社である Douyin(抖音)の主要な競合の一つである Kuaishou(快手)は先週、上海で開催された世界 AI 知能会議(WAIC)で、同社のテキストから動画への変換 AI モデル「Kling(可霊)」のいくつかの新機能を披露した。

WAIC では、現在招待者のみ利用可能な「Sora」のようなツールを体験するために来場者が列を作った。ユーザは、「サーモンを食べるパンダ」や「手でメガネをかけるモナリザ」など、簡単なプロンプトを送信して動画を生成し、生成されたクリップは、入力されたものをほぼ完璧にレンダリングするクリング AI の能力を実証した。

AI が生成した動画はその後、中国のインターネット上に溢れかえり、Kling は歴史的な映画の登場人物が現代の仕事をこなすクリップを作成し、複数のミームを生み出した。

王宮ドラマ「My Fair Princess(還珠格格)」の登場人物で、中国で有名なネットミームとなった Rong Momo(容嬷嬷)が、Zeiwei(紫薇)にチキンのドラムスティックを食べさせている動画が、最近ソーシャルプラットフォームで流行している。AIが作成したこの動画は、Rong Momo が Zeiwei を針で何度も刺して拷問する、ドラマの最も有名なシーンに基づいている。

Kuaishou は、言語モデルの「KwaiYii(快意)」、画像中心の「Kolors(可図)」、動画中心の Kling など、自社開発の大規模モデル群が、ByteDance(字節跳動)の Douyin と TikTok への挑戦を続ける同社に優位性をもたらすことを期待している。

詳細 先週末の WAIC で Kuaishou 上級副社長の Gai Kun 氏が明らかにしたところによると、50万人以上のユーザが Kling のベータテストに応募しており、現時点で生成された動画の数は700万本に達している。Sora の競合である Kling の宣伝は、Kling の AI トライアルに応募する方法を教える英語の投稿が、中国国外のユーザ間にも X(以前の Twitter)で見られるほどである。

中国第2位の短編動画会社 Kuaishou は、2023年に AI 戦略を開始した。CEO Cheng Yixiao(程一笑)氏によると、生成 AI はコンテンツプラットフォームにとって「非常に豊富なビジネスシナリオの組み合わせと巨大な価値の可能性」を持っているという。動点科技

世界の AI モデル競争は無駄の懸念、中国は2028年までに5つの基盤 AI モデル構築が目標(7月8日)

7月6日、上海万博センターで開催された世界 AI 会議(WAIC)内の「RISC-V と生成 AI フォーラム」で、VeriSilicon(芯原微電子)社長の Wayne Dai(戴偉民)氏が「AIGC チップのチャンスと課題」と題した講演とプレゼンテーションを行った。

現在、世界中で数多くの企業が独自の AI 大規模モデルを開発しており、中国市場だけでも100以上のモデルが存在する。市場における「AI モデル戦争」は、混沌とした競争であり、電力の無駄遣いのように見える。2028年までに、中国が持つ基礎的な大規模モデルは10に満たず、理想的にはわずか5モデルになるだろう。

講演によると、現在の生成 AI 技術に基づき、人間の脳と同等またはそれを上回る知能を実現するには、モデルパラメータの規模を継続的に拡大する必要があり、この傾向は計算能力を指数関数的に増大させる必要があるという。芯智訊

【via TechNode】 @technodechina

【原文】

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