家庭料理テイクアウトサービス「マチルダ」、CTO・COOを迎え経営体制強化——年内30ステーション展開目指す

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左から:CCO 福沢悠月氏、COO 成瀬大夢氏、CTO 外山要作氏、CEO 丸山由佳氏
Image credit: Matilda

家庭料理テイクアウトサービスを運営するマチルダは、CTO に外山要作氏、COO に成瀬大夢氏が新たに参画したと発表した。外山氏は DeNA(東証:2432)での新規事業開発経験を、成瀬氏は UPSIDER でのカード事業統括経験を持つ。二人は共に、共同創業者で CCO の福沢悠月氏と同じ DeNA の出身でもある。

マチルダは「子どもが無邪気でいられる社会を創る」をミッションに掲げ、2021年5月から順次、都内や東京近郊の高層マンションエリアなどで中食サービスの営業を始めた。注文・決済はオンラインで完結し、近所のテイクアウトステーションで日替わりの家庭料理を受け取ることができる。現在、2つのセントラルキッチンを有し、東京都内14箇所のステーションで1日6,000食の提供能力を有する。

マチルダは2021年1月に創業し、現在4年目を迎えている。昨年のシリーズ A ラウンドを経て、本格的な事業拡大フェーズに突入した。外山氏と成瀬氏の参画により、同社の成長戦略がより明確になり、急速な拡大に向けた体制が整った形だ。新体制のもと、同社はさらなる事業拡大と新サービス展開を目指す。

新経営陣の参画と事業拡大

今年からが事業拡大の時期。成長スピードを上げていくフェーズに入った。(丸山氏)

同社は創業から2年半で9つのステーションを展開していたが、現在は14カ所まで増加。年末までに30カ所程度まで拡大する野心的な計画を掲げている。この急速な拡大のペースアップは、マチルダのサービスに対する需要の高まりを反映しており、子育て世帯の食事に関する課題解決への期待が高まっていることを示している。

COO に就任した成瀬氏は、組織デザインとオペレーションの変革を担当する。彼の役割は、急速な成長に伴う組織の拡大と、それに伴う業務プロセスの最適化が中心となる。成瀬氏は現場の声を重視しており、経営陣と現場のコミュニケーションを重視する姿勢を示した。

現場の皆さんとの対話を通じて、みんなの意見をちゃんと吸い上げた上で、進め方を考えていきます。トップダウンではなく、現場の声を反映した経営判断を行っていきたいと思います。(成瀬氏)

マチルダで提供される家庭料理(Instagramより)

技術面では、CTO に就任した外山氏がアプリケーションの改善に取り組む。外山氏は今回経営陣として参画する前から、業務委託の形でアプリケーションの開発に携わってきた。マチルダは現在、LINE を使用した注文システムと、ステーションのアプリの2つの仕組みを運用しているが、これら両方の強化を目指すという。

派手な(ユーザ)体験よりは、いかにスムーズに使えるかというところに注力していきたい。また、マチルダでは献立データベースを全て自社で開発しているので、いかに調理をもっとシステム化していくかというところにも力を入れていきたい。(外山氏)

こうしたアプリケーションの改善は、ユーザ体験の向上だけでなく、オペレーションの効率化にも寄与することが期待される。外山氏は今後、AI 技術などを活用した調理プロセスの最適化にも取り組む姿勢を示した。

テクノロジー×人

マチルダは、単なる家庭料理テイクアウトサービスにとどまらない。同社では、単に料理を提供するだけでなく、食を通じた子供の教育や成長支援といった、より広範な社会的価値の創出にもつなげようとしている。その一環として、最近では野菜生産者の村上農園と協力。子供たちが豆苗を育てる体験ができるコンテンツを提供するなど、食育にも力を入れている。

これからのマチルダは事業拡大をしていくとともに、単なる食のサービスではなく、コンテンツを提供していきます。そのコンテンツの一つが食という考え方です。子供たちが社会とつながれる、社会を知って毎日が楽しくなる、そこが私たちの思いの原点です。(丸山氏)

食育のアプローチは、子供たちに食の大切さや農業への理解を深めてもらうだけでなく、家族のコミュニケーションを促進する効果も期待できるだろう。とりわけテクノロジーが重視されるスタートアップ業界において、マチルダの成長戦略は、テクノロジーと人の力の融合にある、と丸山氏は言う。

マチルダは人の力が絶対的に必要なビジネスモデル。テクノロジーのみでなく、テクノロジー×人の力が必要なビジネス構造になっています。そのため、人材の力を最大限に引き出せる経営陣の構築が不可欠だったので、今回、外山と成瀬に参画してもらったわけです。(丸山氏)

現在、マチルダのサービスは主に首都圏で展開されているが、今回の経営体制強化を受けて、「できるだけたくさんの子育て家庭、子供たちに毎日が楽しくなるような夜ご飯の体験を届けたい」と、さらなる提供エリア拡大に意欲を示した。

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