アメリカのコロラド州ボールダーに本拠を置く世界的プレシードアクセラレータの Techstars が今夏東京に進出することは昨年末に既報の通りだが、そのキックオフイベントが都内で開催された。これは、日本貿易振興機構(JETRO)、内閣府、経済産業省、東京都との協力により実現するものだ。Techstars が世界36都市で展開するプログラムのうち、東京はアジア唯一の実施となる。
第1期には最大で12社が採択される。採択されたスタートアップには、Techstars が組成するファンドから1社あたり12万米ドルが出資される。このファンドには三井不動産(東証:8801)が出資し、プログラムでは三井不動産が所有する東京ミッドタウン八重洲内の「イノベーションフィールド八重洲」を会場として利用する。
イベントでは各関係機関を代表して、Maëlle Gavet 氏(Techstars CEO)、宮坂学氏(東京都副知事)、仲條 一哉氏(JETRO=日本貿易振興機構 理事)、樽谷範哉氏(JETRO イノベーション課課長)、小玉丈氏(三井不動産 ベンチャー共創事業部 共創業務グループ グループ長)が登壇した。また、Techstars Tokyo のマネージングディレクターには、 デジタルマーケティングシステムを開発する buuteeq を共同創業し2010年に Booking.com に売却した経験を持つ Adam Brownstein 氏が就任したことが明らかにされた。
Techstars Tokyo は、日本のスタートアップをグローバルに展開させるだけでなく、外国人起業家による日本での起業を促進し、グローバルなスタートアップエコシステムの構築に貢献することを目指している。JETRO は、Techstars 以外にも、Alchemist Accelerator と協業して「AlchemistX」というプログラムを展開している。
海外アクセラレータの国内展開事例としては、東京に加え福岡への進出が明らかになった CIC のほか、東京・京都・大阪で展開する Plug and Play、「Accelerate Aichi」を愛知県で展開する 500 Global、「Startupbootcamp」を大阪で展開する Rainmaking などがある。他のアクセラレータとの違いを尋ねられると、Brownstein 氏は Techstars には方法論が用意されていて、採択チームは3年以内に4社に3社が次の資金調達に成功している点を強調した。
パネルディスカッションで、JETRO の樽谷氏は第1期の申込締切まで約40日を残した現在、申し込み開始からの2ヶ月で申込数が300件を超えたことを明らかにした。Techstars 本家では申込数に対して採択されるスタートアップの割合は1〜2%程度。一方、Techstars Tokyo では最大で12社が採択されることになっており、申込数から現時点で4%程度と推測できる。今後申込が増え、採択率は本家に近いものとなるだろう。
また、イベントには、海外でも積極的に活動するスタートアップを代表し、OPN Holdings の CEO 長谷川潤氏と Autify の CEO 近澤良氏がパネルディスカッションに登壇した。長谷川氏は自らアクセラレータに参加した経験はないものの、創業直後のスタートアップが成長する上で時間を節約できるタイムスリップできるツールとして有用だと強調、また、Alchemist Accelerator に採択されたことのある近澤氏はデモデイを通じての露出向上のメリットが大きいと強調した。
Techstars Tokyo 第1期の申込は3月27日までで、プログラムは5月27日から開始され、10月3日にデモデイが開催される予定だ。
Members
BRIDGEの会員制度「Members」に登録いただくと無料で会員限定の記事が毎月10本までお読みいただけます。また、有料の「Members Plus」の方は記事が全て読めるほか、BRIDGE HOT 100などのコンテンツや会員限定のオンラインイベントにご参加いただけます。無料で登録する