東急アライアンスプラットフォームが2021年度のデモデイを開催、スタートアップ9チームが共創事業を提案ピッチ

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東急(東証:9005)は22日、都内で同社のスタートアップ共創プログラム「東急アライアンスプラットフォーム(TAP)」2021年度の最終審査会を開催し、東急グループとの事業共創検討に至った9社が登壇した。なお、今回は新型コロナウイルス対策のため無観客開催、審査員は遠隔での参加となった。

6年目を迎えた TAP は、東急グループのリソースを活用し、スタートアップにテストマーケティングの機会を提供するのが特徴。2018年度からは締切を設けない通年募集、適宜共創を検討するという体制となった。2020年度からは、東急グループとの事業共創を前提とせず、東急グループにとっての全くの新領域も採択の対象となった。グループ傘下27事業者(19社)17領域が参加している。

2021年には、東急アクセラレートプログラムから東急アライアンスプラットフォームにリブランドした

2021年度はスタートアップ115社からエントリがあり、うち35社がプレゼン審査を通過、最終的に8社が共創検討対象(今回の登壇者)に残った。第1期からの通算での応募累計906社、うち PoC を実施した件数は累計105件、事業化や本格導入が32件、事業提携や資本提携を結んだのは8件に達した。

最終審査会では、新規性、親和性、成長性、実現可能性の4つの観点で審査された。今回の最終審査会で審査員を務めたのは以下の方々だ。

  • グローバル IoT テクノロジーベンチャーズ 代表取締役社長 安達俊久氏(外部審査員)
  • SBI インベストメント CVC 事業部長 加藤由紀子氏(外部審査員)
  • Spiral Capital シニアアソシエイト 立石美帆氏(外部審査員)
  • 東急 代表取締役社長 髙橋和夫氏(審査員長、社内審査員)
  • 東急 執行役員 フューチャー・デザイン・ラボ管掌 東浦亮典氏(社内審査員)

【東急賞(最優秀賞)】パンフォーユー × 東急電鉄 & 東急グルメフロント & 東急レクリエーション & 東急リゾーツ&ステイ

賞金:109万円

パンフォーユーは、パン屋と消費者をつなぐプラットフォームを運営。現在、全国の約100店舗のパン屋が参加している。冷凍技術とサブスクでパン屋の商圏を拡大し、パンのフードロスを削減できるのもメリットだ。昨年には全国パン共通券をローンチした

東急電鉄とは昨年5月、環境配慮型サブスクサービス「TuyTuy」でクーポン配布し、賞味期限が残っていながら売れ残ったパンの再販可能性の模索、東急レクリエーションとは、映画「ソードアート・オンライン」とのコラボオリジナルパンの販売、シネマズ川崎での全国のパン販売などを展開した。

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【渋谷賞(優秀賞)】ウゴトル × 東急スポーツシステム

賞金:42万8,000円

ウゴトルは、ダンスやスポーツなど、身体の動きやフォームの改善などを支援するアプリを開発している。元々は自己トレーニングを支援するアプリとして開発されたウゴトルだが、今回は、スイミングスクールのレッスンの現場に取り入れることにチャレンジした。東急スポーツシステムではスイミングスクールを運営している。

スクールでは対面・口頭での指導が中心で、講師も記憶に頼った属人的な指摘が中心だった。ウゴトルを使えば、講師は撮影された動画に容易に動きの改善点を添削・指摘することができ、生徒はそれを自分のスマホで確認できる。2021年のあざみ野校での実証実験を経て、今後、他ユーザ層・他校・他スポーツへの拡大を図る。

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【二子玉川賞(優秀賞)】エヴィクサー × 東急レクリエーション

賞金:25万円

エヴィクサーは、音を足がかりにしたテックスタートアップで字幕メガネを開発している。音に同期する形でスマートグラスに字幕を表示することができ、外国語映画の日本語字幕表示、聴覚障害者への字幕表示など可能だ。昨年は80作品に対応した。映画館にとっては字幕表示させるための特別な設備やオペレーションが不要だ。

昨年11月、東急レクリエーションが運営する全国の映画館「109 CINEMAS」に字幕メガネを導入した。日本語映画を外国語話者に見てもらうためのインバウンドメガネ、観劇版の字幕メガネ、映画の音を使った NFT の配信、映画の鑑賞証明見たサービスなども開発中。誰とでもエンタメを楽しめるようにするインフラ作りを目指す。

【オーディエンス賞】【SOIL 賞】ロスゼロ × 東急 沿線開発事業部 & 東急百貨店

賞金:20万円+10万円

フードロス問題を解決するために、賞味期限や消費期限が迫った商品を別の販売チャネルで安く販売する方法は以前から存在する。ただ、こういった方法が今ひとつ普及しないのは、生産者やメーカーが、安く商品が提供されることによるブランド毀損を嫌うためだ。ロスゼロは、ロスになった理由を消費者に明確に伝えることで、ブランドを毀損させずにロスフードを販売する。

ロスゼロではロスフードに加えて、2020年10月からはアップサイクル D2C という、ロスになる前の食品を加工することで付加価値を増した商品の開発にも取り組んでいる。2021年11月からは、いつ出るかわからないロスフードを詰め合わせにし、福袋の要素を取り入れて突然届ける「ロスゼロ定期便」を開始した。東急とは、2月に大井町のコミュニティカフェ「PARK COFFEE」と協業、5月に東急百貨店のと外商イベントで協業する。

【SOIL 賞】ユカイ工学 × 東急百貨店

賞金:10万円

BOCCO、Qoobo、甘噛みハムハムなど、人に優しいデジタルインタフェースとしてのロボットを開発してきたユカイ工学。次世代コミュニケーションロボット「BOCCO emo」は、コミュニケーションに加え、専用センサー、ヘルスケアデバイスなども BlueTooth 連携、また他社サービスとも API 連携できる。

東急百貨店とは、得意先向けポップアップストアでの販売のほか、本店のイベントサロンにも設置し BOCCO emo を使った非接触接客を実施した。新型コロナ感染拡大や本店店舗の長期閉鎖から外商担当者は接客の機会を減らす中、BOCCO emo を得意先の自宅に置いてもらい、外商担当者のメッセージアプリと繋がるようにした。

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【SOIL 賞】MOVE × 東急モールズデベロップメント

賞金:10万円

MOVE は、D2C ファッションブランドを10ブランド展開するスタートアップだ。潜在顧客に商品を訴求し、それが実際に購買に結びつくかどうか、SNS → 購買 → CRM を一貫して分析できるツールも社内開発した。

同社では今年4月から、東急モールズデベロップメントが香港で運営する 109 STORE の店頭で、自社ブランドに加え、日本の D2C ブランドの進出支援を行う。香港は関税がかからないため、コストを抑えてテストマーケティングができるのがメリットだという。

【SOIL 賞】Type Bee Group × 東急エージェンシー × 東急レクリエーション

賞金:10万円

日本の映画の興行成績上位20作品のうち8割は原作(小説)が元にしているなど、小説はあらゆるメディア形式のエンタメの原作 IP としての価値が高まっている。しかし、スマホで読まれる電子書籍の9割はコミックで、小説は読まれない。Type Bee では、小説をゲーム感覚で読めるゲーム小説「TapNovel」を開発した。

TapNovel 上ではイラスト素材や制作プラットフォームを開放し、絵が描けない小説家でもビジュアルストーリーを描けるようにしたことで、原作からビジュアルを伴う作品が生まれるようになった。東急エージェンシーとは原作 IPの共同開発や育成、東急レクリエーションとは映画館での声優を使った朗読会イベントを展開する。

【SOIL 賞】3rdcompass × 東急百貨店

賞金:10万円

3rdcompass は、D2C による地方名産を届けるプラットフォーム「エドノイチ」を展開している。地方生産者が D2C を展開するにはさまざまな業務が発生するが、商品の魅力を伝えるブログの代行運営、ユーザからの入金確認など、現地でなくてもよい付随業務を代行し業務負担を軽減する。ANA との協業で、商品の空輸も可能だ。

一方、東急百貨店においては、ウィズコロナやアフターコロナで物産展を開催する上での課題がある。出店側にとってはコストの圧迫、来店客にとっては混雑からの不安などだ。両社では今後、ポップストア展開を含む OMO(Online Merges with Offline)での全国物産展を展開し、来春まで PDCA を繰り返し理想型を模索する。

【SOIL 賞】和空プロジェクト × 東急電鉄

賞金:10万円

寺や自社の門前における宿泊施設を運営する和空プロジェクトは、全国にコンビニの2.7倍以上の数がありながら、日常生活において身近になっていない社寺のサードプレイス化を図ろうとするスタートアップだ。東急電鉄と4月から、コロナ禍で利用者数が減っている鉄道において、御朱印スタンプラリーを展開する予定。

このプロジェクトには東急線沿線の51の社寺が参加する予定で、オリジナルデザインのワンデーパスと朱印帳を東急線の18駅の窓口で発売予定。また、花を活用した付加価値のある魅力づくりとして、寺社においては、ロスフラワーを使った花手水(はなちょうず)や花の形の特別御朱印を授与する。

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