タグ フラー

街づくりからCaaSへ、サービス開発を通じて組織のDXに取り組む東急とフラーの挑戦

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」に掲載された記事からの転載 課題とチャンスのコーナーでは、毎回、コラボレーションした企業同士のケーススタディをお届けします。 ニュースレターの購読 注目すべき記事、世界のスタートアップシーンの話題、BRIDGE 主催のイベントに関する情報をお届けします! Sign Up 少子高齢化や労働人口減少はさまざまな業界に影響を与えますが…

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」掲載された記事からの転載

課題とチャンスのコーナーでは、毎回、コラボレーションした企業同士のケーススタディをお届けします。

少子高齢化や労働人口減少はさまざまな業界に影響を与えますが、特に移動する人々の利用が売上に直結してきた鉄道会社にとっては悩ましい現実です。東急では長年にわたる事業多角化の努力が功を奏し、2020年3月期で交通事業は全体売上に占める割合は17.4%と低く抑えられています。同社が新規事業開発の一環として、スタートアップとの事業共創に向けた活動に着手したのは、鉄道会社の中でもかなり早かったのは偶然ではないでしょう。

東京の城南・城西エリアから横浜に連なる地域を事業エリアとする東急は、これまでも地元住民らと連携した街づくりに傾倒してきました。それらは現在、CaaS(City as a Service)構想に代表されるデジタルとリアルを融合させた街づくりへと進化し、東急のグループ会社のみならず、スタートアップを巻き込んだ活動へとつながっています。日本の中でも最も住民人口が多いエリアを変化させていくことは、日本の将来像を想起させる〝大きな社会実験〟とも言えます。

今回はスタートアップとの共創を数多く展開する東急と、創業10年目にして国内数カ所に拠点を構える自由な勤務形態を実践するフラーとの取り組みを取り上げます。東急で CaaS 構想を推進する小林乙哉さんと、アプリの開発を通じてこのプロジェクトに関わるフラーの林浩之さんにお話を伺いました。

街づくりから CaaS へ——時代に応じたサービスの変化

鉄道会社各社は創業当初から、地方自治体や地域住民らと深く連携して街づくりに関与してきました。東急にとって、渋沢栄一氏が創業した田園都市株式会社が東急のルーツの一つであり、鉄道事業よりも先に街づくり事業が存在したことは興味深い事実です、田園調布や田園都市など、世界的にも評価の高い街づくりに東急が傾倒してきたのは、そんな渋沢氏や創業者の五島慶太氏の遺志が深く DNA として刻まれているからなのでしょう。

東急アクセラレートプログラム2020デモデーの様子(写真提供:BRIDGE)

従来からの街づくりに代えて、東急が CaaS に取り組み始めた背景について、小林氏は次のように説明します。

これまでの街づくりは、行政や、東急含む大企業など一部の組織が担ってきましたが、今後の人口減少社会においては行政や企業のできることは限られてきています。街の個性を生かして、街をより良くして持続可能な状態にするには、地域の住民や事業者の方々の主体的な取り組みが重要になってきます。(東急 小林さん)

田園都市株式会社の設立から101年目を迎えた2019年9月2日、東急は東京急行電鉄から社名を変更。この際に発表した長期経営構想の中で、2050年に向けたプランとして「東急ならではの社会価値提供による世界があこがれる街づくりの実現」を掲げており、その実現の肝となるのがオープンイノベーションであり、具体的な構想の一つとして打ち出されたのが CaaS です。この構想では認証、決済、センシングなどの技術を基盤に、得られたフィードバックを社会課題解決や都市政策に反映することを目指します。

CaaS では、地域の住民や事業者の方々に活動の主体となって頂きたいのですが、現状はまだ、そうした方々に街づくりへ関与してもらうための仕組みが社会的に整備されていません。その足掛かりとして取り組むことになったのが、フラーさんと共同で開発しているアプリ「common(コモン)」です。

common は、駅を基点とした特定の地域内の人たち同士のコミュニケーションを支援します。今年3月にリリースしたばかりですが、当初は地域の人同士で話題交換ができるよう、「投稿」と「質問」という2つの機能を提供します。〝デジタル化された街の掲示板〟と捉えていただければわかりやすいです。住民や事業者の方々が街のことに直接関われるようにすることを目標にしています。(東急 小林さん)

受発注の関係ではなく、デジタルパートナーとしてプロジェクト参加するフラー

「common」サービスイメージ

2011年に創業したフラーは、モバイルアプリやアプリデベロッパ向けのサービスを数多く開発してきました。創業者の出身地である新潟、創業地つくばと東京をつなぐ中間地点にあたる柏の葉の2カ所に本社を構え、従業員は現在100名ほどに上ります。ここ4年ほどは目立った資金調達を発表していなかったフラーですが、今年3月には地方創生事業の支援を念頭に置いた「KDDI Regional Initiatives Fund」から投資を受けました。これまでに培った技術を使って、街のデジタルトランスフォーメーションにも注力します。

東急様が「ビジョンが存在し、どう具現化していくのか」という最上流の段階でフラーにお声がけいただいたのはよかったです。その段階で協業に移れたことで「戦略の立案」から並走することが出来ました。ビジョンのレイヤーから意識を合わせることができ、ともに先々の将来像を目指す体制が構築出来ました。

ハードな街づくりに強い東急ですが、デジタル領域でも生活者を知り、よりよい柔軟な街を提供することが求められています。東急にとって最大の要素は「デジタル人材の不足」、その領域における蓄積されたノウハウや経験が薄いことも課題でした。そこでフラーはデジタル戦略の立案およびサービス設計の出来る人材を中心に開発チームを組成しました。(フラー 林さん)

林氏が「協業」という言葉で説明しているように、東急とフラーの間柄は、この種のアプリ開発にありがちな受発注の関係ではありません。日本で長年続いている従来型の責任分界点を明確化するシステム開発の現場では、発注側が RFP(提案依頼書)を書き、それに基づいて、受注側が実装方法を提案し、発注側に RFP を書ける人がいなければ、コンサルファームが発注側に入って支援することもしばしばです。ただ、今回のような CaaS のケースでは、何に取り組むかを一から共に考える必要があリました。

小林氏によれば、東急は CaaS に関わるデジタル人材のチームの内製化を目標に掲げています。このことは契約前段階でフラーにも伝えられていて、今回のプロジェクトでは、フラーは東急から受託開発する立場ではなく準委任契約とすることで、フラーの開発チームが東急の内製組織同様にワークできるようにしました。一般的な IT 企業では考えにくいことですが、フラーの開発陣が持つスキルやノウハウは次第に東急社員にトランスファーされ、東急はアプリの開発などを通じて、組織としてデジタルトランスフォーメーション(DX)を目指すことができます。

従来の受発注関係でなく、IT ベンチャーが大企業の人材の一部機能を担う存在となって、中から組織を DX していくやり方は、提供するサービスに加えて自らも変革を加速できるという点において、一石二鳥と言えるでしょう。アプリ common もまた、開発・リリースして終わりではなく、東急とフラーの混成デジタルチームの成長に応じてアップデートされていくので、ユーザもその変化を楽しみにすることができます。

編集部では引き続き共創の取り組みをお伝えしていきます。

ナイルとフラーが提携、アプリ発見サービス「Appliv」とアプリ分析プラットフォーム「App Ape」でデータ連携を開始

SHARE:

4月13日14時更新:フラーの累積合計調達金額を11.7億円を7.5億円に修正 (2016年7月調達の4.2億円は合計7.5億円に包含されていたため) アプリ発見サービス「Appliv(アプリヴ)」を提供するナイルと、アプリ分析プラットフォーム「App Ape(アップ・エイプ)」を提供するフラー(旧社名 Fuller)は10日、両社のサービスをデータ連携することを明らかにした。具体的には、App …

4月13日14時更新:フラーの累積合計調達金額を11.7億円を7.5億円に修正
(2016年7月調達の4.2億円は合計7.5億円に包含されていたため)

アプリ発見サービス「Appliv(アプリヴ)」を提供するナイルと、アプリ分析プラットフォーム「App Ape(アップ・エイプ)」を提供するフラー(旧社名 Fuller)は10日、両社のサービスをデータ連携することを明らかにした。具体的には、App Ape の持つユーザデータを Appliv のデータに連携することで、Appliv 内アプリランキングに利用者数順ランキング機能などが追加される。

Appliv は2012年8月、ナイル(当時の社名はヴォラーレ)がローンチしたアプリ発見サービスだ。社内ライターによるアプリレビュー記事が7万件以上投稿されており、スマートフォンユーザが新しいアプリに出会うことを促している。現在の月間アクティブユーザ数は600万人。日本のほか、アメリカ、カナダ、オーストラリア、フィリピン、ケニア、アイルランド、インド、シンガポールの各市場のアプリマーケットに対応している。

一方、フラーが運営するモバイルアプリの市場・競合調査プラットフォーム「App Ape」は2013年にサービスを開始し、アプリマーケットのマクロデータやユーザの利用動向データを提供。これまでに3,000社以上に導入されており、昨年には韓国のモバイル専門マーケティング会社 Mobidays(모비데이즈)との提携により、韓国市場に進出した。

ナイルは2013年、日本ベンチャーキャピタルと、クックパッドの元 CFO でエンジェル投資家の成松淳氏から1億7,500万円を調達。2014年には、ユナイテッドと資本業務提携を締結している(調達額非開示)。フラーはこれまでに、複数の投資家から公開されているものだけで総額7.5億円を調達している。

App Ape
Appliv

FULLERの櫻井裕基氏が代表取締役COOに就任し2人体制に、国内外での事業加速へ向けて

SHARE:

社会には、代表取締役が2人いる会社も存在する。柏の葉に拠点を構えるスタートアップFULLERも、初期から関わっている櫻井 裕基氏が代表取締役COOに就任し、2人体制となった。 同社代表取締役CEOの渋谷 修太氏と櫻井氏の関係は、高専時代にまで遡る。同じ高専で同級生だった2人は、当時のことを懐かしそうにいろいろと教えてくれた。 高専を卒業した後、2人は別々の大学に進学し、渋谷氏は経営工学、櫻井氏はデ…

左:FULLER代表取締役COO櫻井裕基氏 右:FULLER代表取締役CEO渋谷修太氏
左:FULLER代表取締役COO櫻井裕基氏
右:FULLER代表取締役CEO渋谷修太氏

社会には、代表取締役が2人いる会社も存在する。柏の葉に拠点を構えるスタートアップFULLERも、初期から関わっている櫻井 裕基氏が代表取締役COOに就任し、2人体制となった

同社代表取締役CEOの渋谷 修太氏と櫻井氏の関係は、高専時代にまで遡る。同じ高専で同級生だった2人は、当時のことを懐かしそうにいろいろと教えてくれた。

高専を卒業した後、2人は別々の大学に進学し、渋谷氏は経営工学、櫻井氏はデザイン工学を学んだ。渋谷氏は、2011年11月15日に3LDKアパートを借りて、FULLERを創業。その後、2012年4月に櫻井氏に声をかけ、現在に至る。

現在、FULLERのスタッフは30名ほど。アルバイトやインターンを含めると40人ほどの規模になっているという。一時期、一軒家をオフィスにしていたスタートアップは、今では柏の葉のイノベーション施設「KOIL」の中でも注目の成長企業となっている。

FULLERは、これまでに「ぼく、スマホ」、「スマホスピタル」などのスマートフォン端末管理アプリや、スマートフォンアプリ分析サービス「App Ape」を開発してきた。「App Ape」は国内でもユーザ数を伸ばし、最近では韓国など海外への進出も始めているという。

代表取締役が2人体制になったことにより、CEO渋谷氏が海外展開を、COO櫻井氏が国内事業基盤と組織体制の強化を担当する。それ以外に、CEO渋谷氏は新規事業の推進する役割を担う。

FULLERは、現在アプリ開発に関わる新サービスを開発中だという。まだオープンにはできないそうだが、開発中の画面を見せてもらったところ、ニーズも高い領域で、ユーザの使い勝手も良さそうだった。こちらは近々リリース予定だそうなので、また改めてお伝えしたい。

アプリ視聴率調査サービス「App Ape」のFULLERが、韓国Mobidaysと提携——韓国・東南アジアに進出へ

SHARE:

韓国の Mobidays(모비데이즈)と日本の FULLER が提携し、韓国国内のモバイル広告市場を攻略する。 韓国のモバイル専門マーケティング会社 Mobidays と、日本のモバイルサービスプロバイダ FULLER は、モバイルアプリ解析サービス「App Ape」の韓国における供給に関して、戦略的パートナーシップを締結したと9日、明らかにした。 ニュースレターの購読 注目すべき記事、世界のスタ…

fuller-620x390

韓国の Mobidays(모비데이즈)と日本の FULLER が提携し、韓国国内のモバイル広告市場を攻略する。

韓国のモバイル専門マーケティング会社 Mobidays と、日本のモバイルサービスプロバイダ FULLER は、モバイルアプリ解析サービス「App Ape」の韓国における供給に関して、戦略的パートナーシップを締結したと9日、明らかにした。

App Ape は FULLER が開発・運営するモバイルアプリ解析ソリューションで、10万人のスマートフォン利用動向に基づいてアプリ市場データを提供する。 App Ape は、日本で技術力と専門性を認められ、LINE、ソフトバンク、NTTドコモ、バンダイ、ミクシィ、無印良品など、さまざまな顧客を獲得している。

今回の提携により、Mobidays は App Ape を韓国国内で供給する。クライアントは、App Ape を通じ、サービスの運営およびマーケティング活動に必要な自社と競合他社の月・日・時間毎のアクティブユーザ数、年齢別利用率、同じ端末に所持しているアプリなど、さまざまな情報を確認することができる。

Mobidays の代表を務めるユ・ボムリョン(유범령)氏は、次のようにコメントしている。

日本で技術力を認められた App Ape の分析サービスを通じて、より効果的かつ効率的なマーケティングキャンペーンを提供していきたい。

FULLER は Mobidays との戦略的パートナーシップを通じ、アジア市場への進出のためのステップを準備し、東南アジア市場進出の準備とさまざまな事業を行う予定である。

FULLER 韓国支社長のキム・ヨンビン(김영빈)氏は、次のようにコメントしている。

モバイル市場でアプリのデータとトレンドの把握は重要だ。正確なモバイルアプリデータを提供するビジネスパートナーとして、データを元にしたアプリ市場の先行獲得と、日本に進出しようとする企業の成功を積極的に支援したい。

<関連記事>

【原文】

【via BeSuccess】 @beSUCCESSdotcom

スマホの使い方を自己管理できるようにーーFULLERとKDDIが子ども向けスマホサポートサービスを共同開発

SHARE:

FULLERと、KDDIが、子どもの安全なスマートフォン利用推進のため、子ども向けスマホサポートサービスを共同開発した。 FULLERは、スマートフォンアプリの利用動向調査分析サービス「App Ape Analytics」をはじめ、スマートフォン関連サービスを開発するスタートアップ。同社が開発しているサービスに、スマートフォン依存症問題の解決を目指したAndroid向け端末管理アプリ「スマホスピタ…

FULLER

FULLERと、KDDIが、子どもの安全なスマートフォン利用推進のため、子ども向けスマホサポートサービスを共同開発した。

FULLERは、スマートフォンアプリの利用動向調査分析サービス「App Ape Analytics」をはじめ、スマートフォン関連サービスを開発するスタートアップ。同社が開発しているサービスに、スマートフォン依存症問題の解決を目指したAndroid向け端末管理アプリ「スマホスピタル」がある。

FULLERとKDDIが共同で開発するのは、このアプリを原型としている。両者が共同で開発した「スマホスピタル for Family」は、子どものスマホ利用の自己管理とルール作りをサポートするアプリ。

同アプリでは、スマホアプリの使い方について親子でルールを設定し、達成度を一緒に確認することができる。ルールを守れた際には子どもにスタンプを送ることができ、子どもに楽しみながらスマホ利用の仕方を自己管理する習慣を身につけさせることを目的としている。

「スマホスピタル for Family」は、KDDIが子どもの安全なスマホ利用推進のために開発した子ども向け端末「miraie」で提供される。同端末には、スマホ利用時間やアプリの制限、電話帳登録の制限、防犯ブザーと連動する位置情報取得、不適切な言葉の入力を警告するあんしん文字入力といった機能を掲載されている。

FULLERによれば、「スマホスピタル for Family」は、子どものスマホ使い過ぎを防ぐため制限をかけるのではなく、親子で一緒にスマホの使い方を考えていくという親子が協力する形の子どものスマホ安全管理サービスだとコメントしている。