VRツールを開発するWorldViz、Intelの出資を受けてアプリ・コンテンツの開発を促進

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Above: WorldViz uses projectors to deliver a "cave-like" virtual-reality experience. Image Credit: WorldViz
上: WorldVizはプロジェクターによって「洞窟のような」VRの経験を実現する。
Image Credit: WorldViz

「バーチャルリアリティの洞窟」を作り出せる技術を持つ企業の背後には、テック業界最大手企業の名前があった。

企業向けにバーチャルリアリティツールを製造しているWorldVizは、Intel Capitalからの初の資金調達ラウンドを終えた。Facebookが20億米ドルでOculus VRを買収したおかげで再度注目されているバーチャルリアリティという分野に、カリフォルニア州サンタバーバラを拠点とするこの会社は新たに資金を投入することができるようになる。

バーチャルな世界に浸ることができるバーチャルリアリティとそのいとこ分である拡張現実(眼鏡を通して動きのあるものを現実の世界にかぶせる技術)は、2020年までに1500億米ドルの市場規模になると、マーケットアドバイザーのDigi-Capitalは予測している。

Intelの投資額は開示されなかった。しかし、Intelによる投資はWorldVizのバーチャルリアリティに対する包括的なアプローチをよく物語っており、私自身、これを直接自分の目で確認した。WorldVizはバーチャルリアリティアプリケーション用ハードウェアとソフトウェアの両方を製造しており、多くのVRギアメーカーと提携している。

WorldVizは企業向けバーチャルリアリティアプリケーション以外にも、ソフトウェアを作るためのツールも製造している。その中には洗練されたバーチャルリアリティ「洞窟」もあり、そこではプロジェクターによって壁にVRの画像が描かれる。ユーザーは、3Dの空間内で様々な動作ができる。手術室内にいるように作業をしたり、建築家のごとく物体を動かすこともできる。ハンドヘルドスキャナによって、そうした3Dの世界に入り込むことが可能だ。

Oculus RiftのVRゴーグルを身につけるWorldVizのアプリケーションも試してみた。リアルなサウンドと映像効果を実現しており、片側が崖になっている板の上を歩くような体験ができる。現実には、カーペットの上を歩いていたのだが、その体験があまりにリアルだったので、バランスを崩しそうになり、断崖絶壁の上に立っているように感じた。こうした洗練されたVR効果によって、通常目にしている光景を超越した体験ができる。

「Intelとの提携を大変嬉しく思っています。資本やIntelのRealSense 3Dカメラのような技術にアクセスできるからです」と、WorldVizのCEOであるAndy Beall氏はVentureBeatとのインタビューの中で述べた。「(Intelは)キャッシュとシリコン以上のものをもたらしてくれます。巨大な顧客ベースのほか、知覚コンピューティンググループとともに多くの研究の機会を提供してくれています。 急速に進歩しているバーチャルリアリティの世界で当社の認知度を高めてくれるでしょう」

WorldVizはさかのぼること2002年に設立された。当時はVRをめぐる初期の熱狂が覚めていた頃だった。関心を持たれない時期をやり過ごした後、今や再びマーケットが熱くなっている。Beall氏は、当時についてWorldVizがVRで多くを学んだ時期だと振り返る。

WorldVizはこれまで、バーチャルリアリティ開発ツールVizardを販売してきた。この特許出願中の技術はいまや、1,500社超のフォーチュン500企業、研究所、政府機関で使用されている。

「当社によるWorldVizへの投資は、バーチャルリアリティの技術を含めてナチュラルコンピューティングの体験を進化させるというIntelの戦略と一致しています」とIntelでクライアントコンピューティンググループのバイスプレジデント兼デスクトップクライアントプラットフォームのゼネラルマネージャーをしているGregory Bryant氏は述べた。

「企業はバーチャルリアリティの潜在性をほんの少ししか活用できていません。WorldVizの技術面、また事業におけるビジョンは、当社のアーキテクチャを基盤する専門分野におけるバーチャルリアリティの活用をより促進するものであることを示しています」

「同社のソフトウェアとIntelのRealSense 3D技術を組み合わせることで、開発者やオリジナルのデバイスメーカーはすばやくバーチャルリアリティのコンテンツを作成することができ、完全に空間に入り込める体験を様々なデバイスで展開することができます」

Above: WorldViz uses handheld sensors for gesture control in VR. Image Credit: WorldViz
上:ハンドヘルドセンサーによって、VR空間内におけるジェスチャーを使ったコントロールが可能になる。
Image Credit: WorldViz

WorldVizは簡単に設定が可能な建築可視化ソリューションも提供する。それを使えば、設計者は仮想空間内で自分の建物の中を歩き、3D空間で現実的な感覚を味わうことができる。Vizardは簡単に習得でき、双方向かつ没入型の3Dコンテンツを構築するのに必要なものはすべて備えているとBeall氏は語った。

WorldVizとIntelは協力して、Intelのコンピューティングフレームワークと統合された科学的・産業的VRサービスを共同開発し、没入型コンテンツの製作をするための専用ツールを必要としていて、急増している開発者向けにVRプラットフォームを提供していく予定だ。

世界最大のチップメーカーの投資部門であるIntel Capitalは、114億米ドルの資金を57ヶ国1,400超の企業に投資してきた。211のポートフォリオ企業は世界中の様々な証券取引所に上場され、366社は買収されたか合併に参画した。2014年、Intel Capitalは125の案件で3億5,900万米ドルを投資した(新規案件は59)。

Beall氏によると、WorldVizは当四半期に、これまで何年にもわたって提供してきたものを再パッケージ化することを目指して製品やサービスをローンチしているという。

「当社は顧客にとってわかりやすい製品を作っており、具体的な選択肢や成長経路を提供しています。ヘッドマウントディスプレイ、ベースケイブシステム、ベースバーチャルコラボレーションツールから始めていただけます」とBeall氏は述べた。

製品・サービス価格のは2,000~15,000米ドルである。

Above: WorldViz uses gesture detection and Oculus Rift goggles to deliver a VR experience. Image Credit: WorldViz
上:WorldVizはジェスチャー認識とOculus Riftのゴーグルを用いて、VR経験を提供する。
Image Credit: WorldViz

【via VentureBeat】 @VentureBeat
【原文】

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