ブロックチェーンで変わる購入レコメンドの仕組みーー非中央集権型コマース「SHOP」が200万ドル調達

by Takashi Fuke Takashi Fuke on 2018.5.15

<ピックアップ : Blockchain Based Ecomm Startup SHOP Announces a $2M Strategic Partnership with Seattle Based Reflective Venture Partners>

2018年5月8日、シアトルに拠点を持つ、ブロックチェーンを使ったEコマースマーケットプレイスを展開するSHOPが、Reflective Venture Partnersから200万ドルのキャビタルコミットメントを取り付けました。今後12か月のマイルストーン達成に応じて、分割方式で資金調達を行う予定です。

SHOPは独自の仮想通貨SHOPトークンを発行。同トークンの利用顧客の購買履歴や個人情報など、様々なデータをブロックチェーンを使って管理します。

APIを通じてSHOPトークンを決済方法として導入したブランド側は、各顧客データへ自由にアクセスすることができます。SHOPの提携店舗で発生した各顧客の購買データへアクセスできるため、データ解析をした上で各顧客に合わせたパーソナライズ商品提案が可能となる、という具合です。

たとえば、SHOPと提携する競合アパレルEコマースサイトで、SHOPトークンを使い買い物をした顧客が自社サイトを訪れた場合、以前購入した競合製品と比較してオリジナリティーや価格訴求力の高い商品を自動で提案する、パーソナライズ化の仕組みを構築することができるでしょう。

一方、SHOPトークン使って買い物をする顧客側は、SHOPと提携している店舗であれば、どこへ行っても自分に合ったレコメンド商品の提案を受けられます。

顧客は自身のデータをどこまで開示するかをオンライン上で選択し、開示度合いに応じてリワードを受け取る仕組みになっており、勝手に自身のデータが管理、共有されることはありません。

Image by Descrier

従来、Amazonのような大手Eコマース企業が顧客データを独占し、レコメンド機能を充実させてきました。こうしたパーソナライズ提案は、顧客側にとっては大きなメリットです。しかしブランド側は、売上データなどの簡略化された顧客データしか共有されない中央集権型プラットフォームの仕組みにうんざりしています。

各ブランドはデータを握っている運営企業か、外部マーケティング企業にお金を支払わない限り、詳細な顧客データを獲得できませんでした。顧客データをプラットフォーム側に握られている限り、自社Eコマースサイト上で顧客ごとにパーソナライズ提案を上手行えなかったのがこれまでの課題感です。

SHOPはこうした小売市場の仕組みを非中央集権型に組み替えた好例といえます。SHOPトークンさえ導入すれば、顧客体験の川上(商品選択)から川下(商品使用体験データの獲得)までのデータを、どのブランドも手軽に獲得、活用できるようになったわけです。

Image by Attribution: Descryptive.co

SHOPのビジネスモデルは、典型的なマーケットプレイス型であり、仮想通貨の流動性を常に向上させることが求められます。

同モデルにおいては、必ず供給側と需要側、どちらの数をまず優先的に増やすのかという鶏と卵の問題が発生します。

ビジネス書では、サプライヤー(供給側)の数を増やすことが定石であるとしばしば指摘されます。つまり、提携ブランド数のボリュームが重要な指標となってくるでしょう。SHOPトークンを使えるEコマース店舗数が増えることで、徐々に利用者数のボリュームも大きくなる具合です。

どんなブランド店舗でも使える汎用性と、どのEコマースサイトへ行ってもパーソナライズ提案をしてくれる利便性の両方を担保されて初めて顧客はSHOPトークンを積極的に使うようになるはずです。

たしかに、こうしたマーケットプレイスの構築は容易ではありません。Amazonが価格差別化戦略を用いて顧客を離さない強固な仕組みを完成させているため、Eコマース市場の切り崩すことは簡単ではないでしょう。しかし、顧客データを自社Eコマースサイトへ活用できないジレンマを抱えているブランド側にとって、SHOPの魅力は大きいと感じます。この点、サプライヤー数を増やす点においての障壁は、あまり高いとは思いません。

最終的に課題となるのは、仮想通貨の概念が市場に浸透できるかの一点に尽きるかと考えられます。

現在、仮想通貨は投機目的で活用される事例がほとんどであり、2C市場での活用事例はほとんど認知されていません。こうした市場理解の障壁を取り払う必要があります。

たとえば仮想通貨を全世界のVISA提携店舗であればどこでも使えるデビットカードを発行するShift Paymentsのように、普段の生活の中でも気軽に仮想通貨を使えるという認識を広める必要があるでしょう。

いずれにせよ、中央集権型の顧客データ管理の仕組みが破壊されるのは時間の問題です。マーケティングデータ市場は右肩上がりで、2018年には180億ドルにまで成長すると見込まれており、同市場の構図が、ブロックチェーンと仮想通貨によって、数年以内に大きく変わることが予想されます。

via PR Web

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