商品選択の必要がない”事前予測時代”をどう生き抜く?ーーUberから垣間見える「事前配車の世界」とは(後編)

by Takashi Fuke Takashi Fuke on 2018.6.26

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前編では「航空券の保険」FLYRが採用する価格固定の方法から事前予測の事例を紹介しました。後編は

価格の事前予測を提供する代表的なプレイヤーとしてUberが挙げられます。同社は膨大な乗車データを分析して価格を予測しています。需要と供給量も予測して価格のバランスを取っているのです。

たとえば金曜の深夜に新宿駅付近で配車サービスの利用が「1時間当たり●●件入る」と過去のデータから見込まれた場合、同数のドライバーを手配しておき価格の最適化を図る、といった具合です。

価格の最適化はオンデマンド事業者の間では一般化しつつある考えです。配車サービスUberだけでなく、買い物代行サービスInstacartなど、オンデマンドサービスは世界中で台頭しています。日本でも成長を遂げているフード配達サービスUber Eatsもこうしたサービスの代表格です。

今となっては世界中のあらゆる分野でオンデマンドの事業モデルが採用され、各プレイヤーがビックデータを駆使して、事前予測時代を見据えているのが現状です。

ウォンツの発生前に商品・サービスが用意されている

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ニーズを探りましょうといったセリフが、しばしば起業家セミナーなどで使われます。顧客がどのような課題感を持っているのかを探り、それに対して具体的なソリューションを考えましょうという主旨の内容です。一方、すでに顧客が特定のソリューションを求めている状態がウォンツです。

たとえば便利な移動手段が欲しいとある人が考えた場合、ソリューションとして車やバイクが考えられます。この場合、顧客はニーズを持っている状態といえます。しかし、すでにスポーツタイプの車が欲しいといった明確なソリューションを必要としている場合、顧客はウォンツを持っている状態になります。

このウォンツの発生を事前予測することが大切なポイントです。最も身近な事例がAmazonのレコメンド機能でしょう。過去の購入データから関連する商品を提案する機能です。このように事前予測時代では、私たちがウォンツを思い浮かべる前に具体的な商品やサービスを介した最適なソリューションが提供されます。

自動車会社ロールスロイスが発表した100年後のコンセプトカーの世界観は、まさにこうした時代感を反映しています。コンセプト動画ではドライバーの生活習慣をAIが学習することで、出勤時間や夜にディナーへ向かうタイミングを事前予測し、出掛ける際には家の前に自動運転車が横付けされています。ドライバーが移動手段にロールスロイスの車というウォンツを欲する前に手配が済んでいる、といった具合です。

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Image by Konstantin Stepanov

昨今、Uberや競合のLyftが通勤者向け配車サービスと自動運転に力を入れている動向は、事前予測時代に活躍するサービスの好例です。

自社配車サービスを利用する顧客の通勤時間データが集まれば、だいたいこの地域の顧客は8時頃にサービスを注文するので、事前に予測した配車台数に見合う自動運転車を手配しておこうと準備することができます。また、サービス利用需要と自動運転の手配供給量のバランスから価格の最適化もできるでしょう。

このように明確な「ウォンツ」が発生する前の商品やサービスを事前手配はこれからどんどん進んでいくことが予想されます。こういった選択の必要がない「“ニルバーナ(安息の境地)”時代」において、私たちは買い物リストや商品・サービスの検索や注文する手間に振り回されない生活を獲得していることでしょう。

ニルバーナがいつ到来するかわかりませんが、これから長く生き残るであろう企業はすでに布石を打っています。こうした視点から自社事業を見据えると、いま何をすべきかが明確となり大きな成長戦略が描けるはずです。日本がこの時代の到来に乗り遅れないことを期待します。

via Accenture

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