「世界と勝負し、業界を変える」徹底的にユーザ体験を追求するクラウドクリエイティブスタジオMUGENUP

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日本から海外に向けて積極的に発信されているものに、ソーシャルゲームとアニメやゲームなどデジタルコンテンツが挙げられる。これら2つの領域にまたがり、勢い良く成長しているのが「クラウドクリエイティブスタジオ」を提供するスタートアップ、MUGENUPだ。

MUGENUPは、クラウドシステムを利用し、マンガ、アニメ、ゲームのイラストを制作している。キャラクターデザインから線画、塗り、背景などの各フローを細分化し、一つ一つディレクションをしながら制作を行なっている。クラウドで制作を行うクリエイターは日本だけにとどまらず、世界中に存在している。世界とともに仕事をし、世界を舞台に活躍するコンテンツの素を作っていると言えるかもしれない。

今回、MUGENUPの代表、一岡亮大氏にインタビューを行った。

起業のきっかけは?

最初に起業したのは大学生のころ。当時SaaSと呼ばれていた分野で顧客管理システムの開発を行っていました。当時出資や数字の作り方など経営に関して態勢がなかったので、途中で行き詰まってしまいました。その経験から社会の大きな流れを勉強したいという気持ちから、卒業後は銀行のホールセール部門に勤めました。

会社に勤めているうちに、昔起業していた同世代の人が新聞にのりはじめました。かたや、いち銀行員で方やバリバリと日本のメインストリームを突き進む経営者というギャップと、自分でプレイヤーとして活動するほうがリスク少ない、大きい会社の中で誰かに意思決定を任せた状態にはしたくない、という想いから辞職し、再度起業することにしました。

資本金42万円、私以外は当時学生とフリーランサーの2人の計3人でスタート。とりあえず稼がなくてはいけないので、スターバックス吉祥寺店をオフィス代わりに使い、受託の仕事をしていました。店員さんに「一岡さんは、何の仕事してる方なんですか?」なんて聞かれたりしましたね(笑)

起業後、どういった仕事をされたのでしょうか?

受託の仕事をしながら、「ミナオメ」というサービスを運営していました。ミナオメはソーシャルギフトサービスと呼ばれるもので、インターネットを通じて友だちがサイト内で貯めたポイントのカンパを募り、自分の欲しい商品やサービスを、プレゼントを販売するサイトです。

多くの方に評価はしてもらっていたのですが、マネタイズが難しく、別の事業に注力するようになりました。そのころ、ソーシャルゲームやったらお金になる、ソーシャルゲームの開発を行うようになりました。「ミナオメの運営」「受託事業」「ソーシャルゲームの開発」の3つを同時に、3人で行なっていたので、忙しかったですね。

クラウドサービスを提供するようになった理由

ソーシャルゲームの開発をするにあたって、学生時代の後輩がいわゆる絵師だったので、イラストの依頼をしていたのですが、予定より完成が遅れ、困っていました。なぜそんなに遅れてしまうのか、確かめてみようと想い、オフィスに来てもらってその場で実際にイラストを描いてもらってみたんです。

そうすると、その絵師の方は「塗り」の作業をするのが遅いということはわかりました。そのとき、この人にはキャラクターのデザインだけやってもらうことにして、塗りは他の人にやってもらうことを考えつきました。作業工程を分けて、イラストを作成すれば、生産のスピードも上げることができます。

自分たちだけではこの事業のアイデアは出て来なかったかもしれませんが、出会いには恵まれたおかげで、インキュベイトファンドの本間さんと密にディスカッションをすることができ、この事業をスタートすることができました。

投資家との付き合い方

MUGENUPの投資家との付き合い方は少し特殊かもしれないですね。私は本当はシードマネーはいらないと思って事業を行なっています。ではなぜいれたのか?という疑問を抱かれると思いますが、それはシードマネーを入れてくれる人と仕事がしたいと思ったからです。インキュベイトファンドの本間さんとディスカッションできることにメリットを感じて「この時間は株式あげてでもほしい」、そう思ったので、シードマネーを入れる決断をしました。

私はシードマネーは、投資家の人たちをいかにうまく自分の事業に巻き込んでいけるかという視点から大切なものだと捉えていて、たとえシードマネーであっても、MUGENUPにお金をいれるのであれば、MUGENUPくんを共に育てる仲間だと考えています。そのときの判断材料として、ディスカッションの質と、事業へのスピード感、事業ドメインへの理解度、アイデアへのいいパスを出してくれるかどうかといったことが挙げられます。

大事なのはユーザ体験の追求

MUGENUPのスローガンは「大量、速い、上手い」 というとてもシンプルなものです。

TOYOTAや、DELLといったバックシステムがすごい会社を目標として、業務の効率化を図っています。この線画ができるかどうかなど、イラストレーターひとりひとりの実力を把握します。人間なので、できることできないことはあって当然です。能力をしっかりと把握することが大事。その上で、各作業に誰がどれくらい時間がかかるのかを把握します。

案件の数は増え続けています。ゲームコンテンツはコンテンツの質が劣化しにくい業界です。ユーザはみんないいものがほしいですから。提供する側も、良い品質のものを出していかないといけません。MUGENUPも、アウトプットの質がよくなっていったね、と言われるようにしていくことで、UXを満たしていきたいと考えています。

一番大事なものはアウトプットです。生産管理や、システムの改善は一見、地味なことに思われるかもしれませんが、顧客満足度を上げるためには重要。顧客満足度を高める最高のUX、サービスデザインを実施していかなければなりません。これからもUXを高めるために生産の最適な方法をいろいろ試行錯誤していきます。

世界と勝負し、業界を変える

イラストを制作するこの事業で日本一になれれば、世界一になれると思っています。事業の内容もアジアでも非常に通じやすく、日本人の強みを発揮できるもの。もっと外国のクリエイターとかも巻き込んでいきたいですし、サブカルチャーとかいわゆるゲームイラストとかで、飯を食っている人が増えると面白い。これはシングルタスク化、分業化しているからできること。分業しているから雇用が増えすことができます。

本当にクリエイターのためになることは、飯食える状況を維持すること。「絵で仕事をしたい」と思っていても、なかなか仕事につけず、コンビニでバイトをしながら絵を描いている人たちは大勢います。「線画だけ」という仕事でも絵を描く仕事に携わることができ、それでご飯を食べられるようになれば、絵を描くことも継続でき、いつか目がでる可能性もあります。

市場の環境事態は変わってきているので、それを促す要因になっていきたいですね。業界自体が変わっていくきっかけになればと思っています。

取材するにあたってオフィスを見せてもらったが、創造性を発揮するためにオフィスづくりにも気を配っていることを感じさせられる空間となっていた。地道だが、確実にサービスをより良いものへと成長させていこうと改善を続けるMUGENUPのこれからに期待したい。

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