今月の Startup Weekend は例になく活況だったようだ。日本では5都市で同時開催となり、それだけスタートアップに参加したいと考える人が増えたことの現れだろう。
そんな中、東京で開催された Startup Weekend Tokyo での優勝チーム、SENSEINOTE のことを紹介したい。
SENSEINOTE は学校の先生向けのサービスで、他校の先生と情報を共有する時間の無い先生たちのために、教育ノウハウをノートという形にして、100円で容易にダウンロードできるようにする。他の先生のノウハウを〝買う〟ことで授業等のレベルを向上することもできるし、効率化により空いた時間をより密度の濃い生徒との時間に充てることができる。
Startup Dating では、以前、Mashable からの翻訳転載でアメリカの Teachers Pay Teachers の話を取り上げたことがある。SENSEINOTE は日本のみならず、世界市場を視野に入れたサービスということなので、この Teachers Pay Teachers との違いを意識する必要があると思い、、SENSEINOTE 開発者の浅谷治希氏に尋ねてみた。
「SENSEINOTE」は学校教育だけにとどまらず、世の中の人々を「SENSEI」と捉え、世界中の知識やノウハウが我々のプラットフォーム上に集まり集約されるGoogleが目指している、セマンテックを構想として描いています。
井戸の堀り方から思春期の子どもとの接し方に至るまで国内・世界で多種多様なアプローチがあります。人々の中にはたくさんのノウハウが眠っています。ただ、現在はそのノウハウが散り散りになっており、集約されていません。それをまとめるのが我々の「SENSEINOTE」というサービスです。
浅谷氏は、教育産業としては屈指のベネッセでポータルサービスを担当していたが、Startup Weekend Tokyo で「SENSEINOTE」の優勝が決まるやいなや会社を辞め、「SENSEINOTE」に全身全霊を傾ける決断をした。「マネタイズよりも、教育レベルの底上げに寄与したい」と謙虚な一面を覗かせるが、世のため人のためになる事業であれば、多くのお金が集まってもよいだろうし、結果として、そのようになるだろう。
現在、「SENSEINOTE」を含む、世界各都市で選抜された Startup Weekend の優勝者の〝ランキング投票〟が実施されており、この投票は、日本時間の28日(木)午前4時59分59秒で締め切られる。本稿の執筆段階で、SENSEINOTE は世界22位につけているが、15位までに入賞できれば、来年、ブラジル・リオデジャネイロで開催される世界大会に、ファイナリストとしてノミネートされることになる。(あと約300票程度の投票が必要)
このところ、海外のスタートアップ周辺を何かとお手伝いする機会があるのだが、世界で名を馳せているスタートアップには、一定のライフサイクルがあることが見えてきた。
Startup Weekend の Local Event で優勝
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Startup Weekend の世界大会などで露出
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TechCrunch Disrupt / Le Web などの有名カンファレンスのピッチでノミネート
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有名アクセラレータのメンタリングプログラムに参加
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有名エンジェル・ベンチャーキャピタルからの資金調達
…という流れだ。
Startup Weekend 世界大会にの出場は、筆者の理解では、成功に向けての2番目のステップだ。世界のスタートアップの活動をいろいろ支援しながら、アメリカ・アジア・ヨーロッパ等で、日本のスタートアップのプレゼンスが大きくないことをいつも憂慮している。読者の一票により、「SENSEINOTE」が世界の教育に新しい風を吹かせてくれることを願うばかりだ。
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