台湾でクラウドファンディングは受け入れられるか?

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【原文】

flyingv_screenshot教育専門家Jonathan Woods氏が台湾のクラウドファンディングについての見解を述べてくれた。

台湾のFlyingVはクリエイティブな人々がプロジェクト資金をオンラインで個人から調達できるクラウドファンディング・プラットフォームだ。アメリカのKickstarterやIndiegogoからヒントを得た設立者たちは、台湾でもクラウドファンディングのアイデアが成功すると考え、2012年4月に同プラットフォームをローンチした。

設立者のLight Lin(林弘全)氏とTim Cheng(鄭光廷)氏に、FlyingVと、これからの台湾におけるクラウドファンディングの展望について聞いてみた。

台湾の起業家を支援するという使命

設立者の両氏は「2つの使命」について強調した。それは、クラウドファンディングのプロジェクトに携わる才能ある人々にアイデアの実現可能性を検証し、確証を得ること、それからプロジェクトの認知を高める方法について教えながら、同時に発展し得るクラウドファンディング事業を創造するというものだ。

クラウドファンディングと台湾

古い世代の人々は、製造業、厳しいコストコントロール、そしてさらなる効率を絶えず追求することで、台湾に富をもたらした。ここ10年のトレンドでは、OEM生産モデルから国内需要を満たすサービスに的を絞ったモデルへの移行が見られる。台湾人の起業家精神は今でも熱く、新たな機会をうかがっている。

だからこそクラウドファンディングは台湾で受け入れられるアイデアだ、とLin氏とCheng氏は確信している。Cheng氏は述べた。

「クラウドファンディングは台湾にぴったりです。韓国や日本よりもうまく行く地盤が台湾にはあります。」

その理由として彼らが挙げるのは、台湾が持つ豊かな歴史、外国のアイデアを受け入れる寛大さ、少数の大企業ではなく中小企業や小さな工場によって成り立つ経済、そして経済面で増しつつある存在感だ。

安い新卒給与が、青年起業家の誕生に拍車をかける

彼らは意見の裏付けとして、最近の流行語「22K」を引用した。台湾の人々の間で良く知られたこの言葉は、大学生が卒業後の就職先で得られる見込みの月給が2万2000台湾ドル(744米ドル)にすぎないことを表すものだ。この数字は14年前の月給よりも低い。

彼らが希望の兆しを見る理由は、台湾政府が起業を後押ししており、スタートアップにとって雇用を控える原因となってしまう費用の高さという問題が存在しないということ、そしてその考え方が、徐々に社会全体に広がりつつあるからだ。

「就職を考える際、若い人々は希望を失いかけています。私たちは大学の卒業生に、自分でやるという選択肢を提示し、希望を取り戻してほしいのです。」

エコシステム構築への目標

Lin氏とCheng氏は、この改革の中心的役割を果たしたいと考えている。Lin氏は次のように語った。

「2010年以前は、エコシステムは台湾ではダメでした。とても僅かな資本しか投入されず、スタートアップは実質的には存在しませんでした。」

Lin氏はこのエコシステムを成長させ、台湾の人々の間に存在する起業家精神をスタートアップ企業の中へと注ぎ込むことに貢献したいという。しかし、同氏によると「インキュベータを立ち上げたいわけではなかった」らしい。その代わりに、台湾におけるエコシステムの成長を促すようなビジネスを創造したいというアイデアを持っていた彼らは、プロジェクトを立ち上げた人々全員と1対1で面談をするという取り組みによって、これに貢献しようとしている。

「私たちにとっての成功は、サイトの成功ではなく、エコシステムがどれくらい成長させられるかということです。」

台湾政府の役割

対イワン政府はこうしたトレンドに気づいており、スタートアップがより手軽に資金を得るためのクラウドファンディングや他の方法について探るため、グレタイ証券市場(台湾の店頭市場)における調査を開始している。政府は米国のJOBS法およびクラウドファンド法のセットを見本として調査を進めている。彼らは台湾経済部、文化部、そして資訊工業策進会(III)による承認と振興が、起業を奨励する認可の印となるよう願っている。

台湾におけるクラウドファンディングの未来

クラウドファンディングに対する最初の反応は肯定的なものだった。35のプロジェクトが合計で1000万台湾ドル(33万8,650米ドル)を獲得したのである。プロジェクトの多くは台湾の文化や歴史に関連する映画や音楽についてのものだったが、ハードウェアに関するプロジェクトでも成功したものがある。

彼らは台湾が小さな市場であることを認め、成長ペースを「速めるのではなく、着実な」成長を目指す、と述べた。

さらに、他のクラウドファンディングのプラットフォームが台湾にやってくることも彼らは予想している。たとえば、地元アーティストをターゲットとするZeczec.com(嘖嘖)のようなプラットフォームだ。台湾におけるクラウドファンディングは初期の段階にあるが、彼らは「今年、台湾にはたくさんの新たなクラウドファンディングのプラットフォームが登場することを確信して」おり、この資金調達の新たな選択肢が人々から大いに認知されると考えている。台湾ではまだPebble Watch(関連記事)のようなプロダクトが登場していないが、彼らは共にそれも時間の問題に過ぎないことを確信している。


著者紹介:Jonathan Woods

Jonathan は一流企業の研修・教育コンサルタントとして長年の経験を持つ教育の専門家である。Woods氏は現在Core & Cornerのプログラムマネージャーであり、EnglishVidsの共同設立者である。

【via e27】 @E27sg

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