アジアの国々がスタートアップ・カンファレンスを次々と立ち上げる中、今年から、香港にまた新しいインキュベーション・プログラムがお目見えすることになった。香港政府の外国企業誘致を担当する香港投資推進局(通称:InvestHK)は12月4日〜7日、香港のスタートアップ拠点である Cyberport(数碼港)や HongKong Science & Technology Parks(香港科技園)を中心に、香港に世界のスタートアップを招く Startmeup.HK を開催すると発表した。プログラムには、著名投資家をはじめ、世界中から最終選考スタートアップ12チームが招かれ、ピッチを経て大賞を3チームが獲得することになる。
香港のスタートアップ・イベントと言えば、Startup Weekend の香港イベントや、現地のテック・コミュニティ Startup HK が開催する Startup Saturday などに機会が限定されていた。これまで起業家や投資家など民間の動きに依存していた香港のスタートアップ・イベントは、政府が本腰を入れ始めたことで、香港と香港外のスタートアップ同士の往来が活発化することが期待される。
12月4日〜7日、香港現地で予定されているプログラムの内容は次の通りだ。
(応募の結果、最終選考に残ったスタートアップには、このプログラム参加のため、日本〜香港間の航空券と5日間の宿泊滞在が無償供与される。)
12月4日
- ・InvestHK によるオリエンテーション、ピッチ・スキル・ワークショップ、観光ツアー
12月5日
- ・Startmeup.HK ベンチャーフォーラム、香港の起業家・財界人との懇親会
- ・Cyberport、香港生産力促進局、ビジネス環境カウンシルとの提携先マッチングセッション
12月6日〜7日
12月7日
- ・StartmeupHK プログラムの大賞受賞者による、InnoAsiaエンジェル投資パネルでのピッチ
- ・InvestHK 主催の最終選考スタートアップによる報告会、ディナーパーティー
これに加えて、プログラム期間終了後も、
- ・香港における事業拠点/小売スペースの無料貸与(1年間)
- ・香港における会社登記ならびに商標登録に対する支援(一部費用援助の可能性あり)
- ・来年の Innovation Design Technology Expo への出展(無料)
- ・会計、法律、デザイン、ブランド戦略、レンタルサーバ会社などの専門家によるサポート
…などが提供されるとのことだ。
国外からのスタートアップの誘致を自国経済の起爆剤にしようとする国や地域が増える中で、筆者も各国政府のこの種類のイベントの担当者から相談を受けることが多くなった。先日も IdeasShow で台湾を訪問していたとき、日本から頼もしいスタートアップを台湾に誘致するにはどのようにすべきか、何人かの担当者から意見を求められた。各国の政府が知恵を絞って互いに競い合い、日本のスタートアップにとって、より魅力的なプランを提示してくれることは、日本のスタートアップの世界進出を後押ししたい SD Japan の思いにも通じるものだ。
スタートアップにとっての香港の魅力は、今朝公開されたこのインフォグラフィック記事(香港は中国の新たなテクノロジーのハブか?)でも解説されているし、特にハードウェア・スタートアップが生産拠点として使う深圳へのゲートウェイとして、香港が活用されるケースも確実に増えてきている。
香港を拠点とした東南アジアや中国への進出を検討したいスタートアップにとっても、またとないチャンスと言っていいだろう。世界的な VC である Draper Fish Juvertson (DFJ) の創業者 Timothy Draper 氏や、香港VC未公開株式協会共同議長の Marvin Lai 氏を前にピッチする機会も設けられており、彼らから投資に勝るビッグチャンスを得られる可能性もある。締切は8月26日(月)まで、このページから2分間の紹介ビデオを添え、必要事項を入力して申し込んでほしい。
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