ECを始めたい人にーー今だから注目したいMakeShop「商品仕入れ機能」の理由

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BASESTORES.jpといったインスタントにECを開設できるコマース系スタートアップが勢いづく中、少し違う方面からある興味深いアイデアを耳にする機会があった。いや、アイデアそのものは決して新しいものではない。よくよく聞かないと何が新鮮なのか分からなくなってしまうかもしれない。

もったいぶった書き出しになってしまったが、そのアイデアの正体は「仕入れのプラットフォーム化」というものになる。これは何を変えようとしているのか。少しご紹介したい。

ネットショップ構築サービス「MakeShop」を提供するGMOメイクショップは8月6日、同社が運営するショッピングカートから直接、提携する事業者から商品を仕入れて販売できる「かんたん商品仕入れ」サービスの提供を8月22日から開始すると発表した。現在予定されている商品点数は5万点で、価格の設定などは店舗側で自由に設定ができる。

なお、サービス開始当初はドロップシッピング運営のもしもが提供するネットショップ向け仕入れサービス「TopSeller」との連携で実現するとしている。

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利用料金については、MakeShopを利用しているユーザーには追加の初期費用や月額費用はかからないが、連携予定の「TopSeller」分については有料化の予定となっており、後日別途発表されることになる。

仕入れが「2013年の」カートと出会うことの意味

今回のアイデアの正体はドロップシッピングだ。そう、2006年頃にアフィリエイトと共にネットを使った副業アイデアとして名前を覚えている方も多いだろう。在庫リスクがないことなどはアフィリエイトと極めて近いが、商品価格を自分で設定できる箇所が大きく違う。さらに詳しい仕組みを知りたい方はGoogle先生に聞いて欲しい。

それがショッピングカートと直結する。まだ「へ?」と思ってるあなた、もう少し話を聞いて欲しい。

フロー図
MakeShopのかんたん商品仕入れはドロップシッピングの仕組みと類似する

ドロップシッピングの問題はひとえに個人メディアがもつパワーが全くなかったことだ。当時は外部に開いたソーシャルメディアもなければ、広告出稿でアクセスを稼ごうにも、相手は楽天やヤフーなど大手になる。結果的に仕組みはよかったものの「全く売れない、稼げない」サービスのレッテルを貼られてしまった感がある。

さてこの流れ、何かに似てないだろうか?そう、今のインスタント系コマースの流れだ。ブログのような個人メディアでショップを開設し、商品を個人で販売する。

しかし、当時と違うのは小さいながらもソーシャルメディアなどでトラフィックが個人でも作りだせる、という事実だ。この2013年に盛り上がりを見せるコマースサービスや、従来からある小規模なECとドロップシッピングの出会いにはもしかしたら可能性があるかもしれない。

スマホシフトに導線づくりーー環境も進化した小規模ECカートの勝機

つい先日にSTORES.jpが発表した、大手EC系検索サイトとの提携による集客導線強化のサービスだが、実はこのMakeShopとの連携で実現している。このような他サイトからの導線確保というのは従来広告出稿やサイトへの商品登録など、いくつかの手順や知識が必要だった。しかし今ではワンクリックだ。

さらに一般的な話題でいえば、スマートフォンの普及により、ユーザーのネットへの接触時間が圧倒的に増えていることも重要な要素だ。ふと目にしたソーシャルメディアからのリンクで購入機会に発展することは、もう当たり前の時代になりつつある。

導線環境の改善は小さなEC事業者にとって大きな環境変化と捉えるべきだ。

独自商品+αの商品ラインナップを拡充する仕入れの重要性

もうひとつ、ドロップシッピングで問題だったのが価格設定だ。当たり前だが、同じ商品であれば安い方を選ぶ。小売り価格を自由に設定できるといっても、結局ネットで検索比較されてはこの自由設定はほぼ意味を持たないことになる。

しかし、今のSTORES.jpやBASEといった個人コマース、もちろん従来からある独自コマースを眺めてみると、自社商品だけが並ぶものが多い。仕入れサイトのDeNA BtoB market(旧名ネッシー)や楽天B2Bなどから仕入れて拡充することも可能だが、やはり手間がかかる。

利益率の高い自社商品とある程度のアップセルが見込める仕入れ商品の組み合わせは、従来からあるリアルな商店では当たり前の世界観だが、これがネットで、しかも面倒な手続きなしに始められるとしたらひとつの転機になるかもしれない。

独自ECが迎える新しい局面

MakeShopのような中規模独自ECを構築するサービスや、STORES.jpやBASEといった極めてC2Cに近いコマースサービスも、共通してより便利に、より簡単にECが開設できることを目指してサービスの拡大を続けている。10数年の月日を経て、楽天やヤフー、Amazonといった巨人たちが作ってきた市場も、まだ小売り全体からみれば数パーセントにしか達していない。

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EC化率を上げる真の要素はこの独自ECがどこまでの規模で爆発するか、という点にあるだろう。

GMOメイクショップ代表取締役社長の向畑憲良氏に話を聞いたが、現在、MakeShopで開設されている店舗数は22,000店、流通総額は年間で1,000億円を超えている。上位プランでの店舗あたりの売上は平均すると月次で160万円ほどだそうで、今回の仕入れ機能を追加することで、「ECの川上から川下までカバーできる」と話してくれていた。

従来、ECといっても電子化されるのは商売のほんの一部であり、仕入れから梱包配送まで考えると大変手間がかかる。その手間がどんどんなくなり、このハードルがある一定位置に来た時、国内のECも新しい局面を迎えることになるのかもしれない。

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