[東京ゲームショウ2013] 苦難の1年を経て、変わらぬ活気を見せたGREE——グリー・インターナショナル副社長 荒木英士氏に聞く

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※この記事は英語で書かれた記事を日本語訳したものです。英語版の記事はコチラから

2011年の東京ゲームショウ(TGS)は GREE の独壇場だった。ゲーム界に大きな足跡を残し、そして文字通り、会場のスペースの約1割を GREE が占有していた。このイベントでの動向は、現実に何を提供するかよりも、むしろ政治的な意味を持つこともあるが、かつて、GREE が見せつけた力のショーによって、ゲーム界はスマートフォンにシフトしたのだ。

そして2013年、GREE はモバイルアプリの会社として甦る必要があった。中国やイギリスのオフィスを閉鎖し、アメリカやカナダのプラットフォーム部門を縮小し、働いていたスタッフは日本に戻された。今年のTGSで最大の出展者はソニーやマイクロソフトで、彼らは新しいモバイルのコンソールマシンにスポットライトを当てていた。新しい役者はガンホー・オンライン・エンターテイメントで、2年前の GREE を彷彿させるようにパズル&ドラゴンズを紹介していた。

しかし、GREE は、この3年間イベントで使ったのと同じ大きなブースで、TGSで全力でアピールしていた。この1年間は GREE にとって大変だったのに、どうして、そんなに大きなディスプレイ・ブースが必要だったのだろう。一度こんな大きなブースを作ったら、使い続けるしかないのか。確かに、eBay や Craigslist で売りに出すのは難しいだろう。グリー・インターナショナル副社長・荒木英士氏に、どうして GREE が TGS で、そんなにも大きなブースで出展し続けるのか質問してみた。

我々にとって、TGS は我々のプレーヤーと対話できる重要な機会です。モバイルインターネット業界では、プレーヤーがどのようにゲームを楽しんでいるか、彼らと話をするのが難しいのです。我々のブースでは、それぞれのゲームタイトルの横に、それを作ったゲーム・プロデューサーが立ってプレーヤーと話をしています。

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グリー・インターナショナル
副社長・荒木英士氏

ブースに立っているスタッフはアルバイト人員だと思っていたので、彼の言った話を聞いて驚いた。TGS では他の多くの企業と同様、GREE は多くのコンパニオンモデルを配置しているが、ゲーム・プロデューサーがブースに立ちユーザと会話する姿勢は、極めて興味深い。

荒木氏によれば、GREE のブースでは新作ではなく、従来作にフォーカスしている。以前と比べ、今年のGREEブースでの違っていた点と言えば、2012年10月に138億円で GREE が買収した、日本のゲーム開発会社ポケラボの特別コーナーが設けられていたことだ。買収から約1年を経た今、ポケラボは GREE と組織が分かれているものの、共同でゲーム開発に当たる両社の社員の混成チームも存在するそうだ。しかし、ポケラボにやりたいことをやらせるのが GREE のこれからの考えだ。GREE もまた、その力を集中すべき所にビジネスを特化させつつある。

開発スタジオを縮小したのにも、そのような背景があります。これらの開発スタジオは依然調子がよく、得意とする分野に特化しています。したがって、アメリカのスタジオではアメリカ市場向けのゲームを多く開発し、日本では日本市場向けのゲームを開発しています。現在は、日本で海外向けのゲームを開発したり、アメリカで日本向けのゲームを開発したりはしていません。それぞれのスタジオは、得意なこと、すなわち、よく知っている市場に特化するのがよいと考えています。

この考えは、2012年に GREE が買収したサンフランシスコの Funzio でも実践されている。荒木氏は、アメリカの開発スタジオは安定しないどころか、むしろ成長を続けていると説明してくれた。Funzio が開発した Knights & Dragons はアメリカ市場で好調で、ゲーム上で継続的に開かれるイベントが功を奏し、アメリカのiOSチャートで高順位にランクされている。Funzio が開発した Crime City もまた、多くの市場で好成績を見せている。

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しかしながら、荒木氏によれば、アメリカ市場向けのカードバトル・ゲームは開発を中止するらしい。この分野はあまり市場が大きくなく、既に飽和状態にあるからだそうだ。もちろん、日本ではカードバトル・ゲームは勢いのある分野なので、日本市場向けには開発を続けるということだ。[1]

今年の GREE のフォーカスは、ゲーム用語を使って荒木氏は「命中率を上げることだ」と述べた。GREE は、兼ねてから我々が期待しているような、大ヒットを生み出すにはまだ至っていない。現在は、日本でも海外でも多くの競争を強いられているわけで、世界のモバイル・ゲーマーの注意を引くために、GREE にはさらなる重大な挑戦が求められるだろう。


  1. この点について少し詳述したい。GREE の NFL Elite カードバトル・ゲーム(私は大ファンで、以前、レビューを書いたことがある)は好調だ。そして最近、2013年の NFL シーズンが始まった。以前の NFL Shuffle の名前から改称して9月3日にリリースされ、アメリカの iOS マーケットでは10位以内か、その付近にランク入りしている。もう一つのスポーツ・カートバトル・ゲームである MLB Full Deck は残念ながら、「ほとんど開発を中止している」とのことだ。 ↩