【投資家・起業家対談】投資家に選ばれた「ビッグマウス」のわけーーインキュベイトファンド本間氏×gumi國光氏(2/3)

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投資家と起業家の関係は興味深い。特にシード期の投資家と起業家は共同で経営にあたり、資金だけでない特別な関係を結ぶことが多い。そこにはどのようなやり取りや葛藤があるのだろうか。

このインタビュー・シリーズでは、投資家と起業家のお二人に対談形式でその内情を語って頂く。初回はインキュベイト・ファンド共同代表パートナーの本間真彦氏とgumi代表取締役の國光宏尚氏。本稿は前回のつづき。

國光宏尚氏略歴
1974:兵庫県生。高校卒業後、中国をはじめアジア、北米、中南米をバックパックで放浪
2004:29歳で帰国、映像系のアットムービーに入社、取締役就任
2007:gumi創業、代表取締役就任

21世紀の区間賞を目指したい

本間:日本に戻ってきたのは30歳ぐらいだよね。昔は何になりたかったの?映画監督とか?

國光:日本に戻ってきて会社(編集部注:gumi創業以前、2004年に帰国した國光氏は映像系のアットムービーに参加、取締役になっていた)をやってたのは29歳。生まれてきたからには一番になりたいじゃないですか。ずっとね、昔からなりたいものは変わってなくてね。

本間:うん。

國光:「21世紀、俺」なのよ。(※一瞬、取材会場が静寂に包まれる)

本間:ほう。

國光:まあ聞いてよ。21世紀ってさ、前半戦に(アップル創業者の)スティーブ・ジョブズがいたよね、孫(正義)さんも先行しててなかなかやるな、と思っていたら途中から突然(facebookCEOの)マーク・ザッカーバーグに(Twitter創業者の)ジャック・ドーシー、(PayPalおよびスペースXの共同設立者、テスラ・モーターズ会長兼CEOの)イーロン・マスクが出てきて戦いが熾烈になって、さらにそこに突然中国から、雷軍(レイ・ジュン/小米科技最高経営責任者)でしょ。

本間:もう完全にグローバルの戦いだよね。

國光:歴史が好きで伝記とか読んだりするんだけど、やっぱりその都度勇気を持ってる人だったり、何かを追求した人や全部を捨ててやりきった人が歴史を作ってきたと思うのよね。

人類のゴールがどこにあるのかは分からないけど、僕の時代で歴史が終わるわけじゃないし、今までの人達が全力で走ってきたからこそ人類の今の繁栄がある。そのバトンが今ここにあって、駅伝で言えばその区間賞は誰が取るのかっていう競争をしてるわけ。それは目指したいよね。

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別業界からやってきて「ゼロ」から人脈を作る方法

本間:投資家とかエンジェルとか外部のパートナー、私とかどういう所に価値を見いだして付き合ってきました?

國光:例えば山田さん(ウノウ創業者、コウゾウ代表取締役の山田進太郎氏)って、やっぱり業界のこと知らなかった自分にとってはそこ(IT業界)とのつなぎよね。映像関連の事業やっててITは全く知らなかったから。

本間:確かに國光さんって違う業種からやってきた珍しい例ですよね。私も進太郎さんに國光さんを紹介してもらってシード期に投資することになったし、それ以降は私の繋がりでVCを紹介したり。

國光:山田さんと知り合ったのはブログ。その昔、僕は有名なブロガーだったのよ。質とレベルで言えば、そうね、肩を並べられるのは一時期のループス斎藤さん(ループス・コミュニケーションズ代表取締役の斉藤徹氏)ぐらいかな(笑。

ネット系に知り合いいないし、映像だって別にずっとやってたわけじゃないから、どうやって差別化するか考えたのよ。アメリカに行ってたのもあるからやっぱりハリウッドネタだろうと。

欧米系のメディアに詳しいというのを書きつつ、でもネット関連も徹底的に調べて書いてた。そしたら「映像系のはずなのにネットも詳しいなコイツ」ってなって。英語使えたのもよかったよね。(ブログを通じて知り合った山田氏と)どっちかが連絡とって山田さんとは仲良くなった。

本間:その頃だよね。進太郎さんが紹介してくれたの。

國光:そうそう。丁度Twitterが北米に現れて「お、これや!」って独立を考えた。そしたら山田さんが太河さん(East Ventures/エンジェル投資家の松山太河氏)と本間さんを紹介してれたのよね。

7年間この業界にいてて感じることってやっぱりトッププレーヤーがそんなに変わってない。有名な人や会社がそのまま。クローズドな感じがするからこのインナーサークルに入れるかどうかだよね。入る方法はまず能力の証明。後は信用されてる人から紹介されるのも大事だよね。

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投資家に選ばれた「ビッグマウス」のわけ

SD:(注:編集から本間さんに質問)國光さんも含め、ビッグマウスって起業家には沢山いると思うんですが、なぜ他のビッグマウスじゃなく國光さんを選んだんですか?

本間:國光さんと定例の経営会議やってスタートアップどうだ、調達どうだ、調達の前にはこれ位の規模がないとだめだから、國光さんでないとできないことはなんだとお互いちょっとずつ話をしながら私も学習していったんですね。それで分かったんですが、本当に研究熱心なの。

國光さんに初めて会った時なんだけど、投資家ってある程度の人間とは会ってるから、まあ、話せばその人がどうなのか大体分かるんです。國光さんはですね、初めて会ったときに一時間ぐらい延々と話続けたんです。普通そこまで話することありますか?

しかも話の内容当たってないんですよ!全部方向性だけで語るの(笑。

國光:そうそう(笑。しかも俺がすごいとかそういう話じゃなくて、Twitterがいかにすごいかっていうのをあたかも自分のサービスかの如く語ってたよね(笑。

本間:パラノイアと言えばそうだし、ビッグマウスもそう。でもそこまで話し込む人はいなかった。その研究熱心さは他の人もアグリーしてる。当時はみんな思ってたんじゃないかな。

國光:若手の起業家で事業計画を書く時間があるなら開発しろっていうのを聞いたりするんだけど、それと「事業計画を書けない」のは別。数字が苦手とかそんなん自分で調べろと。流行なのかわからないけど、事業計画か開発どちらを優先じゃなく、どちらもやれと。

本間:ただビッグマウスだけど、当初の経営はかなりリーンだったよね。ルノアールで開発してたし。

國光:そういえばルノアールにまつわる著名人っていうことでインタビュー受けたよ。ルノアール起業家代表だって(笑。

本間:経営という意味で足下はかなりリーンだった。一年半ぐらいだよね。勝負ポイントは進太郎さんたちと一緒に中国いってソーシャルゲームの調査したころかな。「これはもしかしたら」って思って、そこから100名体制拡大計画や大型の資金調達を実施してスタンスをがらりと変えた。

これも不思議なところで、実はリーンな経営ってすぐ出来る起業家もいるんですよ。元々の性格が倹約家というか。でも國光さんは違ってて、それまでのリーンなスタイルからステージが変わったら一気に方向性を変えられた。

あるいは分かってなかったか。

國光:笑。

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曲げられない「世界一」獲得

SD:(注:編集からお二人に)これだけパワフルに動くと人から攻撃を受けたりするようなことってなかったんですか?

本間:國光さんって人に対しては丁寧な人なんですよ。もちろん成長痛はあって、ポジションに合わない人が出てくることもあったし、元々のメンバーが役員から降格する可能性がある場合とかは、都度相談を受けてましたよ。外からみると人の「ガラガラポン」をよくやってるイメージがあるかもしれないけど、そんなことはないです。

國光:対外的な人のところはないね。ただ、社内の入れ替えは多いですよ。だって成長しない会社って大概が最初の頃に役員になった人がステージに合わなくなってるのにいちゃうから、その後に優秀な人が入ってきづらい。

ウチの強みって役員勢含めて最初の体制、次、次とステージに合わせて成長していってる。入れ替えは目的に応じて明確に出来るようになってきてて、最近はさらにスムーズになってると思ってるよ。

本間:最初は私も役員だったしね。資金調達が終わったらそこから外れたけど。ポジションに応じて出たり入ったり。もちろん交代の時に苦悩してることもあったよね。

國光:そうね。苦しくて長く考えたこともあった。でも会社の目標を実現するために、必要な人材も決まってくる。多少フェアにしてるかなと思ってるのは、給料とかオプションの類でセコいことはあまり考えてない。成長した時はしっかり払うし、ダメだった時もしっかり話す。

揉めるよ。けど、まずは呼んで会社としてここまで行きたいけど、今のままの働きだと期待に応えられないし、さらにそれをブレイクダウンして三カ月後にはこうなってないとダメだよねってことを説明する。それで毎月その状況を追いかけて、やっぱり出来たよね、出来なかったよねって本人と向き合う。

本間:まどろっこしい社内政治しないよね。投資家に対してもここをこうしたいってハッキリ言うし。もちろん嫌なこともあるけど、私利私欲じゃないから、会社としてこうしなきゃいけないって話されると納得できる。

國光:だってそうしないと世界一取れないじゃない。それは曲げられないんだよ。世界獲るためには「こうあるべきって」投資家も社員も全員それぞれのミッションが決まってるのよ。

ーー最終回は國光さんのプライベートのお話も

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