日本生まれのライトユーザー向けメモアプリSnipe、メモのデバイス指定転送機能で差別化を図る

SHARE:

※この記事は英語で書かれた記事を日本語訳したものです。英語版の記事はコチラから

今日、メモをとるためのツールは少なくない。Mac や iOS では特に顕著だ。TaskPaper のような軽いアプリを使う人もいるが、デバイス横断でメモを同期するため Evernote を使う人も多い。しかし、ある東京のデベロッパが最近、面白いプロダクトをローンチした。どのメモをどのデバイスに同期するかを細かく指定できる、Snipe というアプリがそれだ。

Snipe は、日本とシンガポールに拠点を構える AppFusion が開発した。 Mac と iOS の両方で利用できる。テキスト、画像、リンク、メタデータを含んだメモを書き始めると、どのデバイスに送信・保存したいか選択を求められる。Snipe のタグラインは、「もう自分自身にメモをメールする必要はない」だ。多くの人は、このアプリで、そのような問題を解決できるだろう。彼らのビジネスモデルは、対応デバイスを追加する毎に、Snipe に有料のプラグインをインストールしてもらう形をとっている。

home-feature-target-280x280私自身、メモをとる際は、nvALT/Notesy や TaskPaper のような Dropbox 的なソリューションよりも、プレーンテキストを好んで使う。なぜなら、そのようなアプリに(サービスのシャットダウンなど)何が起きても、私はメモを将来も読めるように残しておきたいからだ。Evernote も今や安定した会社となったので、(将来のシャットダウンは無いだろうから)依存したとしても比較的安心だろう。日本では、この問題を解決すべく、SleipnirSleipnir Linker というアプリで、面白いソリューションを提案している。このアプリはよく出来ていて、住所や電話番号などを扱うと、それがモバイル端末に転送されるようになっている。

Snipe を作った Ben Dunn 氏は、Evernote などとの差別化について、次のように話してくれた。

Evenote は素晴らしく豊かな機能が備わっており、未来永劫残しておきたい書類やメモを保存しておくために、私自身も Evernote に料金を払い続けるでしょう。しかし、短時間で消してしまうようなメモ(Post It に走り書きして、そのまま持って行くようなもの)を扱うには、重いアプリだと思ったのです。そして、Snipe のメイン機能のように、デバイスを指定してメモを転送することもできません。言い換えるなら、Evernote のライトユーザにとっては、Snipe はよい選択肢になるはずです。

彼の最後の言及については、私は賛成できる。ストレス無く情報をデバイスからデバイスへ飛ばしたいユーザにとって、Snipe は非常に手軽に出来ている。パワーユーザーの問題を解決してくれるとは思わないが、そのような人たちは既存の多くのソリューションで問題を解決できるだろう。しかし、Snipe は多くの新ユーザをとらえることができると思う。彼らが解決しようとするのは、皆が出くわす問題だからだ。Snipe が提案するソリューションは、非常に明確だ。[1]

Ben が東京で起業家になった印象についても聞いてみた。東京では、多くの要因が起業を難しくしているものの、同時に楽しいものにしてくれる理由も多くあると語った。

BenDunn-280x328東京は物価が高く、(英語話者の)雇用に困難を伴い、人脈を築くのも容易ではありません。しかし、大規模な消費者市場で働けるメリットを考えれば、そのような困難はトレードオフできるしょう。この市場は欧米で作られた新製品を(言葉の要因により)概して受け付けないものの、日本で生まれたアイデアやプロダクトを世界へと輸出しています。

Snipe はまだそのステージには達していませんが、私が求めているチャンスは他にもあります。英語に特化したプロダクトをローカライズしたり、日本市場に投入したりするというアイデアです。

Snipe はローンチしてから日の浅いプロダクトなので、伸びしろは大きく、改善すべき点も多い。私は、デバイス横断で情報を転送するソリューションとして使わないだろうが(既に自分のやり方があるため)、Snipe を使って便利に仕事ができるようになる人は少なくないだろう。試したい人は、iOS と Mac で無料で利用することができる。


  1. Snipe は、アプリストア上でタイトルを修正する必要があるかもしれない。現在は「Snipe It」として表示されている。名称が変更されれば、ユーザは「メモ(notes)」や「同期(sync)」などの単語でも、容易に Snipe にたどり着きやすくなるのだが。 ↩

Members

BRIDGEの会員制度「Members」に登録いただくと無料で会員限定の記事が毎月10本までお読みいただけます。また、有料の「Members Plus」の方は記事が全て読めるほか、BRIDGE HOT 100などのコンテンツや会員限定のオンラインイベントにご参加いただけます。
無料で登録する