カレンダーアプリなら他にもあるから、と片付けてしまう前に、一度iPhoneアプリ「Peek」を見てみてほしい。1月末にリリースされたこのアプリは、初登場したその日から各国のApp Storeで有料アプリトップを獲得。また、App Storeの“Best new apps”の生産性カテゴリーでもフィーチャーされるなど注目のアプリだ。
Peekは、巷にひしめく他のカレンダーアプリとどう違うのか。今回話を聞かせてくれたPeekのデザイナーであるAmid Moradganjehに聞いてみた。彼は、人気デザインコンサル会社「IDEO」出身だ。
「Peekは、動作が早くて、シンプルに使えるカレンダーだ。スマートフォンは持っているのに、デジタルカレンダーを使っていないという人が大勢いることを僕たちは知った。
世の中に出回っているカレンダーは、忙しいCEOなどパワーユーザーに向けて作られたものばかり。カレンダーをもっと日常的に使えりものにしたいと思った。一般ユーザーは、試してはみるけどすぐ諦めてしまう人が多い。だから、ミニマムで予定登録が退屈にならないアプリを作ったんだ。」
Peekを手掛けるのは、2人のファウンダーが立ち上げたスタートアップ「Square Mountains」だ。Peekの原型は「Rimino」というAmidのアイディアで、それに本腰を入れるため彼はIDEOを辞めて現在のスタートアップを立ち上げることになった。
Square Mountainsの信念。それは、デザインシンキングを既存製品に適用することで、より広く一般の人に利便性を提供すること。
「新しいアイディアを、一部の人しか便利に感じないガジェットに落とし込んで形にしようとは思わない。人にとっての本当の価値を理解して、新しいアイディアを創造し、そのアイディアに命を吹き込むためにテクノロジーを活用したい。」
ひと、テクノロジー、イノベーションが自分のパッションだと話すAmid。彼は、スウェーデンのUmeå institute of Design(ウメオ)を卒業し、その後IDEOとマイクロソフトに勤めた。IDEOでの経験は、彼のデザインへのアプローチや考え方の形成に大きく影響したという。
「IDEOにおけるデザインは、テクノロジー以上に人間にまつわるものなんだ。IDEOのすべてのデザイナーは、人間が求めるもの、人間に必要なものを理解している。ユーザーに共感することでそれを形作っていく。共感こそ、デザインの根幹だと思っているよ。」
チームはヨーロッパにいるPatrykと、Amidがいるエストニア共和国の首都タリンの2拠点で活動。主にEメールを使って遠隔でプロジェクトを進めている。同じ部屋で開発をするという方法もあるものの、離れているからこそ、空いた時間を有効に使って丁寧にプロジェクトを進めることができていると話す。
「有料アプリとしてはPeekはすごくダウンロードされている。でも、単純なダウンロード数は重要視していないんだ。むしろ、もともとPeekの使い手として想定した、パワーユーザーではない一般の人たちに対して大きな影響をもたらせているか。そこに価値を感じている。」
Peekのユーザーからはさまざまな声が届いているという。
I’ve mentioned @PeekCalendar before but I love the design so much I’m finding any excuse to add to it. My week’s have never been so busy.
— Morgan Applegarth (@morgapplegarth) 2014, 2月 4
Peek Calendar makes me want to create events, just so I can enter and view them. http://t.co/AIUiNFUzJX
— Ben Gremillion (@benthinkin) 2014, 2月 2
引き続きiPhoneアプリを改善し、今後はiPadバージョンもリリースする予定。彼らの長期的ゴールは、同じ法則をさまざまな体験に用いて、「人のため」のもっと革新的なプロダクトを作ること。2人は、Peek以外のプロダクトのアイディアについても検討中だという。
最後に、Amidに彼自身が好きなプロダクト、よく見るウェブサイトについて聞いてみた。昔の同僚が作った「Mailbox」、頻繁に見るウェブサイトは「Co.Design」、そして、大のお気に入りはScott Hansonのビジュアルデザインだそうだ。
Peekについては、以下の紹介動画がを見るのが一番早いかもしれない。
Peek Calendar from Square Mountains on Vimeo.
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