Microsoft Ventures Tokyoが描く「ものづくり系スタートアップ」のビジネス #MSVJP

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読者のスタートアップの中には、マイクロソフトが開発環境やビジネス支援をスタートアップ向けに提供しているBizSparkというプログラムをご存知の方も多いかもしれない。

過去5年間で8万5000社のスタートアップを支援する同プログラムを中心に、シード向けのファンド「Bing Fund」やシードアクセラレーションなど、スタートアップ支援活動をまとめるような流れで2013年6月に設立されたのが「Microsoft Ventures(MSV)」だ。日本国内でも2014年2月から砂金信一郎氏を代表に「Microsoft Ventures Tokyo(MSVT)」として活動を開始している。

本誌も明日から開催されるMicrosoft Ventures Meetupにはメディアパートナーとして参加し「IoT トップランナーによるパネル ディスカッション Powered by “The Bridge”」というセッションも企画で参加させていただく。イベントを前日に控え、砂金氏にMSVTの活動をインタビューの形でお聞きすると共に、企画したセッションの狙いをお伝えしたい。(インタビューの質問はすべて筆者)

まず、MSVTとしてのスタートアップ支援範囲についてなんですが、どの辺りに興味というか展開をされていますか?

砂金:医療系が最初に盛り上がった、というのはあります。但し「ノン」メディカル、つまり電子カルテのような本格的な領域というよりは、ライフログを取ったり、本格医療技術の領域に入るかどうかというラインのカテゴリですね。その分野で使われたのがキネクトでした。

「Opect」は手術室での画像閲覧操作をジェスチャーコントロールで実現したもので、2013年のMicrosoft Innovation Awardでは最優秀賞を獲得しています。数千万円の医療器機が数百万円規模の設備で可能になる、ということで可能性が広がった例ですね。

EdTech Campなどを通じて教育系にも視野広げられてますが、どちらかというとパブリックなイメージの分野が多そうです。

砂金:そうですね。一般的に数年で上場を目指すようなちょっと「キラキラ」したイメージのスタートアップ支援とは違うかもしれません。また、どこかの国だけで通用するようなサービスにも投資はしませんね。基本的にグローバルかつテクノロジーベースで成長が見込める方が対象になってます。

なるほど。米国のMSVではシードアクセラレーションプログラムも開始してますが、やはりそれも国内でいくつかみられる短期成長型への支援とは少し様子が違いそうですね。

砂金:これはイスラエルのチームが実はリーダーシップを取っているんです。「非ベイエリアの技術」にフォーカスを当てていて、3カ月のバッチ・プログラムを経て一緒にビジネスができるかを判断するものです。小さなイグジットを求めているというよりは、破壊的なテクノロジーにこそ興味はあります。29日のセッションでMSVのAya Zook氏が話をするのでぜひ取材してみてください。

取材頑張ります(笑。

ところで今回、企画させてもらったハード系のセッションのテーマは「IoTはビジネスになるのか?」という方向性でセッティングさせてもらいました。Googleが買収したNestもハードそのものの販売ビジネスというよりはその裏にあるビッグデータにこそ事業の種は潜んでいると考えられていますよね。

砂金:情報の入り口はスマートフォンというデバイスにシフトして以来、爆発的に増加しています。それが今後、小さなセンサーに拡大すればさらに情報量は大きくなりますよね。例えば今回セッションに参加されるZMP社も車の自動運転について研究を進められていますが、車の乗り心地やそれに関連する情報を加工して例えば自動車メーカーに販売する、そういうモデルも想定できるようになるんです。

<参考記事> 車の自動運転技術を開発しているZMP、インテルから資金調達を実施

ネット接続するハードが拡大し、データを取得できるエントリーポイントが増えればそれだけビジネスチャンスも増える

砂金:この場合、ログの解析はハードウェア屋さんも頑張っているものの、やはりデータ加工は専門の知識が必要です。イベントでは大手企業でそれなりのスキルセットを持った方々もいらっしゃいますので、「面白そうだし俺もこれできるんじゃない?」っていうのを引き出せる雰囲気は作りたいですね。

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※セッションに登壇するCerevoは経営体制の一新を発表している

<参考記事> 20億円規模のものづくり系ファンドもーー #IVS で聞く、Cerevo新体制が描く「国産ものづくりの未来」とは

結構ベテランの方がよさそうですね(笑。

砂金:例えば製作所にいてるものづくり屋さんは技術的にいいものを持っていらっしゃる。ウェブ系とは少し違っていて技術ベンチャーというのは一端バラまいたハードウェアに粗悪なものが混じっていたら大変なことになってしまう。基礎研究や量産にもそこそこの資本が必要だし、ある程度ベテランの方のほうが可能性が高いのではないでしょうか。大手からのスピンアウトでもいいですし、その動機付けになったらいいですね。

MSVTとしてハード系スタートアップ支援に向かう理由は?

砂金:特化してるわけではないですが、確かにマイクロソフトにはハードウェアに携わる人が多く、その目利きがあるのは強いです。過大評価することもないですし、過去のIPがあるので持ち込まれた技術に対してどのようなアレンジをしたらいいか判断は可能ですよね。ところでZMP社はつい先日にインテルキャピタルから出資を受けましたが、実はインテル社はマイクロソフトにとって重要なパートナーでもあり、こちらの陣営と親和性が高いんですよ。

ありがとうございました。明日からのイベント楽しみにしています。

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