IPOや海外展開を見据えて、ロコンドが年明け早々に「買ってから選ぶ。」を訴求するTVCMを放映

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ロコンドが2015年1月4日から放映するTVCM

ネットの買い物には、多少のリスクが伴って当然。これまでのオンラインショッピングは、買い手がそのリスクを理解した上で利用することが求められてきました。確かな買い物がしたいなら、商品を手に取って、試着できる実店舗で買い物すればいい。

そんな従来のオンラインショッピングのあり方に待ったをかけるのが、靴とファッションの通販サイト「LOCONDO.jp(ロコンド)」です。2011年に本格サービス開始したロコンドは、事業開始3年目には年商50億円を突破、今年の売上げは80億円(出荷高ベース)を超える見込みです。

ロコンドの取扱いブランド数は、1,000ブランド。売上げの7~8割を靴が占めていますが、バッグや洋服など、取扱いアイテムの幅も増やしています。ロコンドの最大の特徴は、注文した商品を家で試着できること。その上で、気に入った商品だけを手元に残し、商品到着から30日間以内であれば無料で返品することができます。

現在、月間の訪問者数300万人以上のロコンドの主なユーザー層は、30代から40代の子育て中の女性。国内の通販サイトに比べると、年齢層がプラス10歳ほどなのだと言います。その理由は明確だと話す、ロコンド代表の田中裕輔さん。

「ロコンドは、日本のファッション通販のメインプレーヤーに比べると年齢層が高いのが特徴です。それは我々のビジネスモデルである『試着できること』のニーズが高いのが、お子さんがいらっしゃるお母さんだからです。小さなお子さんを連れて店舗でゆっくり買い物することもできないので、その点がECサイトとしての差別化にもなっています」

「ほっこり」できる顧客体験でリピート率は7割

ロコンド誕生のきっかけは、田中さんのUCバークレーへのMBA留学時代にさかのぼります。当時、講演を聞き、直接話をする機会を得たのが、Zappos(ザッポス)のCEOであるTony Hsieh(トニー・シェイ)でした。

Zapposと言えば、顧客がそのサービス利用体験を「Happiness in a box」(箱いっぱいに詰まった幸せ)と表現したという逸話もあるほど、徹底した顧客第一主義で知られています。そんなZapposをインスピレーションに始まったロコンドもまた、これまで、とにかくサービスを良くすることだけに注力し、資金を使ってきました。

ロコンドを、消費者にとって、安心できて、人の顔が見える「ほっこり」した場所にすること。そのために、送料や返品送料を無料にし、ロコンドのサイト右上のわかりやすい位置に、0120から始まる電話番号を記載。総勢15名ほどから成る「コンシェルジュ」サービスで、電話注文から各種問い合わせなどに対応しています。

「オフィスでは、僕自身がコンシェルジュ部隊の近くに座っているので、その場で一緒に対応を考えたり、また、海外からの問い合わせには僕が対応したりすることもあります。立ち上げ当初は、電話受注や一部の業務をアウトソースしていたんですが、今は全て内製です。お客様に対して最高水準のサービスを提供するためには、そのビジョンに心底共感したチームが必要だと実感しました」

その甲斐があって、1年前までは全体の3、4割に留まっていたリピーターが、現在では7割に。また、初めて買った人がまた3ヶ月以内、6ヶ月以内にまた購入する割合も上昇しています。

年明けには、4年ぶりとなるTVCMを放映

ロコンドは、今年9月末にジャフコからシリーズCとなる総額5億円を調達しました。商品の買い取り予算、また、今では3,100坪、2015年9月には4,200坪にまで拡張する倉庫などの物流インフラへの継続的な投資に加えて、これまでオンライン広告が中心だった広告活動にも力を入れて行きます。

その1つが、年明け1月4日(日)から、首都圏、東海圏、近畿圏の3エリアで放映されるテレビCMです。2011年以来、4年ぶりとなるCMは、「買ってから選ぶ。」をテーマに、送料無料、自宅で試着、30日間返品無料といったロコンドの特徴を訴求する内容に仕上がっています。

サービスを立ち上げて間もない2011年に実施したテレビCMに関しては、いろいろと反省点があったと振り返る田中さん。そもそも、東日本大震災の前後1週間という難しいタイミングでの放映だったこと。また何より、商品力が命のECサイトで、まだ自ら自信を持てる品揃えになる前に、焦ってCMを打ってしまったこと。CMを見てロコンドを訪問しても欲しいものが見つからず、購入まで至ることはありませんでした。

「最近のお客様アンケートなどを見ても、そもそも『靴を試着できる通販』があることを知っている人がまだまだ少ない。ロコンド云々よりも、「お家で買って、お家で試着して、気に入ったものを残してあとは返品」という買い物の仕方があるということを、広く伝えることに重きを置いて制作しました」

我慢をしない、あきらめなくていい世界

店舗ですら、ピタリ合うものがなくて苦労する「靴を買う」という行為。既存の買い方ではあきらめてしまっている人に対して、ロコンドなら、家でゆっくり試着をしたり、また、足のむくみの状態が違う朝と夜に試着して、本当にサイズが合うかを確かめてから買うことが可能です。

「リアルでの買い物をショールーミング化したいわけじゃないんです。でも、倉庫の大きさなどに限りがあって、リアル店舗でも、靴を全色、全サイズ揃えるのは難しい。そこに僕たちのような試着できる通販という選択肢が加わることで、30万という商品数から、あきらめてしまう人にも自分に合う靴を見つけてほしいと思っています」

家にいながらして安心して靴が買えるロコンドなら、昨年は一足も買えなかったユーザーが、今年は2、3足買えるかもしれない。自分に合う商品と出会えれば消費者もハッピーだし、こうした消費行動の広まりは、縮小しているという靴業界を活性化させることにも繋がると田中さんは話します。

今後は、アンケートなどをもとにユーザーが求める商品の取扱いを増やすことなどに加えて、沢山ある品揃えの中から、自分に合った商品を見つける工夫も施していく予定。例えば、「試着したものに対するフィードバック」という、通常どこも持っていないデータを活かすことで、一時期流行ったアプリ「Akinator(アキネイター)」のような、質問に答えていくことで商品提案するような機能も検討しています。

世界で広まる「試着して購入」するECモデル

今年の年商は80億円を見込み、再来年には海外展開も視野に入れて動いているというロコンド。これまでに調達した35億円に加えて、新たに資金を調達し、早ければ来年中にも上場することを見据えています。海外展開では、Zappos型の「試着して購入」のECサイトを世界規模で展開する、ドイツのインキュベーター「ロケットインターネット」と協業していく予定。

ロコンドにも数パーセントを出資しているロケットインターネットは、欧州では、2008年に立ち上げた「zalando」が今年10月に上場。既に売上げは3,000億円超(2014年度見込)、時価総額9200億円という巨大企業に成長しています。また、今年9月には、ロシアの「Lamoda」、中東の「Namsi」など、5つの市場を「Global Fashion Holding group」一社に統合することを発表しています。

これまではロケットインターネットとは距離を置いた形で運営されてきたロコンドですが、2016年からは、こうした各市場のECサイトと提携し、ジャパンブランドの海外への発送も積極的に行っていくと言います。

「ロコンドで扱う1000ブランドの、7〜8割がジャパンブランドなんです。例えば、東南アジアのZaloraのユーザーから、『日本ブランドの商品を買いたい』といった声が増えています。ロケットインターネットのCEOであるオリバーとは、多い時では週1のペースで話をしていて、各企業と協業を具体的に進めていきます」

まだまだ一般消費者のEC体験が大型オンラインモールだけに留まる中、家で試着できるという安心感が売りの新しいECサイトがそれを変えることになるのか。前回の失敗で学んだ教訓を反映したという新CMの反響にも期待が集まります。