「グローバルNo.1になってメガネの地位から変える」:Oh My Glassesの清川忠康さんが勝算を見出だすバーチカルコマースの形

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Tadayasu-KiyokawaOh My Glassesの共同ファウンダーでCEOの清川 忠康さん

「世界中のメガネの中から、運命の1本に出会える」日本最大級のメガネ通販サイト「Oh My Glasses(オーマイグラス)」。200のブランド、15,000種類のメガネやサングラスを取り扱い、特に都心暮らしの30代半ば〜後半の男女から人気を集めています。そんなオーマイグラスの共同ファウンダーでCEOの清川忠康さんにお話を伺いました。

10.8億の増資と「Oh My Glasses 出張サービス」

8月2日、オーマイグラスは産業革新機構やニッセイ・キャピタルなどから合計10.8億円の増資を行いました。また7月23日には、自宅や職場に出張して視力検査と販売を行う「Oh My Glasses 出張サービス」を開始。現在の対象エリアは、東京の中央・西南エリア(大田区、品川区、目黒区、港区、中央区、渋谷区、千代田区、文京区、世田谷区)です。

メガネを5本まで無料で自宅に送り、かけ心地を確認してから購入できるオーマイグラスですが、度数の確認がネックになって購入まで至らないケースが多く見受けられました。今回の出張サービスは、そんな背景を受けて開始したもの。福利厚生として利用する企業も多く、現在は1日数件ほど出張しています。

オーマイグラスでは、一度購入した利用者の2、3割がリピートしてくれるそう。粗利率の高いレンズという商材、またライフタイムバリューという考え方に基づいて踏み切った新規事業なのです。

商材特化のバーチカルコマースは、もはや通用しない

Amazonや楽天のようなオールマイティな巨大コマースを傍らに勢いを増していたのがバーチカルコマース。靴のサブスクリプションサービス(定期購入)として始まった「Shoedazzle」、「Fab」や「BeachMint」などのスタートアップが話題でした。

ところが、Shoedazzleは2013年8月にJustFabによって買収され、Fabもその後、閉鎖や倒産の噂が度々聞かれています。

「結局、ずっと新しいことをやって進化を続けているEコマースはAmazonだけではないでしょうか。メガネに特化する僕らが言うのも何ですが、結局、商材特化のバーチカルコマースは通用しないというのが結論なのだと思っています」

そんなオーマイグラスが勝算を見出す形は、メガネのインフラ自体をつくってしまうこと。同社はすでに芝浦ふ頭に倉庫を構え、物流はもちろん、メガネの職人による加工業務なども自前で行っています。Eコマースのシステムから倉庫の管理、物流に至るまであらゆるプロセスを内製化し、「メガネ」という商材にとことん最適化しているのです。

リアルとインターネットの融合

Amazonや楽天などの総合コマースと共存できるとすれば、それはメガネ業界だと話す清川さん。メガネ市場は日本国内だけでも4,000億円市場、グローバルでは何兆円規模。とはいえ、巨大プレーヤーにとって新たにリソースを投下するほどの規模はなく、またメガネという特殊な商材への参入障壁が立ちはだかります。

あくまでマネタイズの手段としてのニッチサービスだったEコマースが、今後はリアルと絡めたオムニチャネルによって小売りを次の時代へと躍進させると清川さんは話します。海外では進んでいるオムニチャネルですが、日本国内ではまだまだ動きが遅いのが現状。

 「リアルとインターネットをうまく融合することで成功しているのが、メガネのEコマース「Warby Parker」です。リテールの最終形はEコマースだけでもないし、リアルだけでもない、その中間点にあります」

現に、Warby Parkerはコマースとリアル店舗をうまく絡めて急成長。J.CrewのCEOから同社の役員になったMicky Drexler氏は、同社を次のAppleだと賞賛するほど。少し前の2012年12月のInc.の記事によると、Warby Parkerは、600平方フィート(55.7平方メートル)の店舗スペースで1平方フィート当たり、Tiffanyに匹敵する売り上げを確保しているのだそう。

グローバルナンバーワンになってメガネの地位から変える

パリミキ、眼鏡市場、JINSなどプレーヤーが3〜5年で変わるメガネ業界ですが、圧倒的な勝者の不在が続いています。それはグローバル市場も同じこと。これはオーマイグラスにとって他ならぬチャンス。

現在のグローバル市場ナンバーワンは、イタリアミラノ発祥のルクソティカ。ルクソティカは7,000店舗を構え、メガネだけで1兆円規模の売り上げを誇ります。

 「彼らは、プラダ、シャネルなどグローバルなファッションブランドのメガネのライセンスを取得して、自分たちがデザインしたメガネにロゴをのせて販売するモデルをとっています。ナンバーワンプレーヤーがファッション業界の下請けとして大きくなった企業なので、メガネの立ち位置がいつまでも変わらない。僕たちがナンバーワンになって、ここも変えて行きます」

工場から物流まで自社で内製し、自社ブランドをグローバル展開することができれば、グローバルな需要予測も可能になり、トレンドの発信すらできるようになる。

 「時計のように専門誌もなければ、靴のように何足も持つこともない。メガネそのものの地位が低いため、結局メーカーも年に数回小売店向けに展示会を行う程度で、トレンドに左右されない無難なものだけをつくっています。もっと、お客さんの方を向いて仕事をする業界に変えていきたいです」

遺産ゼロの新鋭インターネット企業

OMG-typeOh My Glassesの独自ブランド「type」

現在、20名ほどの正社員から成るオーマイグラス。遺産がないスタートアップであるが故に、身動きがとれなくなる政治にも無縁で、柔軟な組織体制が出来上がっています。また、インターネット業界から優秀な人材が多く参加していることも特徴のひとつ。

シリコンバレーへの留学経験を持つ清川さんは、留学当時、こんなことを考えたと言います。

 「授業で扱われる事例によく登場したのがトヨタでした。世界中でいろんな人が乗る車。でも、彼らが売っているのは、実は車ではなくジャパニーズソウルであることに気づかされました。トヨタをトヨタたらしめるものは、生産管理や品質管理を日本人が行うという、日本人のパーソナリティに起因するところが大きい。オーマイグラスも、そこを競合優位性にして世界一をとりにいきます」

オーマイグラスは、今年1月にはW+Kがブランディングを手掛ける独自ブランド「type」を発表。日本国内で生産されるフレームの90%以上のシェアを誇るメガネの一大産地である鯖江でつくられたもの。今回の追加資金調達も、300工程から成り、150日間を要するというメガネ製作プロセスの効率化などに使われる予定です。

メイドインジャパンのメガネを掲げ、オーマイグラスがメガネのグローバル市場でナンバーワンの座に輝く姿をぜひ見届けたいと思います。それがそう遠くない未来であることを願って。

 

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