静かに急成長を遂げ、ドイツ最大級のゲーム企業となった「Goodgame Studios」とは?

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上: Goodgame Empire はモバイルゲームのタイトル。 Image Credit: Goodgame

Goodgame Studiosという名を耳にしたことがある人は少ないかもしれないが、ハンブルクにあるこのゲームスタジオはドイツ最大のゲーム企業の1つで、2014年には2億200万ユーロ(2億2000万米ドル)もの収入を上げている。また、Goodgame Empireと同じく2億4500万のオンライン・モバイルゲームユーザを誇る。2014年末の従業員数は1168人で、前年より92%増加した。現在は1200人を超えている。

現在同社は、無料で遊べるモバイルゲームの世界的なプレイヤーになろうとしている。

Goodgameは、ともに博士号を持つがそれぞれの専門に飽きてしまった2人の兄弟(とFabian Ritter氏)によって始められた非上場企業である。CEOのKai Wawrzinek氏は法律のPhD、COOである弟のChristianは歯科矯正学の博士号を持つ。2009年、2人はゲーミングの方が面白いと考えた。1995年にゲームスタジオを設立した2人の医師Ray Muzyka氏およびGreg Zeschuk氏とまさに同じだ(当時のBioWareは現在ではEAのグループ企業となっており、両医師は会社を退いている)。さらに何人かの博士がゲーム開発に必要となったため、2人はまずオンラインポーカーなど無料で遊べるゲーム作品を作るために会社を設立した。シード資金50万ユーロからのスタートだった。

GamesBeatが行った独占インタビューでKai Wawrzinek氏は、次のように話した。

私たちはドイツのゲーム会社ですが、世界のすべての企業と競合していると考えています。私たちは単にKabamやSupercellと競っているわけではありません。ActivisionやUbisoftとも競合しています。10年後までにはゲーム企業のトッププレイヤーになることを目指しています。

Above: Brothers Christian (left) and Kai Wawrzinek of Goodgame Studios Image Credit: Goodgame
上: Goodgame Studiosを設立した兄弟、Christian (左) と Kai Wawrzinek
Image Credit: Goodgame

2014年の収入は、2013年の1億260万ユーロ(1億1652万米ドル)に比べて、97%も上昇した。利息、税金、償却費(EBITDA)以外の収益は、2013年の1340万ユーロ(1460万米ドル)と比べて2014年では3480万ユーロ(3790万米ドル)であった。

成長はGoodgame Studios(正式名称Altigi GmbH)にとってあまりにも速いものであり、2015年には400人の新規雇用を見込んでいるとKai Wawrzinek氏は述べた。従業員の約3分の1は女性で、他のゲーム企業よりも女性比率が高くなっている。

Goodgameは2015年に新製品のローンチと国際展開に注力する予定だという。しかしモバイルゲームには世界最高収益を記録したEmpirire: Four Kingdomsのような大きな成功事例がいくつかある。昨年、マーケットでのGoodgameによる11ゲームの登録プレイヤー数は2013年の1億7000万人から2014年には2億4500万人に増加した。Kai Wawrzinek​氏は述べる。

当社の収益が着実に増加していることは、当社のビジネスモデルが持続可能な成長を可能にしていることを示しています。ゲーム開発とマーケティングにおいて当社ではデータに基づくアプローチを追求しており、これによってコンスタントな最適化とスケール可能なオペレーションが実現できています。

Above: Goodgame Studios headquarters in Hamburg. Image Credit: Goodgame
上:ハンブルグの Goodgame Studios 本社
Image Credit: Goodgame

GoodgameのCOOであるChristian Wawrzinek氏はインタビューの中で、最高の人材の雇用に力を入れることが成功には不可欠と述べている。同社に就職を希望する人が採用される割合はわずか2%である。ハーバード大学の合格基準より厳しい。

同社は、様々なジャンルに注力するプロダクションスタジオを社内に設置した。この社内プロダクションによって、新作をより速く効率的に開発したり、様々なプラットフォーム向けに洗練された中核的なゲームプロジェクトを行ったりすることも可能になるとChristian Wawrzinek氏は述べた。同氏は続ける。

当社の戦略的・長期的な目標に関して言えば、当社は世界中の様々なゲーマーの好みに対応できるよう包括的な製品ポートフォリオをユーザに提供していきたいと思っています。同時に、無料でプレイできるというディスラプティブな原則を堅持して、その原則を完璧なものとしていきます。急速に変化するゲーム業界において、無料で遊べるゲームは最大の市場ポテンシャルがあると信じています。

Above: Goodgame Studios’ results Image Credit: Goodgame
上: Goodgame Studiosの成長を示す数字
Image Credit: Goodgame

Goodgameは小規模なゲームスタジオを東京とソウルに開設しアジアに進出しており、アジアでの存在感を強めるためにさらなる採用を計画している。また、中国のオンラインゲーム市場で成功を試みたが非常に難しく、うまく行かなかった。そこでGoodgameは、中国ではQihoo 360と提携した。

「本来、これらの市場を理解して参入するのは、とても難しいです。現場に自ら行く必要があります」とKai Wawrzinek氏は語った。

同社の最も人気のあるゲームは、Goodgame EmpireとEmpire: Four Kingdomsだ。後者の登録ユーザ数は4000万人だ。

Kai Wawrzinek氏は2002年から弟とウェブサイトの開発や買収を行っている。彼は2003年にウェブサイト向け初のM&A企業を設立した。

会社設立にあたり、Wawrzinek兄弟はビール片手にクレイジーなアイデアを議論するため週に1回集まった。Kaiは最初のゲームでプログラミングを行い、Christianはアートを担当した。2人は10名から成るチームを組成し、2009年末に最初のオンラインポーカーゲームをローンチした。

「私たちはある程度リスクを取りました。でも多くはなかったです。キャッシュフローが大きく変動しないように努めました」とKai Wawrzinek氏は述べた。

Above: Goodgame Studios in Hamburg Image Credit: Goodgame
上: ハンブルグのGoodgame Studios
Image Credit: Goodgame

2010年、2人はさらに有能な人材を求めて従業員8名の小企業を買収した。2011年には資金調達ラウンドを実施。2012年までに収益は3000万ユーロ、2013年までに1億ユーロとなった。昨年の全収入の46%はモバイルゲームからのもので、今後の主たる注力分野である。

現在同社のライバルには、Clash of Clansを制作したSupercell、Candy Crush Sagaを制作したKing、Game of War: Fire Ageを制作したMachine Zoneのようなメガヒットメーカーがいる。これまでのところ、Goodgameはドイツ、中央ヨーロッパ、アメリカで力強く成長した。

「私たちの哲学は特別です」とKai Wawrzinek氏は言う。「ひとつのヒットに頼ることはできません。リソースを広げなければなりません。私たちは長期的にみて、それは平坦化するだろうと考えています。私は競合他社より20倍も多い収益を上げることは不可能だろうと考えています」

1200人の従業員は多くのゲームスタジオに分かれて、各チーム10から15名で開発にあたっている。一部はカジュアルな作品を専門に扱い、残りはゲームエンジン、Unreal Engine 4を使いながらモバイル向けのハイエンド作品の開発にあたっている。Goodgameは、様々なゲームジャンルにゲームを展開している。Kristian Wawrzinek氏は、チームを酷使せず、多くのプロジェクトを抱え過ぎないことが大事だと述べている。彼は、長期にわたって何かを開発したいと思っている。

「私たちは何がうまくいき、何がうまくいかないかを知りたいのです。最初から無料でプレイできる仕組みはシンプルに見えますが、実は現実の世界の仕組みのように、非常に複雑です。ですが、ほとんどの人がこの複雑さを軽視していると思っています」とChristian Wawrzinek氏は語った。

Above: Character design at Goodgame Studios in Hamburg.
上: キャラクターデザインの現場。ハンブルグの Goodgame Studios にて。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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