イタリアの共同購入型サービス「Groupon Viaggi」からみる、オンライン旅行サービスの可能性

観光業界の国際見本市「Bit.2015」に出展したGroupon Viaggi
観光業界の国際見本市「Bit.2015」に出展したGroupon Viaggi

グルーポン(Groupon)は、2008年、米シカゴで創設され、2010年に米国外へ進出して以降、世界48カ国で展開する代表的な共同購入型クーポンサービス。購入希望者が一定数以上にまとまることで、グルメ・ショッピング・旅行など、様々な商品・サービスを格安で購入できるというものです。

観光立国イタリアでは、2010年の参入と同時に、観光・旅行向けのクーポンサービス「Groupon Viaggi」が開設され、初年度だけで9億枚のクーポンを販売しました。その後も、大手旅行予約サイト「Expedia.it」との提携により1000社以上のデータから検索できる「Groupon Marketplace」や、申込時点で予約を確定する「Booking Calendar」など、新たな機能を随時追加し、より多くのユーザーの獲得に努めています。

2015年2月、伊ミラノの観光業界向け国際見本市「Bit.2015」で講演したGroupon ViaggiのAngela Avino(アンジェラ・アヴィーノ)氏によると、2014年第四四半期時点で、Groupon Viaggiのユーザーは、35歳以上が全体の9割を占め、男女比率はおよそ2:3。カテゴリ別にみると、宿泊施設の予約が94%で最も多く、次いで航空券予約が59%で、ユーザーの平均支出額は2,650ユーロ(約34万6000円)となっています。

観光業界の国際見本市「Bit.2015」で講演するGroupon ViaggiのAngela Avino氏
観光業界の国際見本市「Bit.2015」で講演するGroupon ViaggiのAngela Avino氏

Groupon Viaggiに限らず、オンライン旅行サービスを通じたホテルの予約や航空券の手配は、広く普及してきました。Groupon Viaggiのユーザー層よりも若い18歳から34歳までの米国人750名を対象とする、旅行情報メディア「Skift」の調査によると、「昨年、従来型の旅行代理店を利用した」と回答したのはわずか1割にとどまっています。

また、旅行業界に特化したデータ解析企業「Boxever」とSkiftの共同調査では、対象者の40.1%が「実際に予約する前に、3〜5種類のオンライン旅行サービスを利用する」とし、24.5%が「2種類のサービスを利用する」と回答。つまり、オンライン旅行サービスの利用者の約3分の2が、複数のオンラインプラットフォームを利用し、価格やアメニティなどを比較した上で、購入するものを選択していることがわかります。

イタリアは、観光産業が盛んな国のひとつ。世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)によると、イタリアの観光・旅行業界が国内総生産(GDP)に占める割合は2013年時点で10.2%となっており、今後10年間、年平均成長率2.2%のペースで拡大していく見込みです。

共同購入型モデルを観光・旅行分野に応用し、比較的高い年齢層のユーザーを獲得しているGroupon Viaggiのように、様々なオンライン旅行サービスが生まれ、販売チャネルやプロモーションチャネルが増えることは、イタリアの観光・旅行業界全体の拡大や発展にもつながることでしょう。

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