ハードをやるなら深圳は無視できないーーハードウェアアクセラレータ「HAXLR8R」ゼネラルパートナーがDMM.make AKIBAで語る

by Junya Mori Junya Mori on 2015.4.23

「Android の父」と呼ばれるAndy Rubin氏がハードウェアスタートアップを支援するインキュベーター「Playground Global」を立ち上げたことが話題となった。

だが、アジア圏にはそれよりも前から数々のプロダクトを世に送り出してきたハードウェアスタートアップのアクセラレータである「HAXLR8R(ハクセラレータ)」が存在している。

今回、HAXLR8RのゼネラルパートナーであるBenjamin Joffe氏が来日し、パネルディスカッションが開催されると聞きつけ、DMM.make AKIBAへと足を運んだ。

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ハードウェアスタートアップのトレンド

HAXLR8RゼネラルパートナーBenjamin Joffe氏
HAXLR8RゼネラルパートナーBenjamin Joffe氏

Benjamin氏は日本、韓国、中国に計15年以上は足りてい過ごしている人物。2年前にハードウェアスタートアップに出資をする「HAX」を立ち上げ、これまで65社に投資を実行してきている。クラウドファンディングを活用しているプロダクトが多く、これまで28社がクラウドファンディングを活用している。「HAX」が投資しているハードウェアの分野は、ロボティクス、スマートフォン、ヘルスケア、センサーなど様々だ。

Raspberry Pi、Arduino、3Dプリンタ、スマートフォンなど、以前とくらべてプロトタイプの作成は容易になった。中国でもどこかで見たことのある商品が、品質はなかなか良い状態で安く売られていることもあるという。

Benjamin氏は、同じカテゴリの商品を作る会社はひとつではないことを、数々のプロダクトを”模倣”していることでも話題になるハードウェアの成長企業Xiaomi(小米)に紐づけて「xiaomization」と呼んでいた。ハードを作りやすくなったがゆえに、こうした問題も浮上してきている。

ハードウェアスタートアップにとって重要なのはハードウェアだけではなくソフトウェアも合わせて開発すること。そこで差別化を図っていくことは「xiaomization」を防ぐことにもつながる、そうBenjamin氏は語る。

Benjamin氏は、ハードウェアのトレンドとして、ペットやスポーツ、ヘルスケアなど特化型ウェアラブルデバイスの増加。Makerbotの10倍の早さでプリンティング可能な「Kast」といったプリンタが出てくるなど3Dプリンティング技術の進歩、新しいマテリアルの利用、スマートロックやスマートライトなどスマートホーム、マスマーケットになってないもののARやVRの領域、ロボティクスの中でも特にローコストで開発可能なデスクトップロボット、義手や義足といったバイオニクスといった領域について紹介した。

ハードウェアスタートアップへの期待

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Benjamin氏のプレゼンが終了した後は、「ABBALab」設立者でNOMAD代表取締役の小笠原治氏と、家電ベンチャーCerevoの代表取締役の岩佐琢磨氏を交え、3名でパネルディスカッションが行われた。

小笠原氏:日本からハードウェアスタートアップが生まれるとしたら何を作ってもらいたいとかあります?

岩佐氏:日本にはバイクをやってほしいですね。自動車はもうテスラ・モーターズというプレイヤーが登場してしまっているので。後からそこにいくのはイケてない。ただ、バイクはまだプレイヤーが確立していないので、電気バイクにかぎらず、新しいバイクづくりに取り組んでくれるプレイヤーが表れてほしいですね。

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Benjamin氏:日本には優れたエンジニアやデザイナーがいるので、もっとハードウェアスタートアップが生まれてほしいと思います。車はお金がたくさんかかるので難しいですが。

岩佐氏:僕は日本のハードウェアスタートアップにこだわっているわけではないのですが、日本はハードウェアにかぎらず、スタートアップする人が少ないですよね。それがハードウェアになるともっと少ない。

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小笠原氏:でもハードウェアのスタートアップって、ソフトウェアのスタートアップに比べて周囲から叩かれにくい印象がありますよね。

岩佐氏:そうですね。「コレを作って売っているんだ」と話ができると、虚業だと言われにくいですよね。そういう意味では日本人に向いていると思います。

小笠原氏:「IoT」という言葉って日本だとバズワード化してしまっていてネガティブな意味になることがありません?

岩佐氏:あ、でも中国のイベントに行って、工場の人達に話をしても、「IoT」って単語は通じなかったんですよ。

小笠原氏:そうなんですか。台湾に行くとみんなIoT、IoTって行ってて単語の意味は通じましたね。

Benjamin氏:IoTも言葉の意味が幅広いですからね。

ハードウェアをやるなら深圳

Benjamin氏:深圳には電子部品の大きな市場があって、香港と深圳付近には数多くの工場もあります。かなりモノを作りやすい環境になっているので「HAXLR8R」では深圳で開発して、サンフランシスコでデモデイを開催しています。

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岩佐氏:深圳はマスプロダクションが出来る街だと思います。秋葉原はプロトタイピングの街なんですよね。量産用の部品がなかなか売っていない。だから、日本で作ろうとすると、量産を考慮していないプロトタイプになってしまう。そうすると、マスプロ用のモノを作るタイミングで設計し直さないといけないこともある。最初から深圳で作っていると、その一手間はありません。一気にマスプロまで走れる。

Benjamin氏:その点は深圳のメリットですね。

岩佐氏:そう。あとは向こうの工場の人たちはとにかくリアクションが早い。展示会で会うと翌日工場に行ってもいいか?と聞くと、もちろんだ、と言われて、明日何時にくるんだ、朝飯は食ったのかなどWeChatで連絡が来る。工場を見学に行くと、データはいつくれるんだ?24時間以内に見積もりするぞ、とかなりグイグイくる。そうなると物事が進む速度が違いますよね。


話を聞いていると、ハードウェアスタートアップを立ち上げようと考えている人たちは、日本だけを見ているわけにはいかないことが伝わってきた。深圳、香港、台湾といったエリアとモノを作り、北米や欧州をマーケットとして見る目が必要になる。

日本からもSassorのように「HAXLR8R」に参加した企業もいる。ハードウェアスタートアップの立ち上げを検討している人は、ぜひ「HAXLR8R」の情報もチェックしてもらいたい。以下は「HAXLR8R」が公開している2015年のハードウェアトレンドのスライド資料だ。

Hardware trends 2015 from Cyril Ebersweiler

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