Fintech Challenge は、三菱東京UFJ銀行が今年から開催する、fintech に特化した技術・ビジネスモデル・サービスに関するコンテストだ。3月19日にキックオフ・イベントが開催され、それから約3ヶ月にわたって、次の2つのテーマに沿って、アイデアの募集が行われてきた。
- テーマ1:新モバイルサービス・Webプロモーション方法
- テーマ2:個人のお客さま向けの新しい決済サービス
19日、都内で Fintech Challenge のデモデイが開催され、テーマ1では Lucidreal、テーマ2には Freee がそれぞれ大賞を獲得した。大賞には副賞として、三菱東京UFJ銀行からそれぞれ事業支援金250万円が贈られた。
Lucidreal は、子供に対するお金の教育を念頭に、子供がお金を使い始める年齢から、お金の価値を身につけることができるサービスを企画。また、Freee は郵送などで受け取った請求書や明細書をスマホで撮影するだけで、モバイルから手軽に支払が行えるサービスを考案した。
三菱東京UFJ銀行は今後、コンテストに応募されたアイデアのビジネスとしての実現性を検討し、スタートアップとの協業の可能性を模索する。
大賞受賞者以外のファイナリストの顔ぶれやアイデアは次の通りだ。なお、アイデアについては、将来、実際にサービスの元にする可能性があるとの観点から一般公開されておらず、抽象的な紹介になることをご了承いただきたい(アイデアの知的所有権は、三菱東京UFJ銀行と応募したスタートアップが共同で保有する)。
- テーマ1 における優秀賞:One-on-One(副賞として、事業支援金50万円を授与)
- テーマ2 における優秀賞:RKPJ(副賞として、事業支援金50万円を授与)
- ネットワーキング賞(協賛:アクセンチュア、電通国際情報サービス、キャップジェミニ): MoneyTree、JThird、One-on-One
- 事業支援賞(協賛:PRTimes、マイクロソフト):Finatext、Lucidreal
- プレゼンテーション賞(協賛:日立製作所、キヤノンマーケティングジャパン):ZUU
- Fintech Challenge 特別賞(協賛:ヒューレットパッカード、日本IBM、シスコシステムズ):マッシュルーム
- 審査員特別賞:jThird
テーマ1:新モバイルサービス・Webプロモーション方法

- 想いも貯まる 結婚から始まるライフイベントを支える新しいカタチ(elephant design)
結婚式を機に銀行が寄り添い、生涯の良きパートナーとなれるようなサービス。
- Cloud Safe: Passwords(Moneytree)
さまざまなウェブサービス毎に、たくさんのIDとパスワードを覚えるのは大変。この問題を解決する便利なアプリ。
- 「ゴール銀行」変わる、貯金体験(One-on-One)
思うように貯金ができない若い人が多い。ゴールを設定し、みんなで楽しみながら貯金ができる仕組み。
- 「FUNDECT」お客さまの投資活性化アプリ(Finatext)
投資に興味はあるものの、実際に始めるきっかけが無いという人向けに、きっかけ作りをするアプリを提案。(Finatext の関連記事)
- 「どこでもタイムマシン」 Web3D による仮想体験コンテンツ(by jThird)
銀行の支店の待ち時間を顧客に楽しんでもらうため、3D&VR を活用したコンテンツを提供。
テーマ2:個人のお客さま向けの新しい決済サービス

- 街じゅうの支払いを便利にする「BTMU・ポンクウォレット」(ponq)
個人間送金、加盟店支払、カスタマーロイヤリティプログラムを併せ持つモバイルウォレット。
- スマホで決済 with Flashtouch(マッシュルーム)
ディスプレイの光と静電容量を組み合わせ、ディスプレイと端末の双方向通信を実現。これを用いたスマホ決済を提案。(マッシュルームの関連記事)
- 「トリモチ」 小額現金の貸し借りをスムーズに行えるサービス(RKPJ)
個人同士、銀行と顧客など、言い出しづらいお金に関するコミュニケーションを、トリモチとうキャラクターを通じてインターネット経由で実現。
イベント後の会見で、記者の質問に応じた三菱東京UFJ銀行専務取締役の村林聡氏は、次のように語った。
三菱東京UFJ銀行専務取締役 村林聡氏 保守的な組織と見られがちな銀行だが、その中でも最初にこのような活動をやったというのは、本行の強みだと思う。他の金融機関の追随もあるだろうから、そういう意味では競争。ITの世界はコモデティ化が速いので、我々もこういうイベントやシリコンバレーのオフィスを通じた情報収集を積極的にやっていきたい。(中略)
今回応募された中には無かったが、審査員からも指摘があったのは、fintech は日本の高齢化社会に貢献していくのが流れだと思うので、今後、回数を重ねていく中で、高齢化社会をテーマにしたアイデアの提案が増えてくることを期待したい。
また、Fintech Challenge のような機会に限らず、三菱東京UFJ銀行として、スタートアップからのアイデアや協業の可能性を受け付けられる状況を常態化できるようにしたいとし、投資としてではなく同行がやりたいことにあわせて、インキュベーションなどの活動も手がけてゆく可能性があると語った。
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