大学がテック企業と提携するべき理由

Vivek Wadhwa氏はスタンフォード大学のRock Center for Corporate Governanceの特別研究員で、デューク大学のCenter for Entrepreneurship and Research Commercializationの研究委員長であり、またシンギュラリティユニバーシティの特別評議員である。同氏の過去の役職には、ハーバード大学ロースクール、カリフォルニア大学バークレー校、およびエモリー大学がある。

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大学には選択肢がある。産学協同の道をとるか、もしくは最高の頭脳が去るのを見つめていくのか、という。プライドを呑み込んで産業界と連携していくのが、無関係でいるよりもより良い選択だ。

バージニア大学学長Tom Katsouleas氏は、かつてこう語っていた。彼の予想によれば、商業化される基礎研究は1%以下であり、短期で商業化されるのは基礎研究費1000万米ドル毎にわずか1つあるだけだと。これは多大な経費の無駄である。特に、アメリカでは業界全体で古い産業が消え、新しいものが次々と生まれているからだ。

企業の幹部らは、このテクノロジー革命の混乱を生き延びるために何をすべきかわかっていない。Clayton Christensen氏のイノベーションのジレンマのような、彼らが訓練を受けてきたイノベーションのモデルですら機能していないからだ。競争はもはや業界内では生まれない。競争はどこか他のところから来て、合成生物学やナノテクノロジー、ロボット工学のような分野には、その領域の専門家がいないため、多くの企業はこうした新しい脅威に対してどう反応すればよいのか見当がつかないのだ。

しかしながら、大学には専門家がいる。コンピューティングや医療、センサー、人工知能、デジタル製造、ロボット工学、ナノ材料、合成生物学などの分野で数十年に及ぶ政府の基本的研究への投資の結果、大学には才能と知的財産が豊富にある。これは産業にとって宝の山だ。長く苦しい期間にある企業や新市場への拡大を試みている企業は、たいていスタートアップを買収しようとしたり、研究大学と提携を結ぼうとしたりする。中には、必要なものだけ取る者もいる。結局のところ、知的財産や才能を獲得するのに大学よりも良い場所はあるのだろうか?

Uberは緊急に自動走行車を構築したいと望み、今年1月にカーネギーメロン大学から40名以上の研究員を引き抜いた。Uberにとっては、良い存在であることや倫理はどうでもよかった。自分に必要なものを取ったあとに、大学にはロボット工学学科長および3つの特別研究員への奨学金に550万米ドルという比較的小さな支援を提供した。Appleは、iPhoneやiPadにウィスコンシン大学マディソン校発のマイクロチップテクノロジーを無許可で使用したとして有罪になり、2億3400万米ドル以上の賠償金の支払いを命じられた。今後数年以内でこのようなことがさらにあると思われる。大学が協力しないのであれば、企業は可能な限りの手段を取るだろう。それだけ彼らは必死なのだ。研究員を保持するためにも、学問の世界は業界と連携することに対する従来からの嫌悪感を捨てる必要がある。

大学は、スタンフォードやMITが人工知能や自動運転技術の研究にトヨタから5000万米ドルを受け取って提携を結んだように、共同で技術を開発するために業界と提携した方が有利である。Uberとの協働の数ヶ月後、カーネギーメロン大学はGoogleとも提携を結び、インターネット接続のセンサーやガジェット用にキャンパスをリビングラボとして開放した。トヨタのような企業は他の業界から出てくる技術に不意打ちを食らい、Googleのような明確なビジョンを持った企業は、自分達だけですべてのことはできないと悟った。だからこれは双方にとって有利な戦略である。

企業に新たな技術を教え、かつ企業に研究・商品化の取り組みに資金調達をしてもらえるようになる大きなチャンスが存在している。もし大学が、伝統的な学問の自由という理想や、産業と学問は分けるべきと考える神聖さについて、真剣に考え直すことができればだが。

産学連携は、学術研究に対して減少しつつある財政援助を埋め合わせることも可能だ。それはファウスト的契約である必要はない。Googleとカーネギーメロンの提携がそうであったように、提携が有意義な形で形づくられれば、両者ともに恩恵を受けられる。結果として、Googleは大学研究員の引き抜きをすることはなかった。研究資金を提供し、キャンパスで試験を行っているのだ。

スタンフォード大学は、この点にかなり前から気付いていた。(開示:私はスタンフォード大学のRock Center for Corporate Governanceの特別研究員である。)大学の教職員は密接に業界と協働することを促され、こうした共同研究は、GoogleやHewlett-Packard、Cisco Systemsなど企業の形成を伴って、シリコンバレーで大規模な革新につながった。これはまた、億万長者の卒業生たちによる200億米ドル以上の寄付金にもつながった。

今のチャンスは、アメリカの改革を加速するためにも、大学が持つ知識や才能の宝の山を利用することだ。大学も業界も利益を得られる。それは、大きな利益だ。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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