編集部注:「隠れたキーマンを調べるお」は、国内スタートアップ界隈を影で支える「知る人ぞ知る」人物をインタビューする不定期連載。毎回おひとりずつ、East Venturesフェローの大柴貴紀氏がみつけた「影の立役者」の素顔に迫ります。
家入一真氏、佐藤健太郎氏などと共にGMOペパボを経営し、一昨年退任された吉田健吾氏。その去就が注目される中、彼が次のステージに選んだのが飲食店向け予約台帳サービスのトレタでした。トレタを選んだ理由やその後の活動。トレタ代表取締役の中村仁氏と家入氏との共通点などについてトレタ取締役の吉田健吾氏に話を伺ってきました。
大柴:ごぶさたしてます。今日はトレタの隠れたキーマンとして取材にきたのですが、隠れてはないですよね(笑)。でもトレタ参画の理由とかその後の活動についてはあまりオープンになってないような気がして「隠れたキーマン化」してるんじゃないかと。単純に僕もその辺を伺いたいと思いましてやってまいりました。
吉田:なるほど、よろしくお願いします。
大柴:トレタに入ってどのくらいになるんでしたっけ?
吉田:1年半くらいかな。
大柴:ペパボの役員の退任発表があったのが一昨年の2月ですよね。ちょうど僕も前の会社を辞めて転職活動、就職してた時で。
吉田:ゼネラリストについて話したりしましたね(笑)。取締役退任の開示が出てからたかのり(大柴)さんに会ったり、元同僚に会ったり、知り合いの会社に遊びに行ったりしていました。200人くらいに会ったかなぁ。たくさんの人に会おうと。普通に面接受けたりもしてました。
大柴:awabarの臨時店長なんかもしてましたね(笑)。
吉田:懐かしい。友達がたくさん来てくれて嬉しかったですね。
大柴:たくさんの人に会い、たくさんの会社を見て、その中の一つがトレタだったわけですね。
吉田:中村(トレタ代表取締役の中村仁氏)から突然メッセがきたんです。中村とは豚組で一度挨拶した程度で。突然のメッセで驚きました。
大柴:どんなメッセだったんですか?
吉田:「COOを探してるのでぜひ」と。
大柴:ストレートですね。
吉田:いくつかオファーをもらったりしてましたけど、こんなストレートなオファーは他になくて。
大柴:なるほど。
吉田:それでトレタのメンバー含めた4人で食事をすることになりました。プロダクトの紹介をされたのですが、めっちゃよくできてるなぁって思いました。それにもらった名刺に○が3つ描いてあって。「この○は何ですか?」と質問したところ「三方良し」の意味らしくて。自分としては「三方良し」のサービスをやりたかったんです。
大柴:ほうほう。
吉田:あと、いろんな人に会いながら「次に何しようかな?」ってずっと考えていたんです。これまではインターネットの中のサービスをやっていた。次の10年はもうちょっと遠いとこ。インターネットとリアルの接点あたりをやろうと思ったんですよ。飲食関係は考えてなかったけどちょうど良いなぁと。
大柴:「三方良し」の考え、やりたいサービスの場所がハマったわけですね。
吉田:そうですね。あとはトップとの相性ですね。
大柴:それは重要ですよね。
吉田:優先順位一番かもしれないなぁ。自分が入った時にパキっとハマるかが大事で、そうじゃないとバリューを発揮できない。会社ができつつあり、プロフェッショナルが揃っている時期ではバリューを発揮できないと当時は思っていて、その頃のトレタがその前の時期でした。ただそれ以上にトップとの相性が重要だと思っていて事業面、トップとの相性の両輪がハマった。
大柴:なるほどなるほど。ところで社長の中村さんはどんな方なんですか?初対面の印象は?
吉田:なんていうか…かわいいというか…。
大柴:「かわいい」(笑)。
吉田:なんていうか、チャーミングだなぁと。そのオファーもらった後の食事の場でワインをこぼしてた(笑)。おっちょこちょいなところがあるんです。まぁそういう一面もあるというか。一方でその時に事業の説明をされたんですけど、言葉にすごく説得力があって、さらには資料がめっちゃきれいで。「デザインがわかる人だ。ものを作れる人だ」って思ったのを覚えています。
大柴:なるほど。
吉田:家入さんにわりと近いタイプだなって感じました。いや、家入さんよりよっぽどちゃんとしてるけど(笑)。直感が鋭くて、いろんな情報から直感的に動く。ゼロイチタイプだし、思い込み力がすごい。なんだかんだ言って家入さんタイプは自分とは相性が良いと思ってるし、中村とも相性の良さを感じましたね。小笠原さん(さくらインターネットフェロー、小笠原治氏)から「身勝手なアントレプレナーと相性が良い」とも言われました(笑)。
大柴:なるほど(笑)。社内では中村さんはどんな感じなのですか?
吉田:さみしがりやでせっかち。喜怒哀楽はわりとある方で独り言が多いですね(笑)。あと、シャイかな。でも言わないといけない場面ではきちんと言える人です。
大柴:一方けんごち(吉田)さんの役割としては?
吉田:入った頃は中村がやらない「社長業」を巻き取りました。プロダクトに関しては口を出さず、管理系やセールスマーケティング部門を見てました。
大柴:リアルなセールスってのはペパボにはあまり無いじゃないですか。
吉田:そうですね。実際やってみてすごく面白いです。営業同行することもあるんですが、リアルな反応というか。セールスが実際に店舗に行ってデモをしたら「おぉー」ってお店の人達から拍手をもらったり。とても新鮮だし、嬉しいなぁって思いましたね。
大柴:最後にこれからの目標みたいのを教えてください。
吉田:今はとても良い感じの状況。良い感じでまわってるんですが、作りたいもの、やりたいことが戦線拡大してるので人が足りないですよね。今の良い感じを保ちながら組織を拡大していきたいので、その辺をやっていきたいですね。
大柴:なるほど。
吉田:人を増やすこと自体にはあまり興味ないんですけど、10年、20年続く会社にしていくために組織の成長も必要だし、それを担う人達は必要なんですよね。そんな人達とちゃんと続いていく事業を作っていきたいです。
大柴:良いですね。
吉田:「トレタ」は飲食店におけるアナリティクスになりうると思ってるんです。トレタを使うとお店が繁盛していく。それくらいのポテンシャルはあると思ってます。インターネットとリアルの接点でエキスパートを目指していこうと思います。
大柴:今日はいろいろお伺いできました。ありがとうございました!
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