
読者の中にはすでにどこかで見かけたという人もいるかもしれないが、中国版ロボコップが発表された。中国国防科学技術大学(National University of Defense Technology)が開発した、ずんぐりした卵型の「AnBot」だ。残念ながら、外見はロボコップではない。こんな感じだ。
だが、以下のような優れた機能を持っている:
- 最高時速18キロで移動
- 人命に影響を与えずに「暴動の取り締まり」を行うための、遠隔で動作する テーザー型電子武器を装備
- 自己ガイド式パトロール機能
- 警察に通報する非常ボタン
- 「助けて」と叫ぶ声を検知すると警察に通報するスマート・モニタリング機能
- 自動充電
- 「環境モニタリング、生化学物質検知、爆発物処理」のための選択式モジュール
言うまでもなく、今回の発表は国内外においてやや冷ややかな目で迎えられた。例えば Shanghaiist では、犯罪者や暴徒が階段を使えばこのロボットは脅威にもならないだろうと指摘されている。さておき、Tech in Asia では、危険な状態にある市民を助けようとする AnBot の映像を独占的に入手することができた。
ジョークはさておき、こうしたものを見ると私は恐ろしいと感じてしまうが、それはおそらく読者諸氏が考えるような理由からではない。
警察ロボットに関する懸念として考えられるのは、たいていの場合ある種の悲惨な結果を招いてしまうということだ。映画『エリジウム』に出てくるロボットをつい考えてしまう(この映画を見たという物好きな人ならわかるだろう)。
しかし現時点で私の関心事はまったく違うところにある。この種のテクノロジーが現れると、怠惰な当局は、人件費を節約するために犯罪の少ない地域では警察官をこういった陳腐なロボットで置き換えてしまおうと考えるのではないか、というものだ。そして実際に何かが起こった場合、緊急事態への対応を訓練し、判断力も持っている人間を配置するのではなく、代わりに階段すら登れないような卵型の Siri に頼ろうというのだ。
それでも、何もないよりましとも言える。既存の警察の力を増強するためにロボットを用いるというのなら現実的な問題はないだろうが、その可能性はおそらく低いだろう。むしろ、経費を削減するために、何の問題も発生しないだろうとたかをくくる中間管理職はいつの時代も存在するものだ。しかし何か不都合が起きた時、実際には道路で血を流して倒れている人を助けることができない間抜けなロボットに「助けて!」と叫ぶのは、罪もない一般市民なのだ。
事実上あらゆる仕事を自動化しようとする時代が来ている。セキュリティや警察の仕事も例外ではない。しかし特にこの種の仕事に関しては、ロボットが本当に人間の代わりとして機能することが確実になるまで、ロボットに責任を押し付けるのには慎重であるべきだと思う。役立たずなウェイターロボットなら、誤作動したり設計が貧弱だったりしてもオーダーミス以上の失敗は起こりえないが、緊急事態に直面した時に失敗したり対処できなかったりする警備ロボットとなれば、生死に関わる問題につながりかねない。
つまりこういうことだ。ロボットが本当に、人間の警官の代わりを十分に務められる状態になるまでは、そのようなことはすべきではない(AnBot が警官の仕事を代替できるほど優れたロボットではないことは実に明白だ)。
【via Tech in Asia】 @TechinAsia
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