世界の主要メッセンジャー11の攻略法ーーメッセンジャー向けにサービスをつくる上で知っておくべきこと

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WhatsApp、Telegram、Facebook Messengerなど、世界の主要なメッセンジャーアプリはそれぞれユーザーに対するアプローチ方法が異なる。そのインターフェイス、機能、注力している部分などがそれぞれ違うのだ。

メッセンジャープラットフォーム上で人気の会話アプリ、サービス、ボットを開発するためには、それぞれのプラットフォームの特徴を理解しておく必要がある。

世界の主要メッセンジャーアプリ11について、そのエリア、年齢、消費者向け・職場向け、コミュニケーションスタイル、メッセージング機能などを以下に比較してみた。

1. Slack

Slackの特徴はなによりも職場のコミュニケーションツールであるということ。だがその美しいユーザーインターフェイスから、カスタマーサポートやオンラインコミュニティ、現実世界のソーシャルグループのコミュニケーションに使われることもある。

Slackは早くからオープンプラットフォームになる関心が強く、ボットを歓迎するようになってからもしばらく経つ。ボットをサポートする初代メッセンジャーチャネルの一つであり、また米国と欧州で人気なことから、多くのボットのテストに使われてきた。

主なユーザー:広範囲にわたるが主に職場の人
主なエリア:米国、世界
面白い機能:チャンネルとグループが中心で、1対1のコミュニケーションに注力していない。ダイレクトメッセージも主要な機能の一つだが。ボタン機能も限定的にサポート。
アプローチ方法:職場ユーザーに便利な機能に注力するべき。エンターテイメントや職場に無関係のボットには適さない。
その他の特徴:Slackのプラットフォーム上向けのボットを開発する企業向けにベンチャーファンドも運営している。言語処理技術への投資も始めている。

2.Facebook Messenger

Facebook Messengerは世界で10億のユーザーを持つメッセンジャーアプリ。

主にプロモーション、エンターテイメント、情報提供の目的で現在よく使われている。メッセンジャー上のダイレクトサービスやFacebookの決済システムを統合したeコマース取引によって、容易にマネタイスできる可能性は大きい。

ボタン付きの画像リスト「体系的メッセージ(Structured messages)」は良いユーザーエクスペリエンスの提供のために重要なものとなっている。Facebook自体が研究グループを立ち上げたりWit.aiを買収するなどして、機械学習に大きく投資している。自然言語は主要な役割を担うことになるだろう。

主なエリア:米国、カナダ、欧州などの先進国。世界的にも人気。
メッセージング機能:ユーザー同士。ボットや会話アプリはグループでは今のところ使えない。
アプローチ方法:特に北米では、消費者向けアプリケーションを使うにはすばらしい場所だ。今のところ、賢い体系化されたメッセージは最高のユーザーエクスペリンスを提供しているが、会話ツールが良くなればこの点も変化するだろう。

3. WhatsApp

WhatsAppは世界最大のメッセージングプラットフォームの一つ。

もともと料金の高いSMSの代わりのアプリとして人気が出たという経緯があり、途上国での人気が高かった。現在はFacebookに所有されている。

ボットや会話アプリにはまだ対応していない。

主なエリア:途上国、また彼らとコミュニケーションする先進国ユーザー
アプローチ方法:ボットへの対応が始まった際には、主要ユーザーである途上国の人々の使い方を考慮するべきだ。

4. Kik

Kikはアメリカの若者のあいだで爆発的な人気となった。影響力はあるが、金はない。

Kikユーザーは今後年をとった際にどの製品を使うか、まだ決めかねている層であるため、直接的なマネタイズをするにはまだ適さないだろう。Kikユーザー向けの賢い戦略は、楽しさを出すこと、アクセスしやすいこと、ヒップであること、良い印象を長期的に築くことだ。

主要ユーザー:若者
主なエリア:アメリカ
メッセージング機能:ボット機能をかなりサポートしている。キーボードの代わりに提供されるボタンもある。グループメッセージと個々のメッセージの両方でボットを引用することができる。
アプローチ方法:Kikユーザーからすぐに収益を上げようとしないこと。後々、彼らが仕事についたときに選ばれるように印象をよくしておくこと。

5. WeChat

WeChat は中国で圧倒的に使われているアプリ。

WeChat は様々な形で世界でのボットの人気に火をつけた。長年、自動アカウントをサポートしてきた。

WeChat上のユーザー体験は、他国のボット開発者に今もインスピレーションを与えている。ボタンや画像、会話中に埋め込まれる「ミニアプリ」といった文章ではないコンテンツをサポートしている。

主なエリア:中国
メッセージング機能:決済も含めて、テキスト機能を大きく超えた多様な機能がある
興味深い点:1ユーザーあたりの収益が年間7ドル強と非常に大きい。欧米のメッセージングプラットフォームにとってのチャンスを示す数字でもある。
アプローチ方法:欧米の企業は比較的アクセスしにくいという歴史があったが、この点も変化し始めている。Smooch.io といったコネクターと通して、欧米の企業にもアクセス可能になりつつある。このプラットフォーム上で成功するには、ユーザーのニーズと行動習慣に合わせる必要がある。

6. Telegram

Telegramはそのオープンさにおいて際立っている。ローンチ当初から公開APIがあり、ボットに対しても長らくオープンだ。クライアントアプリケーションに対してもオープンソース化している。また、他のメッセンジャーよりもプライバシーへの取り組みが厚い。

ユーザー数は1億と比較的小さい。多くの国で一番のアプリではないが、ユーザー数が増えるにつれて世界各地で広まりつつある。

主なエリア:世界各地まんべんなく
興味深い点:創業者は高性能ボットをつくる開発者向けに100万ドルのファンドを用意している。
アプローチ方法:他のメッセンジャー上でサービスを展開する際に、同時にTelegramでもローンチしよう。

7. Skype

Skype もメッセージングプラットフォームである。MicrosoftはBot Frameworkをリリースした際に、Skypeをボット向けにオープンにして、多くの関係者を驚かせた。テキストと画像メッセージを送れる他、動画ボットにも対応しているという変わった面もある。

主なエリア:世界中
メッセージング機能:動画と音声がベースだが、ボタン付きのカルーセルや画像を使った体系化されたメッセージなどを取り入れたボット・会話アプリも急速に増えつつある。グループ内のボットも対応している。
アプローチ方法:音声・ビデオコミュニケーションが主要だが、その大きなインストール数を考えると、他のメッセンジャーと比較するとより低い競争で大きなリーチがとれるチャンスもある。

8. Viber

Viberはメッセージング、音声、ビデオコミュニケーションアプリとして、多くのユーザーをもつ。主に欧州、アジア、アフリカで強い。

現在、Service MessagesとAPIを提供する Viber for Businessをテスト中。興味のある企業はアクセスをリクエストする必要がある。

ユーザー数は1億と比較的小さい。多くの国で一番のアプリではないが、ユーザー数が増えるにつれて世界各地で広まりつつある。

主なエリア:東欧、中東、アフリカ
アプローチ方法:ターゲットの国でViberの人気がある場合には、Viber for Business Service Message APIへのアクセスをリクエストしてみよう。

9. Google Hangouts / Allo / Duo

Googleのメッセージングプロダクトは、関連製品をまとめたパッケージへとなりつつある。
年次会議のGoogle I/Oでは、Allo と Duoという二つの製品を発表した。Googleいわく、ボットや会話サービスを提供したい事業者向けに対応する予定だという。

また、会話中に使われる画像の内容を理解できる機能など、言語処理技術についても言及している。

Hangoutsは開発者には今のところオープンになっていない。

主なユーザー:Googleユーザー
主なエリア:世界中。中国など一部の国では規制あり。
メッセージング機能:今のところ不明だが、テキストと体系的なコンテンツは含む。
アプローチ方法:AlloとHangoutsがローンチした際には、巨大なユーザーベースにアクセスできるため、これらのプラットフォーム向けの消費者向けサービスは優先するべきだ。

10. Line

Lineはアジアで主要なメッセージングプラットフォーム・ソーシャルネットワークである。急速に成長し、日本では広く浸透した。最近上場し、10億ドル強を調達。事業を拡大していく予定だ。

ボイス・ビデオコールも機能に含まれる。Line Payという決済ソリューションもある。

主要エリア:日本と東南アジア
メッセージング機能:Lineのボットプラットフォームはまだ新しい。ボットのLineアカウントの種類によって、提供される機能が異なる。

11. Twitter

Twitterは幸運と成長、方向性のなさと停滞の間で長らく揺れてきた。

だが、テックコミュニティ内の人気はいまだ高く、アメリカの企業にとってTwitter上でアクティブであることはカスタマーサポートと広報活動のためにも重要である。

主要ユーザー:初期の人気の頃から使っているアーリーアダプターとテクノロジー好きの人。また公衆のサポートを求めている消費者。
主要エリア:アメリカ、欧州、世界
メッセージング機能:文字数限定のテキストメッセージ。あとは画像。
興味深い点:開発者に対するスタンスは変化してきた。当初は彼らを重宝し、その後はアクセスを制限し、そして今はまたオープンになりつつある。
アプローチ方法:マスコミュニケーションや消費者と企業間の軽い質問・回答をするには良いツールだ。カスタマーサポートの質問に一度に対応することでコストを下げることが、最も便利な活用法だろう。

(本記事は抄訳です)

【via VentureBeat】 @VentureBeat
【原文】

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