ファッション提案O2Oの「STYLER(スタイラー)」がトランスコスモスから資金調達、チャットコマース全盛に備えBPOなどで業務提携

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ファッション・アパレル店舗向けのO2O(オフライン・トゥ・オンライン)サービス「STYLER(スタイラー)」を提供するスタイラーは3日、情報サービス大手のトランスコスモス(東証:9715)からシリーズAラウンドで資金調達したと発表した。スタイラーにとっては、2015年6月に実施したシードラウンドでサイバーエージェント・ベンチャーズ(CAV)から調達に続くもの。なお、今回のラウンドでの調達金額や出資比率については明らかにされていないが、関係者からの情報によると、規模は数億円程度に上ると見られる。

スタイラーは、ユーザがアパレル店舗のファッション提案を受けられるアプリ「STYLER」を昨年6月にオープンβ版としてローンチ。渋谷・原宿・表参道などを拠点とするファッションブランドのショップ150店舗で導入されている。これらのお店では、店員が営業時間中の接客していない時間帯を活用して、STYLER 上に投稿されたユーザからのファッションに関する質問に回答、コーディネイトを提案することで、自店舗へのレピュテーション向上と来店購買を促すことができる。

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実際に、STYLER を導入している渋谷区神南のある店舗では、来店客全体の15%が STYLER 経由で来店し、そのうちの72%が商品の購入に至るケースがあったという。同社は以前、STYLER 導入店舗において、全来店客に占める STYLER 経由来店客の割合が平均15%であることを明らかにしており、コンバージョンレートについても、店舗によって大きな開きは無いだろう。

今回のトランスコスモスからの資金調達には、スタイラーが STYLER 上でユーザ〜店舗間のインタラクションを増やしたい思惑が背景にあるようだ。今年5月のメジャーアップデートで、STYLER アプリには ROM(Read-only Member)でも他ユーザ〜店舗のコーディネイト提案を覗き見できるソーシャル機能が追加された。ユーザやインタラクションをさらに増やすこと——すなわち、サービスのスケールを目指す上で、接客の合間に STYLER に参加してくれるショップ店員の労力だけでは、いずれ限界が来ることになる。

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トランスコスモスはその前身である丸栄計算センターの時代から BPO 業務(ビジネスプロセスアウトソーシング)の草分け的存在であり、日本の国内外に40カ所近いコールセンターや BPO 業務の拠点を持つ。スタイラーでは今後、チャットボット機能を STYLER に実装するなど対話型コマースを活性化させていく計画で、今回のトランスコスモスとの提携を通じ、定型的な質問については、トランスコスモスの BPO 要員が対応できるようにするなどしていく考え。店舗が繁忙期や休業時間帯でも、BPO によりコーディネイト提案をスピーディーに回答できるようにすることで、ユーザ満足度の向上を狙う。

トランスコスモスはまた、タイの電子書籍事業サービス「Ookbee」への出資をはじめ世界でスタートアップに出資や買収をしており、Eコマースプロバイダ向けには LINE ビジネスコネクトの運用支援サービスをはじめオムニチャネルサポートを提供している。これらの要素を背景に、スタイラーはトランスコスモスとの協業で自社提供サービスの信頼度を高めることができ、STYLER に参加するファッションブランドやショップの増加につながることを期待していると考えられる。

スタイラーでは今後海外展開を図り、2018年末までに日本の内外をあわせてユーザを500万人規模にまで成長させたいとしている。

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