VR版Netflixを目指すイスラエルのスタートアップ「Inception」

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Imagine a future where you could experience events taking place thousands of miles away. Photo credit: publicity.
何千マイルも離れた地で行われているイベントを体験できるようになる日を想像してみよう

バーチャルリアリティ(VR)デバイスはメインストリームと言えるほどには普及していないが、このスタートアップは没入型エンターテイメントへの傾向は不可避だと確信している。そしてすでにそれに向けた準備は始まっている。

テルアビブに拠点を置く Inception の目標は「VR 版 Netflix」だ。ユーザは同社のポータルで VR デバイス専用に撮影されたストリーミングコンテンツを視聴できる。同社は Microsoft 役員や視覚効果の専門家を含むチームにアメリカのテレビ番組「HOMELAND」のプロデューサー Ran Telem 氏を引き入れた。

Inception の CEO で共同設立者である Benny Arbel 氏によると、プラットフォーム向けに開発したコンテンツは VR を念頭に置いて企画、設計、撮影しているという。すなわち、大半が単なる動画やテレビ向けフォーマットをバーチャルリアリティに取り込んだ既存の VR コンテンツとは著しく異なるということだ。

ストリーミングでは、ミュージカル「Wicked(ウィキッド)」のバックステージ VR ツアーやマドリードのサルバドール・ダリ美術館のバーチャルインタラクティブ展示を体験できる。すべてのコンテンツは無料でアクセス可能だ。その他、VR インタラクティブワークアウトクラスのように気の利いたものもある。

現在アプリは Oculus、Samsung Gear と Google Cardboard で利用可能だ。HTC Vive、Playstation と Dandream 版も近日登場する予定。

Inception はコンサートやミュージックショーのライブストリームも計画している。アンダーグラウンドミュージックファンのコミュニティ BoilerRoom と提携し、世界中のオーディエンスがライブを楽しめる専門チャンネルも持っている。

Inception’s team. Photo credit: publicity.
Inceptionのチームメンバー

取り扱うのはネイティブコンテンツのみで、ゲーミングといった領域への転換は計画していない。チームは積極的に提供できるタイトル数を増やそうとしており、コンテンツデベロッパーと詰めの段階に入っている。提携先候補のひとつが VR アート・サイエンスコンテンツスタートアップの Kaleidoscope だ。Inception のプラットフォームで作品を見せることにより、インディーアーティストを幅広いオーディエンスの目に留まらせることができる。

この他、VR 専用オリジナルフォーマットを開発しています。例えば、「This Is Where It Starts」フォーマットではコンテンツとテクノロジーの境界を越え、ホットスポットを使って視聴者は自ら選んだストーリーを聞くことができます。(Benny 氏)

同社は調達した資金の額や成長見込みについては固く口を閉ざしているが、VR は「エンターテイメント業界の革命」だと Benny 氏は言う。彼は近い将来こういったデバイスが大量に採用されるはずだとほのめかした。

オーディエンスはもはや傍観する視聴者ではありません。ユーザは完全に VR 体験に没頭した状態でコンテンツと作用してストーリー展開をコントロールし、あたかもそこにいるかのような体験を作り出すことができるのです。(Benny 氏)

【via Tech in Asia】 @TechinAsia

【原文】

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