中国のオンライン旅行大手Ctrip(携程)に1,900億円以上で買収されたSkyscanner——Gareth Williams CEOがその背景を語る

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Image Credit: Paul Sawers / VentureBeat

今朝早く(原文掲載日:11月24日)、M&A の地から大きなニュースがもたらされた。旅行検索サイト大手 Skyscanner は、中国の大手オンライン旅行会社の一つ Ctrip(携程)に14億ポンド(約1,975億円)で買収されたことを明らかにした。

2003年、スコットランドのエジンバラで設立された Skyscanner は、そのユーザトラフィックで5,000万人のマンスリーユーザーを抱える世界最大の旅行検索エンジンの一つだ。2012年に Priceline に買収された Kayak のように同業同士による旅行検索サイトではなく、完全に独立した企業として運営されてきた。昨年末に1億2,800万ポンド(約180.5億円)を調達するまで、外部からの資金をほとんど調達していない。そしてその調達を機に、Skyscanner はいわゆるユニコーンとなり、脚光を浴びることとなった。

しかし、独立経営のまま成長を続けるために実施したと思われた調達ラウンドから時間を置かず、なぜ今、売却するのだろうか?

VentureBeat とのインタビューで Skyscanner の共同創業者で CEO の Gareth Williams 氏は、次のように語った。

昨年末の出資によって、我々は株主に対して流動性への対策を提供しながらも、2016年にさらに成長することができた。

昨年、巨額に及んだ調達をする前までは、Skyscanner にとって最大の投資家は、Scotish Equity Partners だった。同社は、2007年に400万ドル近い資金を Skyscanner に注入している。Sequoia Capital は2013年の第2ラウンドで、金額は開示されていないものの報道では8億ドルの企業評価額で出資している。つまり、昨年12月に実施した1億9,200万ドルの調達は成長のために確保しつつ、株主や過去に出資してくれた(かつての)株主に対して、売却や IPO をコミットしないまま現金化できるチャンスを与えるためだった、と Williams 氏は指摘したわけだ。

ここ最近、Skyscanner がイグジットを検討しているという噂が流れていたが、今日の買収のニュースに際して VentureBeat が質問したところ、Williams 氏は IPO まであとどの程度だったかについては答えなかった。しかし、彼は Ctrip から提示された買収条件から、IPO よりも売却を選ぶことにしたと示唆した。ここで最も重要になるののが、運営の独立性だ。

Ctrip が我々に許してくれた運営の独立性とあわせて考えると、提案は極めて魅力的だった。Ctrip が Skyscanner に信じられないほどの知識をもたらしてくれることや、旅行の検索に関わる難問を解決したいという、我々と似た思いを持っていることを考えると、Skyscanner にとっては(買収されることが)自然な進展だと思えた。(Williams 氏)

Skyscanner のようなスコットランドで生まれたスタートアップが、いかなる規模であれ、その業界に残された数少ない独立運営の企業で居続けたいと主張したことはいいことだが、何らかの形でイグジットすることは避けられなかった。しかし、最近何か経済的な理由か、あるいは、今、売却しようとの決断を早めるようなことが起こったのだろうか? これは Williams 氏からの情報ではないが、彼は長年にわたり Ctrip の経営陣と顔見知りなのだそうだ。

私は3年以上前に、Ctrip の創業者の一人の(会長でもある)James Liang(梁建章)氏と、また、新しい CEO である Jane Sun(孫洁)氏と会っている。そのときから連絡を取り合い、Ctrip の支援を受けて、Skyscanner を将来どのように発展させるか、共通したビジョンを作り上げてきた。Ctrip との提携により、Skyscanner の旅路に新しい一歩を踏み出させてくれるだろう。金銭的な観点からだけでなく、より重要なのは、これからの世界の旅行者により大きな利益が提供できるということだ。(Williams 氏)

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アジアでの成長

実のところ、Skyscanner はアジアで成長を見せ、中国やアジアで特筆すべき提携を締結してきた。2012年には中国最大の検索エンジンである Baidu(百度)と提携し、Baidu 上での国際フライトの公式検索パートナーになった。昨年実施した巨額の資金調達では、日本のヤフーとマレーシア政府という2つの特筆すべき投資家が顔を見せた。つまり、Skyscanner にとってアジアは新しい市場ではなく、中国のメジャープレーヤーに買収されることは、買収する側とされる側の双方に利益をもたらすのだ。例えば、Skyscanner は、現在提供しているホテル予約の機能を、Ctrip が持つホテル在庫にも拡張することができるだろう。

Ctrip の支援によって、我々の市場リーチとプロダクトを世界的に拡大することが可能になる。今後は、Ctrip が持つプロダクト投資や洞察を活用するだけでなく、Skyscanner がすでに大きな成功を見せている中国市場への理解を深め、さらなる商品供給をするようにしたい。(Williams 氏)

Ctrip にとって今回の買収は、ヨーロッパが Skyscanner のユーザの3分の2を占めていることを考えると、大きな意味がある。Ctrip の Liang 氏は、今日の発表の中で次のように述べている。

今回の買収は、両社にとって長期的な成長力を強化してくれるだろう。Skyscanner は世界規模で我々の位置付けを補完するものとなり、Ctrip が持つ経験・技術・予約機能を Skyscanner にも活用できるようになる。

Skyscanner はまもなく——もちろん、(規制当局による)慣習的な成立条件を満たす必要はあるが——上海に本拠を置く巨大企業のものとなる。Williams 氏は、Skyscanner が生まれた地での状況を心配しているのだろうか? スコットランドやイギリスの人々は Skyscanner を誇りに思っていたが、もはやスコットランドやイギリスの会社ではなくなり、この地域で言えば、ジャガーのインターネット版のような存在にさえなり得る。

我々は、今でも極めてイギリスの会社だ。Skyscanner はエジンバラで生まれ、オフィスはエジンバラやグラスゴーに置いたままにすることにしている。本社はエジンバラのままだし、800人いるスタッフのうち、500人以上はイギリスを拠点に活動している(そして450人以上はスコットランド拠点)。今後も、同じペースでイギリスで雇用を続ける。(Williams 氏)

この運営の独立性こそ、Skyscanner が十年以上前の創業時から培ってきた、そして、今後も維持されることを望んだ同社の希望だった。現在の段階では、何かしらが悪化するような兆しは何一つ見当たらない。

我々は、単に中国の企業から素晴らしい洞察と技術へのアクセスを手に入れた、というだけのことだ。これによって、この素晴らしいイギリスの会社はさらに強くなり、成功した存在へと成長できるだろう。(Williams 氏)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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