〈中国の新ECトレンド:Weishang(微商)〉WeChat(微信)を使って化粧品販売を始めるネットセレブたち

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Image credit: Pixabay
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今回の投稿は「中国の新ECトレンド:Weishang(微商)」の第1弾だ。ここでは、Weishang(微商)が化粧品業界で影響力を強めている現象を説明する。この業界は、L’Oreal、Amore Pacific、資生堂など国外ブランドによって支配されている。次回の投稿では、上海在住の Weishang 企業が WeChat でマーケティングと販売を行っている事例を紹介する。

ほぼ全身全霊をかけてお金稼ぎをしようとする中国でさえ、起業はかつてとても難しかった。しかし、モバイルインターネットの台頭のおかげで、事業の設立と成長を支援するプラットフォームが多くの参入障壁を引き下げている。とてつもないユーザベースを誇る WeChat は、起業家が成功できる場所であることを証明してみせた。

Weishang(微商)はマイクロビジネスとも呼ばれるもので、WeChat(微信)内にある1つの機能だ。ユーザは知り合いに商品やサービスを販売できるほか、アプリのステータスアップデート機能 Moments(微信朋友圈)を使って広告を打つこともできる。化粧品業界は中国で最も成長著しく、化粧品の Weishang 企業はネット上でさらに多くのトラクションを獲得しつつある。

化粧品ブランドを確立するためには、以前にはかなりの投資を必要とした。しかしながら、Weishang はオフラインの店舗やオフラインチャネルでのブランド広告を必要とせず、資金の節約が可能になっている。さらに WeChat は、Weishang 企業を立ち上げたい個人向けに事業やマーケティングのチャネルを提供している。

UChange(繊紀) の CEO である Niki Liu(劉雯栄)氏は次のように話している。

今月の売上は数百万人民元でした。まさにネットセレブ(網紅=ワンホン)効果です。ワンホンならチャネル上でいとも簡単にフォロワーやファンを獲得できます。私のフォロワーからも多くの方が私と一緒に仕事をするために来てくれました。

Niki 氏は弱冠26歳のとき、従業員3万人と、彼女の会社のために働いてくれる100人のワンホンを抱える Weishang 企業の設立者兼 CEO となった。彼女自身も影響力のあるワンホンの一人だ。Weibo のアカウントを始めたのは2013年夏、現在では何万人ものフォロワーがいる。2015年2月には、中国で成長著しい大都市の武漢、彼女の故郷でもあるが、そこで自身の化粧品ブランド UChange をローンチした。

同社ネットワークにいるワンホンが製品の写真を WeChat Moments に投稿する。中国国内にいる顧客だけでなく、カナダやオーストラリアなど海外からも興味のある人は、商品を購入するため WeChat 上でワンホンと個人的に会話をする。セラーは顧客に1対1で応対する仕組みだ。化粧品を販売するワンホンは全員、やり取りをするために設けられた1つの WeChat グループを使用している。Niki 氏によれば、UChange はセラー全員にプロフェッショナルなトレーニングを提供しており、それは他社のものとはかなり異なっているという。

Niki Liu, her WeChat moments, and UChange’s public account
(左)Niki Liu氏、(中)同氏のWeChat moments、(右)UChangeの公式アカウント

化粧品業界は、WeChat からかなりのメリットを享受している業界の1つだ。China Internet Watch によれば、中国の消費者がネットで検索する言葉の70%超は非ブランド用語であるという。

Beauty Technology Cosmetics(如妍化妝品 マーケティング部門代表の Eunhee Kim(김은희)氏は次のように述べている。

中国のセラーは通常口コミマーケティングを頼りにしていますので、Weishang が大好きです。この現象を後押ししているのが、WeChat ペイを使った簡易な決済手段です。

この韓国発 OEM 企業は、化粧品企業大手から化粧品販売に特化している Weishang 企業までを対象に、化粧品のプランニング、製造、提供を行っている。

Over 50% consumers search for methods and techniques of makeup no matter using desktop or mobile devices (Source: China Internet Watch)
PC・モバイルの両方で、50%以上の消費者がメイクアップに関してその方法やテクニックを検索している(出典:China Internet Watch)

Kim 氏によると、中国には2種類の Weishang 企業があるという。まずは、中国の化粧品流通業者や代理店の大手企業。このグループは、かつて物流や販売事業の一角を担っていた。もう1つは、90後(1990年代生まれの中国国民)と呼ばれるワンホンもしくは KOL(キーオピニオンリーダー)である。

中国の消費者は天然成分の製品を求める傾向が高まっているため、化粧品に関しては、Weishang の方が化粧品大手より多くの需要を集めるようになっている。

Kim 氏は次のように述べている。

お客様は、化粧品に入れるのは天然成分だけにしてほしい、人工の染料や化学成分は取り除いてほしいと要望されます。他の Weishang 企業との差別化を考えるのではなく、環境にやさしい素材を求めているのです。

ある90後の Weishang 企業 CEO は、多くのワンホンを取り込むために、売上額を同社の Moments に投稿している。Niki 氏と彼女の同僚は、WeChat Moments に製品を手にしている自撮り画像や、WeChat 上の会話で2,000人民元の買い物をした顧客のスクリーンショット、発送間近の化粧品を梱包した段ボール箱の山で一杯のオフィスの写真などをたくさん投稿している。ブランド認知を高めるため、化粧品の Weishang 企業は他の大手企業と協力することもある。UChange は現在、クロスプロモーションを行うために複数のメディア企業と提携している。

【via Technode】 @technodechina

【原文】

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