今週開催中のMWCとGDCで発表された、懐かしい人気モバイルゲームの復活劇【ゲスト寄稿】

mark-bivens_portrait本稿は、パリと東京を拠点に世界各地のスタートアップへの投資を行っているベンチャー・キャピタリスト Mark Bivens によるものだ。英語によるオリジナル原稿は、THE BRIDGE 英語版に掲載している。(過去の寄稿

This guest post is authored by Paris- / Tokyo-based venture capitalist Mark Bivens. The original English article is available here on The Bridge English edition.


Image credit: Masaru Ikeda

今週、バルセロナでは Mobile World Congress(MWC)が、そして、サンフランシスコでは Game Developers Conference(GDC)が開かれている。両者ともテクノロジーカンファレンスであり開催時期は同じなので、どちらに行くかを選ぶのは難しい。

そういうわけで、モバイルゲームの話題に意識が及ぶのは当然のことだ。正直なところ、私自身はあまりゲームをやらなかったが、投資という観点から、ゲーム業界は私をいつも魅了してきた。

事実、私はこれまでの人生を通じて感動したビデオゲームは、3つしか思いつかない。それらはいずれも象徴的な存在で、私の人生のそれぞれのステージに呼応したものだ。

まずは、若かりし頃に集めていた任天堂のゲームウォッチ・デバイスだ。私は「ファイア」というゲームタイトルが好きだったが、どうにかして「オクトパス」「ヘルムート」「パラシュート」そして、二画面で遊ぶ「ドンキーコング」や「マリオブラザーズ」などを集めたものだ。私の「ファイア」には、腹が立って部屋で投げつけたときにできた凹みがあるが、それ以外のタイトルは、今もきれいなままだ。そこからも、私がどれだけファイアが好きだったかがわかる。先日、秋葉原を歩いていたら、このようなコレクターアイテムがどれだけ価値を上げているか、知ることができた。

現代になって、ある日本のゲームコンサルタントが2012年、私をガンホーのパズル&ドラゴンズに紹介してくれた。このミッドコアなスマートフォンゲームは、2つの点で私を魅了した。一つは、欧米で見たことのない洗練さを備えたドラゴンバトルゲームと、3人で対戦するゲームの組み合わせだ。また、ガチャでマネタイズする仕掛けなどのイノベーションは、日本のモバイルゲームにおけるビジネスの可能性に、私の目を開かせた。5年経過してパズドラのブームはついに下火になったが、依然、無料で始められるゲームとしてはこれまでで最も利益を上げた作品として記録をとどめている(ちなみに、ガチャに対する最近の脅威について、以前記事を書いている)。

世紀の変わり目を経て10年を遡り私を魅了したのは、Nokia のガラケー上で動く Snake だった。こんな古い Nokia のガラケーを覚えているだろうか? Nokia は私にとって最初の携帯電話で、この時期、信頼に足りるデバイスを5〜6台は使い回していたはずだ。それはまだ、携帯電話を会話するために使っていた、スマートフォン革命の前のことだった。Snake のキー操作は、おそらく、毎日ボイスメールをチェックする操作に次いで覚えていた。

Snake が現代風に復活

今週2つの大きな発表が、私のような昔を懐かしむファンの心を捕らえた。MWC では HMD Global(現在では、Nokia のケータイを生産する権利を有している)が、クラシックな Nokia 3310 の生産を復活するという発表がなされた。「One More Thing」の一環で復活ローンチするとのことで、発表では、バッテリーが1ヶ月持つ、Snake が搭載されている、Nokia の呼出音が鳴る、という重要な3つの点を強調している。

さらに世界の反対側(の GDC)では、私の投資先でもある CoolGames が Snake を新たな世代にもたらすという発表をした。CoolGames は Facebook Messenger の Instant Games 上で Snake をローンチした。私に言わせれば、これはモバイルゲーム界における、次なるディスラプションの前触れと捉えていいだろう。

おそらく、私は完全に懐かしさに挑発される人種だ。Nokia 3310 と Snake の復活を楽しみにしている一人であり、大切にしているものをそのまま留めつつも、モバイルゲームにおける、この未来のパラダイムがどのように我々を楽しませてくれるかに期待している。

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