テック企業とデザイナーをつなぐマッチメイキング・プラットフォーム「Tezign(特贊)」——デジタルマーケティングの需要を追い風に急成長

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左から:CTO 黄勇(Leo Huang)氏、COO 過曉茜(Daisy Qian)氏、CEO 範凌(Ling Fan)氏、CPO 王喆(Steve Wang)氏
Image credit: Tezign(特贊)

最近デジタルマーケティングがますます重要になってきていることは誰も否定しない。ある人の個人ブランドとは、その人がいない時に囁かれる評判のことだとよく言われる。しかし中国市場の中小企業や大企業にとって、事はそう簡単ではない。Tezign(=Tech + Design、特贊)にとって、デザインとデジタルマーケティングに対する好奇心や情熱がブランディングの未来への扉を開けるカギになる。

Tezign は、2014年に好奇心の強い中国人デザイナーらがデザイン思考の知識を共有するという純粋な目的で始めたWeChat(微信)のパブリックアカウントとして始まった。サンフランシスコの便利な場所に位置し、Uber や Facebook など有名なテック企業からデザイナーを呼んでデザイン思考の知識を共有している。サンフランシスコで行われた最初の Design Matters ミーティングではビジュアルデザインや建築デザインなどについて話し合われた。出席者やプレゼンターはデザインに関する十分な知識を事前に持っていたため、このプラットフォームの設立はデザインにフォーカスしたコミュニティの需要にうまく合致した。当初、一部のコンテンツは中国語から英語に、あるいはその逆に翻訳され、WeChat Public Platform(微信公衆平台)で共有された。2年のうちに Tezign へのアクセスは急速に増加し、エンジェルラウンドで資金調達して中国で成功裏に会社を設立することができた。

Tezign は現在、クリエイティブ人材とクライアントをつなげ、ワークフローの問題解決を提供するプラットフォームとしての役割を果たしている。Tezign の WeChat アカウントには現在17万人のフォロワーがおり、有名なデザイナーや専門家へのインタビューやデザインのサンプルといったコンテンツを提供している。これまでに15か国67都市の4,000を超える企業や8,500人以上のデザインクリエイターにグラフィックデザイン、UI/UX デザイン、イラストレーション、アニメーション、ソーシャルマーケティングといった分野のサービスを提供してきた。

共同設立者で Chief Product Operator の Steve Wang(王喆)氏は、Tezign についてテクノロジー企業とデザイン企業をつなぐコミュニティであると同時にビジネスプラットフォームでもあると考えている。Tezign のデザイナーの大部分は中国人であり、主に北京、上海、広州にいる。Steve 氏は中国人が集まったのは全くの偶然であることを認めた。しかし、長い目で見ればこの偏りが中国特有のブランディング戦略やマーケティング戦略を理解するのに有益であった。Tezign は地元の人材とグローバルマーケットをつなげることで、他所とは違う中国らしさのあるブランドを確立した。

さまざまな企業やプラットフォームは広告という点でどう異なっているかと尋ねると、彼は、ある企業は目で見分けられるシステムのようなブランディングを求め、またある企業はマーケティングと宣伝を求める、と述べた。大手企業は確かなブランドアイデンティティを持っている傾向があり、Tezign にとってはマーケティング戦略を立てやすい。こういったクライアントは自分たちが求めているものや自社をどうブランディングするかをきちんと理解している傾向があり、失敗のリスクを最小限にしている。

また、彼はプラットフォームごとに異なる戦略をとったことも語ってくれた。WeChat の場合、ユーザはタイトルだけざっと見てコンテンツはクリックすらしない傾向があるため、タイトルを何時間もかけて何度も磨き上げる必要がある。ソーシャルメッセージアプリではバカバカしくて面白いネタの方が見てもらいやすいため、WeChat ではコンテンツも宣伝らしくしすぎてはダメだ。しかしブログやウェブサイトでは、WeChat よりもコンテンツの中身やデザインに重きが置かれており、ウェブサイトでは詳細な製品説明などの徹底分析がシェアされる。

出発点として WeChat に主に貢献しているにも関わらず、Steve 氏は WeChat のプラットフォームについて、今やメディアや公共の目的に使われるサイドプロジェクトになっていると述べた。コンテンツは主にデザインと製品サンプル、そしてデザイナーへのインタビューからなる。代わりとして、彼は新しいメディアチャネルを、そしてそのためのデジタルマーケティング戦略を強調した。

Steve氏は次のように述べた。

消費者はもはやチャネルを一つしか持たないということはありません。20年前、人々は広告ボードを見て、家でテレビを見ていました。しかし現代人にはテレビやスマートフォン、ウェブサイトがあり、昔ながらのマーケティングはもはや通用しません。

企業はデジタルマーケティングやウェブサイト、動画など新しいメディアの様々なチャネルに予算を配分しなければなりません。これはつまり、以前のように一つの広告ではだめだということです。それに代わって、企業は複数のチャネルや特定のマーケティングプラットフォームに特化した代理店を選ばなければなりません。

5年後、彼自身と Tezign はどうなっているのかという質問への回答として、彼は会社全体がさまざまなテクノロジーやクリエイティブ人材でクライアントを変えていくと予測した。

そして次のように締めくくった。

VR や AR がマーケティング業界でどう使われるのかはまだわかりません。しかし、少なくともライブストリーミングの例から、この新しいテクノロジーの導入が何らかのディスラプティブな役割を果たすだろうことは簡単に予見できます。

【via Technode】 @technodechina

【原文】

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