シンガポールでミニバスのライドシェアリングを提供するSWAT、プレシリーズAラウンドで220万米ドルを調達

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Image Credit: SWAT

シンガポールのミニバスライドシェアリングスタートアップ SWAT は、プレシリーズ A ラウンドで300万シンガポールドル(約220万米ドル)を調達した(参加投資家の詳細は非公表)。

SWAT は今回調達した資金を利用して、データチームとエンジニアリングチームの人員強化(応募希望者はこちらから)と、サービス提供地域の拡大を予定している。現在のところサービスを提供している地域は、シンガポール中央部に位置する回廊地帯と東部の一部地域のみである。

e27とのインタビューの中で SWAT の CEO を務める Lin Shijing 氏は、昨年ローンチされたライドシェアリングアプリ SWAT は Uber や Grab などの自家用車によるライドシェアリングサービスと競合する事業ではないと語っている。(※現在 Grab は GrabShuttle というシャトルバスアプリも提供している。)

SWAT には以下のような特徴がある。

  1. 多人数でのみ利用することができる(最低4人から最大13人まで)。
  2. ピックアップ(乗車)とドロップオフ(降車)が可能な時間帯もかなり限られている。現在は月曜日から金曜日(祝祭日を除く)の午前7時から午前10時の間のみサービスを提供している。だが、今年中には提供時間を拡大し、オフピーク時間と夕方のピーク時間にも対応していく予定だ。
  3. ダイナミックルーティング(動的ルーティング)と呼ばれるシステムを採用しており、通勤者はオンデマンド乗車の予約を行うことができる(GrabShuttle にはこのシステムが無い)。

ダイナミックルーティング

SWAT は3種類の通勤サービスを提供している。事前予約乗車、定期乗車、オンデマンド乗車だ。

ここからはサービスの仕組みを紹介しよう。

事前予約を希望する通勤者は、1日前(前日の午前10時30分)から乗車予約をすることができ、夕方ごろまでに予約数がいっぱいになると、事前予約の受付を終了する。

SWAT のソフトウェアチームは、ルートアルゴリズムを使って収集した全データを解析し、最大多数の通勤者に最も効率的となるようなルートを構築する。

これは、言ってしまえば、事前予約を行った人の全員が乗車できるとは限らないということでもある。しかし、SWAT は通勤者が予約をキャンセルした場合に備えて、ミニバスが運行を開始するまでシステムをチェックし続け、キャンセルが発生した場合には事前予約が通らなかった通勤者に割り当てているという。

各車両の乗車率を最大にするためには、全体のプロセスを動的にする必要があると Shijing 氏は述べる。

SWAT は固定された定期ルート(頻繁に利用されるルートのデータに基づいて決定されるルート)も提供しているが、事前予約のルートは全て動的で、通勤者の要望に応じて変更される。

Shijing 氏は次のように語っている。

ルート自体は常に変化しています。ユーザが乗車を必要とすると、その日の実際の要望に基づいてルート自体が変更されます。さらに、乗車をキャンセルする人もいますので、ピックアップとドロップオフの一連の順番も常に変化します。

さらに彼はこう付け加えた。

履歴データがありますので、現時点でどれほどの需要があるのか分かっている特定の地域に車両をルーティングすることができます。

オンデマンド乗車を利用したい場合、通勤者は事前予約で決まったルートの途中にリアルタイムで予約を入れ込む。

実のところ、事前予約は非常に複雑なのです。なぜなら、翌日の交通状況を見積もろうとするからで、私たちにはそれが非常に難しい。そこで、1日前に事前予約を行い、その当日にはルートの途中から乗客を入れ込んでいくようにしています。これでだいぶ改善されます。

通勤者は乗車をキャンセルできるが、ドライバーが運行をキャンセルすることは許されていない。しかし、Shijing 氏によると、SWAT のオンデマンド予約機能とアルゴリズムによって、低い乗車率での運行をドライバーが強いられるようなケースは最小限に抑えられるようになっているという。

アルゴリズムの構築

SWAT は現在、公共交通機関をルーティングするための「中央情報」システムの最適化を行っていると Shijing 氏は語る。つまり、実際には大量の機械学習やデータ解析などがそのプロセスに関わっているということだ。

まず初めに私たちが行ったのは、政府(data.gov.sg)から通勤者のデータを取得することでした。次に、チーフデータオフィサーが自ら構築したシミュレーションエンジンに実際のデータをかけます。このシミュレーションを通じて、私たちはダイナミックルーティングアルゴリズムを使った場合の効率を高い精度で試算することができました。

このシミュレーションエンジンの結果によると、SWAT は車両1台あたり1時間で6〜7回の運行が可能だそうだ。

他と比較してみると、タクシーや、Uber、Grab のような自家用車による配車サービスだと車両1台あたり1時間で平均1.3回程度です。

ドアツードアの乗降はなし

運行ルートを最適化するということは、SWAT がドアツードアのピックアップを提供しないということを意味している。

指定のピックアップポイントまで最長で300メートルほどの短い距離を利用者には歩いてもらっています。シンガポールのバス停留所の間隔はだいたい400メートルほどで、これはこの距離に基づいたものです。

ですが、もちろん私たちは可能な限り歩く距離を短くしようと努めており、最短だと200メートルほどです。(Shijing 氏)

利用者がピックアップポイントを見つけやすくするために、SWAT には Google Street View が入っている。

乗り越えるべきハードル

シンガポールで最適なルートを計画するのはなかなか難しい。同国では毎日道路を行き交う車が密集している。さらに、特にモンスーンの季節の降雨量が極めて多い。これらの要因によって交通渋滞が悪化するのだ。

昨年は雨の日が多かったため、島中で渋滞が起こっていました。SWAT のミニバスにも遅れが出ましたので、お怒りになる方もいらっしゃいました。将来的には、雨季の間はミニバスの ETA を計画して、どのタイミングで特定のルートを回避すればよいのかを把握する、もしくは、念のために控えのミニバスを用意しておく必要があります。(Shijing 氏)

SWAT は複数のミニバス企業と提携することでサービスを運営している。また、地元の商用車レンタル企業 Goldbell engineering を通じて自社のミニバスのリースも行っている。

Shijing 氏によると、SWAT アプリのユーザ数は現在1万人以上にのぼるという。しかし、同社は今のところ乗車予約の拡大を焦ってはいない。

彼は次のように締めくくった。

私たちは多くのユーザを獲得するという争いには参加しません。私たちが勝負しているのは乗車数でトップを取ることです。SWAT は効率的なテクノロジーであり、私たちは最も少ない資産で最も多くの人を動かそうとしているのです。

【via e27】 @e27co

【原文】

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