オンラインデータ収集でAI与信管理サービスを提供するアラームボックス、シリーズAラウンドで地銀や地方金融機関系VCらから約1億円を調達

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アラームボックス
Image credit: Alarmbox

オンラインで収集したデータをもとに、取引先の与信管理ができる「アラームボックス」を提供するアラームボックスは20日、シリーズ A ラウンドで1億円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、ナントCVC(ベンチャーラボインベストメントと奈良の南都銀行が共同設立したファンド)、GMO ペイメントゲートウェイ、西武しんきんキャピタル、SMBC ベンチャーキャピタル、池田泉州キャピタル(大阪の池田泉州銀行の投資部門)。

これは、アラームボックスにとっては2017年2月に実施したシードラウンド(調達額非開示、数千万円程度とみられる)、2017年8月に実施したプレシリーズ A ラウンド(日本ベンチャーキャピタルなどから、約1,300万円を調達)に続くものだ。今回の調達とあわせ、アラームボックスは南都銀行とビジネスマッチングに関する事業提携契約を締結しており、両社は関西圏の地域企業へのアラームボックスの提供で連携する。

アラームボックスと南都銀行の協力関係
Image credit: Alarmbox

アラームボックスでは、ユーザがオンライン収集された情報をもとに取引先の与信状況をモニタリングできるほか、スマートフォンや PC から取引先を登録しておくと、変化があったときに知らせてくれる機能を提供。ユーザの過半数は東京以外の中小企業で、地方の中小企業同士が新規で取引を開始する際や、地方金融機関が融資や投資を実施した後のモニタリングなどに利用されているという。

Web で情報をクローリングし、得られた情報の半分くらいは機械学習で処理して、残りの半分くらいは人が審査している。(中略)オンラインで得られた情報の信ぴょう性というよりも、むしろ、その会社の信用度に影響度を及ぼす可能性があるか、どのようなメディアに出ている情報か、などをもとに多角的に判断している。(アラームボックス代表取締役の武田浩和氏)

アラームボックスのダッシュボード画面
Image credit: Alarmbox

アラームボックスでは、消費者の評価や取引先の評判など主にウェブ上のデータを集積し、独自開発したアルゴリズムに基づいて与信状況を解析している。最終的な与信状況は現在のところ審査担当者が判断しているが、同社ではアルゴリズムの精度を改善し続け、最終的には9割程度のプロセスを機械学習で完了できるようにしたい考え。今回調達した資金は、これらのシステム開発強化のためのエンジニアの追加確保と、審査担当者の増員に充てられる見込みだ。

アラームボックスは今年1月にはセールスフォース・ドットコムと連携し、Salesforce 上のアプリケーションマーケットプレイス「AppExchange」で与信管理サービスの提供を開始している。この連携を通じ、Salesforce のユーザは CRM アプリケーションなどとアラームボックスとの連携したサービスの開発が可能になっている。武田氏は今後の展望として、このようなクラウドサービスとの連携を強化し、例えば、クラウド会計やクラウド請求のプラットフォームと連携することで、売掛金のある取引先の与信状況が悪化したとき、自動的に通知が来るようなサービスの提供を可能にしたい、とも語った。

アラームボックスは、2016年6月に設立されたスタートアップだ。既存株主には経営陣のほか、信用情報大手の信用交換所大阪本社や、オフィス家具売買大手のオフィスバスターズなどが名を連ねる。同社代表の武田氏は、以前にも法人向けの売掛保証会社トラスト&グロースを立ち上げた人物だ(トラスト&グロースは、リース会社の売掛保証事業部からスピンアウトし、現在は卸売業大手ラクーン(東証:3031)の子会社となっている)。

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