広がる「給与前払い市場」の日米差とはーーPayActivが2000万ドルを調達

by Takuya Tsuchiya Takuya Tsuchiya on 2018.10.26

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ピックアップ:PayActiv Raises $20 Million to Expand Financial Wellness Offering for Millions of Financially Stressed Workers via PayActiv Press Release

ニュースサマリ:雇用に関わる金融サービスを提供するPayActivが10月10日、シリーズBラウンドで2000万ドルの資金調達に成功している。リードしたのはGeneration Partners。給与の前払いサービスほか総合的な従業員向け支払いサービスを展開しており、小売や飲食、介護・ヘルスケア業界が採用している。設立は2011年で2016年の実施したシリーズAラウンドはソフトバンクキャピタル(当時)が引き受けた。

話題のポイント:日本でも「Payme」など話題になることが多くなった前払いサービスですが、米国では少し前提を理解しておくとグッと理解が進みます。

米国では日本にない「お金の文化」があります。

米国の銀行はオーバードラフト・フィー(overdraft fee)という罰則金制度があります。これは何らかの支払いにおいて口座資金が不十分の場合、銀行側が超過分を建て替える代わりにその罰金を銀行側に支払う必要がある、というものです。

例えば大手金融機関のウェルス・ファーゴでは一取引につき35ドルの罰金が設定されていて、口座がマイナスの状況で(それに気付いていないとして)カフェや飲食店で数ドルの商品をVISAデビットで5回買ったとすると、オーバードラフトフィーとして175ドルを追加の罰金として支払う必要が発生します。

つまり、口座に現金がない状態を回避しやすい前払いサービスは従業員目線でありがたいセーフティーネットサービスと捉えることもできるのです。

では今回取り上げたPayActivを見てみましょう。国内の前払いサービスと比較して多機能を謳っているのが特徴です。

従業員側

  • 前払い AIとマシンラーニングを活用した貯金プランニング
  • ファイナンシャルアドバイザーへの無料アクセス
  • 提携店舗でのディスカウント * リアルのVISAプリペイドカード

企業側

  • サービスの分析 従業員への通知
  • アンケート 現金リワードプログラム

記事によると同社の前払い決済ボリュームは月間1億ドルあるそうです。ビジネスモデルとしては従業員が前払い申請をする際、従業員側から手数料をフラットフィーとして徴収することになっています。導入費用や月額費用など企業側に掛かるお金は一切ありません。競合にはEarnin(旧Activehours、$65M累計調達)やEven($52M累計調達)DailyPay、FlexWageなどがあります。

ただ、完全に被った競合かというとそうでもなく、例えばWalmartは2017年末にEvenとPayActivの両社と実証実験ベースで提携しているのですが、EvenのアプリをWalmart従業員に提供し、プロセッシングの裏側をPayActivが担当するという連携も可能らしいです。

前払い解決系は提供するサービスがシンプルですから飲食チェーンやコンビニなど、必要とする業界をバーティカル毎にいかに獲得していくかが鍵になります。また、金融事業ですから監督省庁などが定める規制に触れないよう事業設計することも必要になります。

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