働く個人の過去を調査「バックグラウンドチェック」サービスとはーー国内での可能性は?

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three woman and man wearing apron
Photo by Paul Efe on Pexels.com

ピックアップ:Pass Technology Raises £3.25M in Funding

ニュースサマリ:英国発、面接候補者のバックグラウンドチェックサービス「 PASS Technology 」が325万ポンドを調達。面接候補者が記載した基本情報をもとに、利用企業は候補者の中から適切なバックグラウンドを持つ人材を容易に探し出すことができる。企業の生産性向上を目的とする。

話題のポイント:国内でバックグラウンドチェック(経歴調査)と言えば、採用候補のパフォーマンスを調べるのが一般的です。一方、海外はちょっと違ってて、犯罪歴・運転歴を調査する目的のものが多いです。今回取り上げる英国拠点のPass Technologyは、そういうバックグラウンドチェックサービスを提供しています。会社の規模を問わず、事業者向けに3つのプランを提供しています。

同社の説明によれば、英国は3200万人の雇用者の内350万人が英国国籍を持たない人たちなのだそうです。不法就労者もいる中で、企業が各所からバックグラウンドチェックのための書類を集める事は時間を要する作業になります。このペインを解決するのが彼ら、というわけです。

ではこのバックグラウンドチェック、どれぐらいのビジネス規模があるのでしょうか?

バックグラウンドチェックの先行プレイヤーとしては2014年設立、Y Combinator卒業生のCheckrが有名です。累計調達額は1億4900万ドルで、2018年4月時点の記事によれば1万社以上の顧客に毎月約100万回のバックグラウンドチェックを提供しているそうです。

主な顧客にはUberやinstacart、GRUBHUB、lyftなど、著名なオンデマンドサービスプロバイダーなどが名を連ねています。シェアやオンデマンド市場が彼らの成長を支えたことが伺えます。

既存のサービスより素早く安く行えることが強みで、ソーシャルセキュリティーナンバーの調査や過去の居住地、犯罪歴、そしてドライブレコードなどを調査してくれます。サービスの利用はCheckrのサイトからか、APIを通して調査することが可能で、WorkableやZenefitsなどのHRシステムに統合することも可能です。

簡単なレポートだと1人につき25ドルから35ドル、国際規模の調査やドラッグレコードなどの調査はそれ以上のコストがかかります。なお米国は連邦制なのでバックグラウンドのチェックコストも各州で異なります。

Checkrは売上高を公表していませんが、トップのオンデマンドカンパニー顧客が売上の大半を占めている可能性があります。例えば月間100万回のチェックという情報がありますので、それに1人40ドルを単純計算してみると月々4000万ドルのグロス売上があることになります。日本円にして年間で500億円規模ですから、話半分とみても規模はそれなりにあります。

日本での可能性ですが、兎にも角にもオンデマンド・シェアエコ市場の動向次第でしょう。国内ではそもそもUberが規制によりそこまで自由に展開できません。逆に言えば個人によるギグ・エコノミーが広がればこういった問題のある個人を特定するようなニーズも出てくるのでそのタイミングを狙うのがよいのではないでしょうか。

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